第26話 わし 凱旋する

祝宴から一夜明ける


わし「の…飲み過ぎた…途中から水になるんだよな…朝起きて…ああ…アレは酒か…って気付くんだよ…」


転生前も後も、これは何度も失敗してる、学習能力0だな人間は


それに、この国の法律では、酒もタバコも年齢規定が無いな…ちょっと前のイギリスみたいだ


アルコールは胃全体で吸収するから胃壁が傷ついて胃がムカムカするのと、二日酔いは脳の脱水症状から来るので、水分補給と… えーと…0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40〜80mg/100ml )と糖質4~8%だから…


ゴクゴクゴクゴク…


わし「ふう…。」


カイン「おはようございます、良く眠れましたか?」


わし「うむ、皆は?」


カイン「まだ寝てる者も多くいます、起こしますか?」


わし「良い良い寝かせておけ」


ガシャーーン!!


わし「んん?」


物凄い形相で迫って来る…


アリア「はわぁぁぁ!!!マルス様!!また顔色悪うございます!!どうしましたか?病気ですか?死ぬんですか??死なないで下さい」(泣)


わし「大丈夫だ!!ただの二日酔いだから…この世の終わりみたいな顔するな!!」


わし「…んで…カンビ将軍はどうか?」


カイン「一命は取り止めたものの、まだ意識ははっきりしないと聞いてます」


わし「会えるか?」


カイン「手配しておきます」


わし「ふむ…そう、あと会議室にホウトクを呼んでくれ」


カイン「まだ寝てます…」


わし「起き次第呼んでくれ、あとは今回の戦の書類を頼む」


カイン「はは!!」


会議室


ギシィ…。


ふーむ、圧倒的戦果では無いか…しかし、圧倒的過ぎて捕虜も傷病兵も数が多いな…敵方の物資を使うか


傷病兵は、サイマール砦で治療させて、回復したら奴隷身分に落とすか、悩ましいな


捕虜の輸送も大変だ、我が軍の半分もいるぞ、鉄道があればなぁ


ガチャ…


ホウトク「失礼…あああ…飲み過ぎちまった…旦那何か用ですか?」


わし「ああ、捕虜や傷病兵の今後の扱いについて意見を聞きたくてな」


ホウトク「最後のページ…おうっぷ…見て下さい、書いてますよぉ…」


わし「なぬ?おお!!なるほど!!」


ホウトク「んじゃあ、俺もう一眠りしますね〜…うっぷ」


わし「おう!ご苦労さん、起こして悪かったな」


なるほど、傷病兵はわしの意見と一致してるな、官位のある奴は身代金を要求して、捕虜は凱旋時に寄る村や都市で少しづつ奴隷商に売って行けば良いのか部隊を2000づつ分けて4編成にして、少しづつ帰還していけば良い、もう早馬で聖カトレイア国には身代金、王都には兵の交代要員、奴隷商は呼んだとの事


なるほど、軍師の腕もさる事ながら、戦後処理も完璧だな


さて事務仕事は終わりだ


傷病兵収容所 士官専用


ガチャ


わし「ほう…彼がカンビ将軍か」


THE将軍って感じ、デカイって感じ、それ倒したシルビアは化け物って感じ


カンビ将軍「そこにいるのは、マルス王子か」


アリア「お下がり下さいマルス様」


わし「アリア〜わしってバラしてどうすんの?」


アリア「ハッ!すっすいません!!死んで詫びます」


わし「いいから!!簡単に死ぬとか言うなよ!!」


カンビ将軍「ふふふ…我の完敗だ…まさかここまでやられるとはな、我は殺されても構わんが、捕虜の待遇だけ頼む」


わし「もちろんだ、マルクス王国は野蛮人では無く法に則った文明人だ、捕虜の待遇も世界一だと思うぞ、将軍はまずは傷を治されよ」


カンビ将軍「か…感謝する」


うほーこえぇぇ…緊張したわぁ…リアル大物軍人、超こえぇ、でも潔くてカッケェ…


わしは殺されても構わんが、捕虜の待遇を頼む(キリ


言えねぇ…死にたくねぇ…



     ざわざわ… ざわざわ…


   ざわざわ…ざわざわ…



ん?どうした?


サイマール砦兵「悪いな指を切らせてもらう」


聖カトレイア兵「ひぃぃぃいい!!」


わし「何やってんの?捕虜は丁重に扱えと厳命したが」


サイマール砦兵「はっ!マルス様、長弓兵は弓を番える中指と人差し指を切る慣例がありまして、二度と弓を握らせない為で、捕虜虐待ではありません」


あ…聞いた事あるな、イギリス対フランスの戦争でそんな事してたな、手の甲を向けてピースすると「まだ指を切り落とされず、お前の兵を殺してる」って意味になったんだかな、だから手の甲を向けたピースが、イギリスの国で侮辱するポーズになったんだっけ


わし「あ〜わし玄孫とかがピースして写真撮りたいから、指切り禁止ね、これ捕虜虐待禁止条項に追加してて」


サイマール砦兵「ぴーす?しゃしん?…あ…わかりました、伝えておきます」


聖カトレイア兵「あ…ありがとうございます…」


わし「次にマルクス王国に弓を引いたら、1000メード先から、弓を引いた瞬間に頭をブチ抜く武器あるからね」


聖カトレイア兵「ガクブル…ガクブル!」


こうやって歴史は紡がれてんだろうな


わし「んじゃ、みんな荷造りして凱旋するぞ〜先遣隊2000、捕虜1000敵から回収した物資忘れずに〜」


マルクス兵「おおおおおおおおお!!!」


こうして、マルクス王国防衛戦争は終わった



次回に続く…

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