トルストイ先生の『アンナ・カレーニナ』 好きな人と一緒にいることが幸せとは限らない人生の難しさ

 『アンナ・カレーニナ』は好きな人と一緒になることを望むことが人生を長いスパンで考えたときに必ずしもその人を幸福に導くとは限らないことを教えてくれている名作だと私は思う。


 『アンナ・カレーニナ』はトルストイの『戦争と平和』に並ぶ代表作である。


 この物語には代表的人物が二人いる。


 一人はタイトルにもなっている美貌の人妻アンナともう一人は見た目イケてない系男子の優しく実直な男リョーヴィンである。この二人の人生は交わることなく話は進んでいく。


 アンナ・カレーニナあらすじ


(ウィキペディア様よりお借りしました)


 1870年代のロシアが舞台。


 政府高官カレーニンの妻であるアンナは超美人。


 モスクワで若い貴族の将校ヴロンスキーと出逢い、互いに惹かれ合う。


 一方、地方の純朴な地主リョーヴィンはアンナの兄嫁の妹キティに求婚する。


 しかしキティはヴロンスキーとの結婚を望んでおり、リョーヴィンはフラれる。


 失意のリョーヴィンは領地に戻り、農地の経営改革に熱心に取り組み始める。


 キティはヴロンスキーにただ弄ばれていただけで彼に結婚の意志はなく、それがきっかけでキティは病気になる。


 アンナは夫と幼い息子のいるペテルブルグに戻るが、ヴロンスキーはアンナを追う。


 二人は不倫の恋に落ちるが、アンナの夫のカレーニンは世間体を気にして離婚に応じない。


 アンナはヴロンスキーの子供を出産後、重態となる。


 そこへ駆けつけたカレーニンは寛容でアンナを許す。


 それを目の当たりにしたヴロンスキーはアンナを失うことに絶望しピストル自殺を図るが、未遂に終わる。


 その後ヴロンスキーは回復したアンナを連れて外国に出奔する。


 リョーヴィンは病気から回復したキティと結婚し、領地で新婚生活を始める。


 帰国したアンナとヴロンスキーは、不品行が知れ渡り社交界から締め出される。


 仕方なくヴロンスキーの領地へ。


 離婚の話は、カレーニンの思いや、一人息子を奪われたくないというアンナの事情でなかなか進まない。


 自分の現状に不満なアンナと領地経営に力を入れ始めたヴロンスキーはすれ違い始める。


 アンナはヴロンスキーの愛情が他の女性に移ったのではないかと疑うようになる。


 ついに絶望したアンナは列車に身を投げる。


 生きる目的を見失ったヴロンスキーはトルコとの戦争に赴く。


 一方、リョーヴィンとキティは子供を授かり、幸せな家庭を築き、人は他人や神のために生きるべきものだという思いに至る。


(おわり)


 この話の面白さはヴロンスキーと不倫の恋に落ち人生を転落させていくアンナと、アンナの不倫相手であるヴロンスキーにフラれ、見た目イケてない系の誠実男子リョーヴィンと結婚し幸せを手に入れるキティの人生の対比である。


 最初、キティはヴロンスキーとの結婚を熱望し、リョーヴィンのプロポーズを断る。


 普通の男なら「このやろー」と思うところだが、心優しいリョーヴィンはヴロンスキーを見て「たしかに彼は自分と違って素晴らしい」と思い、地元で仕事に打ち込み始める。


 リョーヴィンなんて謙虚でいいやつなんだ!


 キティはヴロンスキーが好きだが、彼はキティと結婚する気がない。


 美人なキティと遊んでいるだけなのである。


 キティはヴロンスキーが自分と結婚する気がないこと、そして誠実なリョーヴィンのプロポーズを断ったことがショックで病に。


 しかし誠実なリョーヴィンはずっとキティを思い続けており、二人は結婚。


 大好きだったヴロンスキーとの恋の成就をあきらめ、自分をいつまでも思い続けてくれた実直なリョーヴィンのことを受け入れて結婚したキティは幸せな家庭を築き、好きな男と一緒にいる人生を選び家庭を捨てて愛人のもとに走ったアンナは次第に自分の不遇を嘆き、最終的に破滅に向かう。


 私は婚活中、すごく積極的にアプローチしてくれる夫との結婚を迷っていた。


 夫は良い人だけど、最初は優しい親戚のお兄さんみたいな感覚ですぐに恋愛感情が湧かなかったのだ(今は大好きですが)。


 でも、ヴロンスキーのようなときめくイケメンからは振り向いてもらえなくて、すごく迷った。


 そのとき『アンナ・カレーニナ』の物語を思い出した。


 私もキティみたいに幸せになれたらいいなって。


 どんなに好きな人がいても実らない恋もあるというこの世の真実を教えてくれる名著だなぁと。


 個人的に私はキティの夫のリョーヴィンのファンである。


 彼が幸せなのは手の届かないものに不満を持たず、今手にしているものに感謝する、まさに無いものねだりをしない、素敵な人柄ゆえだろう。


 トルストイ先生、素晴らしい人生の教えをありがとうございますm(__)m

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