第14話 エヘッ! 14  妖怪オリンピック

「妖怪オリンピックってなんですか?」

 おみっちゃんは女将さんに尋ねてみた。

「4年に1回妖怪が腕試しをする場だよ。トーナメント戦で優勝すると善行がたくさんもらえるよ。」

 説明してくれる女将さん。

「出ます! 妖怪オリンピック! 絶対に優勝して善行を積むんだ! エヘッ!」

 こうして妖怪オリンピックに参加することにしたエヘ幽霊。


「楽しみだな。妖怪オリンピック。エヘッ!」

 妖怪オリンピックの会場にやって来たエヘ幽霊。

「久しぶりだな。おみっちゃん。」

 そこに妖怪たちが現れる。

「あなたたちは!? 私が倒したはずの妖怪たち!?」

 餓鬼、天狗、河童、提灯お化け、唐傘お化け、のっぺらぼうが現れた。

「私たちは魔王妖怪マヨ様のお力で生き返ったのだ。ワッハッハー!」

 恐るべし魔王妖怪の妖力。

「あれ? でもトーナメント戦なのに1人足らない。」

 7人しか妖怪がいなかった。

「最後の一人は私だ!」

 颯爽と8人目の妖怪が現れる。

「何者だ!?」

 おみっちゃんは身構える。

「私は魔王妖怪マヨ! おみっちゃん! おまえを倒しに来た!」

 魔王妖怪マヨが現れる。

「魔王妖怪マヨ! 返り討ちにしてくれる!」

 おみっちゃんは魔王妖怪マヨと対峙する。

「決勝で戦えるのが楽しみだ。精々、それまでに倒されないことだな。ワッハッハー!」

 魔王妖怪マヨは笑いながら去って行った。

「クソッ! 絶対に負けるものか!」

 おみっちゃんの闘志に火が付く。


「それでは妖怪オリンピックの第1試合を始めます。」

 いよいよ妖怪オリンピックのトーナメント戦が始まる。

「河童さん対唐傘お化けさんの戦いです。」

 河童と唐傘お化けが戦う。

「勝負だ! 傘野郎!」

「何を!? 頭の皿を乗せてふざけてんじゃねえ!」

 戦う前から火花が散っている。

「それでは試合開始です。」

 いよいよ試合が始まった。

「くらえ! 水鉄砲!」

 河童の先制攻撃。

「そんなもの食らうか! 水鉄砲返し!」

 唐傘お化けは傘を回して撥水する。

「くらえ! 秘技! 唐傘剣術! 面!」

 唐傘お化けは河童のお皿を狙って攻撃した。

「ギャアアアアアアー! 参りました。」

 河童は倒された。

「見たか! 傘をなめるなよ! ワッハッハー!」

 唐傘お化けの勝利。


「第2試合はおみっちゃんとのっぺらぼうさんの戦いです。」

 真打登場。

「私の方が可愛いです。エヘッ!」

 のっぺらぼうの顔を見て勝ち誇るエヘ幽霊。

「クソッ! 今に見ていろ! 吠え面をかかしてやる!」

 雪辱に燃える顔無しののっぺらぼう。

「それでは試合開始です。」

 いよいよ試合が始まった。

「笑っていられるのもこれまでだ! くらえ! 妖術! 顔奪い!」

 のっぺらぼうはおみっちゃんの顔を奪いにかかる。

「ギャアアアアアアー!」

 攻撃を食らってしまったおみっちゃん。

「どうだ? これでおまえの可愛い顔は私のものだ。」

 のっぺらぼうはおみっちゃんの顔を奪った。

「あれ? なんともない? 確かに顔を奪ったのに?」

 しかしのっぺらぼうはおみっちゃんの顔は奪えなかった。

「私、幽霊なので攻撃は全てすり抜けてしまうんです。エヘッ!」

 可愛く照れながら得意げに話すエヘ幽霊。

「反則だ! そんなの有りか!?」

 抗議するのっぺらぼう。

「可愛すぎてごめんなさい。エヘッ!」

 笑って誤魔化すエヘ幽霊。

「お礼に私が歌を歌ってあげましょう。」

 おみっちゃんは歌を歌い出す。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。

「ギャアアアアアアー! 参りました!」

 のっぺらぼうは降参した。

「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! 歌って素晴らしい! エヘッ!」

 勝利の余韻に浸るエヘ幽霊。

「あれがおみっちゃんか!? なんという恐ろしい音痴なんだ!?」

 魔王妖怪マヨはおみっちゃんの歌声に恐怖した。


「続きまして第3試合を行います。天狗さん対提灯お化けさん。どうぞ。」

 第3試合が始まる。

「どちらの火力が強いか勝負だ!」

「なんで私が提灯なんかと戦わなければいけないのか?」

 両者とも気合十分だ。

「それでは始めてください。」

 試合が始まった。

「くらえ! 提灯三大奥義! 圧縮火炎爆弾!」

 提灯お化けの核兵器同等の攻撃である。

「どうせ見かけ倒しの大したことはない・・・・・・!?」

 天狗はうぬぼれから相手の攻撃を見誤った。

「ドカーン!」

 大爆発が起こる。

「提灯の一分だ。私にだってプライドがある。私の勝ちだ。ワッハッハー!」

 提灯お化けの決死の攻撃だった。

「・・・・・・何を笑っている?」

 煙幕の中からボロボロになった天狗が出てくる。

「何!? 生きていたのか!?」

 提灯お化けは驚く。

「羽団扇で風のバリアを張って助かったのだ。おかげでボロボロだがな。」

 天狗は羽団扇で風も扱うことができる。

「今度はこちらの番だ! くらえ! 火遁! 火炎の術!」

 天狗は炎で提灯お化けを攻撃する。

「ギャアアアアアアー! 参りました!」

 提灯お化けは降参した。

「天狗は勝つのだ。私は大天狗になるのだ・・・・・・バタッ。」

 勝つには勝ったが力尽きて天狗は倒れた。

「タンカー! タンカーを持ってこい!」

 妖怪オリンピックの運営は大変である。


「続きまして第4試合は餓鬼さんと魔王妖怪マヨさんです。」

 いよいよ魔王妖怪マヨが現れる。

「魔王妖怪の実力を見せてやろう。」

「お腹減った。魔王妖怪様も食べていい?」

 両者が対峙する。

「それでは試合開始です!」

 いよいよ試合が始まる。

「いただきます! 必殺! 丸呑み!」

 餓鬼は魔王妖怪マヨを食べようとする。

「誰が食わすか。おまえなんか小指一本で倒してくれる。えい。」

 魔王妖怪の小指で攻撃。

「ギャアアアアアアー!」

 餓鬼は指先一つで気絶させられた。

「妖怪魔王マヨさんの勝ちです!」

 こうして準決勝進出の4名が決まった。

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