第5話

 いつも思うけど、検証班と呼ばれる人たちは本当に凄い。どうやってこんなに細かく調べているのか分からないけど、僕からすればもう神の領域だ。


 その他に入手できた情報は五つ。


 ひとつ目はSPについて。ジョブレベルがアップする毎にSP(ステータスポイント)が【3】もらえるらしい。それを自由に割り振ることが可能。自動割り振りじゃなくて良かった。


 次に速度と幸運について。各ジョブの攻撃命中率は基本値が【100%】で、そこに幸運の数値を加えたものがキャラの攻撃命中率になる。シーフなら【125%】がスタート時の攻撃命中率。そこから敵の回避率を引いたものが実際の攻撃命中率だ。序盤は敵の回避率がほぼゼロなので、幸運を急いで上げる必要はないらしい。


 幸運は他の要素にも影響しているようで、十分の一の数値がクリティカル率に加算される。シーフならアイテムドロップ率とスチール率と罠解除率にも加算されるらしい。こしあんの場合は幸運込みでアイテムドロップ率が【52.5%】になる計算だ。


 速度は回避率と攻撃回数に影響を及ぼす。速度の値がそのまま回避率になり、敵の攻撃命中率からそれを引いた値が、実質的な敵の命中率になる。


 攻撃回数を増やしたい場合も、速度にステータスを割り振れば良いらしい。値が【0~9】の場合は一回攻撃。【10~19】で2回攻撃。【20~29】で三回攻撃になる。シーフの場合は初期から速度が【20】なので、三回攻撃できたというわけだ。攻撃力は低すぎるけど。


 そして三つ目はスキルレベルについて。スキルを使用することで熟練値がたまってレベルアップする。シーフのスチールはパッシブスキルなので、攻撃する度に熟練度がたまるようだ。【LV1でのスチール成功率は5%】。それに幸運の十分の一を足したものが実際の成功率となるので【7.5%】だ。これはスキルレベルが上がれば効果も高くなり、【MAXのLV5では25%に幸運の十分の一を足したもの】になる。


 罠解除は【LV1で60%】の解除率。【MAXのLV5では100%】になり、当然幸運の十分の一も加算される。要はレベルさえ上げれば、罠解除に失敗しなくなるようだ。


 四つめはセカンドジョブと上位ジョブについて。【LV30】になればセカンドジョブと上位ジョブが開放される。セカンドジョブのステータス値は、その半分がキャラに加算されるので、低いステータス箇所を補うよう設定するのが定石らしい。


 シーフの上位ジョブは忍者とハイシーフ。忍者は範囲魔法攻撃スキルの忍術を使用可能。さらに物理攻撃力と魔法攻撃力が底上げされるので、戦闘面での不安がやや改善される。


 ハイシーフは……。詳細が載っていなかった。検証に協力している方々は、上位ジョブに忍者しか選んでいないようだ。忍者だからね、うん、その気持は分かる。もうなんか忍者って言葉の響きだけで選んじゃうよね。


 最後にシーフの評価。これは最悪だった。戦闘回数さえ重ねればシーフじゃなくてもアイテムはドロップする。スチールで盗めるものの中にはレアアイテムもあるけど、大きく既製品より効果が高いものは現状発見されていない。


 罠解除に至っては、解除失敗時に受けるリスクが爆発によるHPダメージと毒・麻痺などの状態異常なので、ヒーラーがいれば対応可能。


 攻撃回数は多いけど一撃が弱すぎて、しかも攻撃スキルを覚えないのでサブアタッカーにもなれない。回避率はやや高いけど防御力が低いので、くらう攻撃ダメージが大きく、ボス戦では完全なお荷物。そんな理由でパーティに入れるのを拒む人が多いらしい。


 ダメじゃん、シーフ。これだと前途多難な未来しか見えない。でもいまさら、最高値のユニークスキルを捨ててキャラメイキングをやり直すのも憚られる。


 初期クエストの中にある『レッサーオークの討伐』をクリアすれば『転生券』なるアイテムが一個もらえると、クエスト報酬一覧に載っていた。それを使えば、もう一度キャラメイキングができるらしいけど……。


 とりあえずは今のままで育ててみよう。転生券はいつでも使えるので、どうしようもなくなってから使えば良い。それにまた十時間以上もスキルリセマラしたら、僕の心が折れてしまう。


 ともあれ目標は決まった。まずはレベルを上げてセカンドジョブと上位ジョブの獲得だ。

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