陰キャオタクがJKギャルにモテる訳がない
モンチ02
第1話
突然教室に突入してきた謎のテロリスト集団が、クラスを占領。
阿鼻叫喚が木霊する中、一人のテロリストが銃で威嚇発砲する。
本物の銃器に皆が茫然自失となる中、委員長の
そんな彼女を嘲笑うかのように、テロリストは彼女を組み伏せこめかみに銃口を突きつけた。
抵抗出来ないことをいい事に、テロリストは園原さんの清い肉体をむさぼろうと汚い手を動かす。
「その手を離せ、下種野郎」
テロリストを蹴り飛ばし、僕は園原さんを抱きかかえる。
「く……黒崎君……」
「なんだ貴様は!?」
「私達にたてつく気か!!」
園原さんを優しく下ろし、銃口を向けてきたテロリスト達を一瞬で蹴散らす。
僕の手によって、テロリストは全滅した。
「黒崎君……貴方は一体……」
「バラしたくなかったんだけど……しょうがないか。園原さん、僕は――」
驚く彼女に、僕は自分の正体を告げたのだった。
……。
…………。
という中二病的妄想を常日頃している僕は、生粋の陰キャラなんだろう。
生粋の陰キャラって何だよと突っ込みたくなるが、まあ最高に陰キャラを拗らせた奴だと思って貰えればいいと思う。
僕の名前は
中々に中二心溢れるイカした名前だ。
「シャイニングブラック!」とかいう必殺技を編み出してしまうぐらい自分の名前は気に入っている。ありがとうお父さん、お蔭で息子は無事に中二病を患いました。
趣味はアニメに漫画にラノベ。
中二病を促進させたのもこれらが要因である事に間違いない。
でもやめられない。だって面白いんだもん。
中二病で陰キャでオタクという末期に片足を踏み込んでしまっているどころか頭の先までどっぷり浸かっている僕は、ついこの間高校生になりました。
中学までの黒歴史を全て捨て去り、高校デビューして陽キャでパリピでウェーイwwしようとか張り切っていましたが、無理でした。
ごめんなさい調子に乗りました。
陰キャの期間が長すぎて、同級生になんて話しかければいいのか分からないし、外見が陰キャラの僕に話しかける同級生も一人もいませんでした。
必然的に、僕はぼっちになったのです。
陰キャでオタクでぼっちとか、マジで救えないよ。
よく大人達が人生で一番楽しい時間だったと口々に言う高校生活の初っ端を、盛大に失敗してしまった僕。
そんな愚かしい僕でも、どうやら陰キャの神様は見捨てていなかったみたいです。
窓側一番後ろの席。
クラスの席で一番のベストポジションを、神は僕に授けてくれたのだ。
冒頭。主人公の物語はここから始まると言っても過言ではない。
という事は、僕の物語はここから始まるんだ!!
「うわダル、昼までまだ二時間もあんじゃん」
「どんだけお腹減ってんのよ、ウケる」
「でもでも~モモもお腹空いた~」
そんな淡い幻想は、彼女達によってぶち殺されました。
僕の隣の席にいるのは
僕の前の席にいるのは
僕の右斜め前の席にいるのは
(ギャルばっかじゃん!!!!)
どうして僕の周りにはギャルしかいなんだ!意味が分からないよ!
陰キャとギャルは水と油のような関係なんだ。絶対交わっちゃいけないってお母さん言ってたもん!
なのに、僕はギャルのトライアングルに取り囲まれてしまっているじゃないか。まるで、猛獣の檻の中に間違えて入れてしまった小動物のような気分だよ。
そもそもさ、クラスに三人しかいないギャルが一か所に集まるなんてことある?君達絶対何か仕組んでたでしょ。そういうのやめて欲しいんだけど。陰キャをいたぶって何が楽しいんだ。
ああ陰キャ神様、これは調子に乗ろうとした僕への罰でしょうか。
誠心誠意土下座しますから、どうか次の席替えまで僕に安寧を与えて下さい。
「ねえ」
「……」
「ねえってば」
「……え、ぼぼ、僕?」
突然ギャル……じゃなくて安藤さんに声をかけられる。
まさか陰キャオタクの僕に話しかけているとは思わなくて、フルシカトしてしまった。
やっばい、ついに陰キャ臭を漂わせる僕に我慢できず「キモいから死んで」とか言ってくるのかな。
ギャル恐い……。
「あんたに話しかけてんだから、あんたしかいないじゃん。はいこれ」
そう言って、安藤さんはお菓子の袋を差し出してくる。
袋の中には、一本のポッキーが入っていた。
どういう意味だろうか……これをやるから死んでねという意味なのか……。
彼女の意図を測り兼ねていると、安藤さんは「ん」とさらに袋を前に突き出して、
「飽きたからあげる。ゴミは捨てておいて」
「あ……りがとう」
囁くような小さい声音で、安藤さんからお菓子の袋を受け取る。
僕が受け取ると、彼女は興味を失せたかのようにギャル友と会話を始めてしまった。
「……」
一本しか入っていないポッキーの袋を見つめる。
ゴミを捨てるのが面倒だ。だから隣にいる陰キャに押し付けよう。
さりとてゴミだけ渡すのは人としてどうか。だから一本だけ入れて渡してしまおう。
そんな彼女の考えを読むのは、メンタルマスターの僕だったらおちゃのこさいさいだ。
だけど、それでも。
たったそれだけの事でも、僕のテンションはチョモランマも見下ろせるほど爆上がりしていた。
(ギャル……ええやん)
うわぁ……陰キャってちょろいなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます