第2話
「あぁ…ああぁぁぁ…ッ⁉」
絶望! 圧倒的絶望!
もうオイラ、普通の生活には戻れないんですよ⁉
故郷の人たちに指名手配されているんですよ⁉
「あぁ…ああぁぁぁぁ…ッ⁉」
『マスター。奇声を発するのは、それで本日で13回目ですよ?』
「ああッ! もうッ! いつまでもピィピィ言っとらんと
オイラが飲み込むには重すぎる現実に
「二人共、人ごとだと思っているから、そんな冷静なんスよ! 自分の故郷の村の人たちに指名手配されるなんて当事者になったら自殺モノっスよ⁉」
「まあ、確かに、なかなか無い事やろうけど、なってもうたもんはしゃあないやん。」
『マスター、今の現実を受け止め、過去ではなく、これからどうするかを考える方が建設的ではではないかと進言します。』
「いや、まあ、そう言われると、そうなんスけど…。」
言い淀みつつ考える。
オイラ、現在、村人Aから新米極悪
うん、無理。ヘビー過ぎる。
でも、ヘビー過ぎるからこそ、あんまりマイナスばっかり考えていたら、これから訪れるだろうもっとヘビー過ぎる現実に押しつぶされそうだなとは思う。
うん、確かに、頭切り替えないと、やっていられないかも。
「分かったっスよ! とりあえず、今は、うちの村の自警団から少しでも逃げましょう。」
「お、やっと落ち着いたね。まあ、
モニター越しに、ミケさんが、ニッコリと笑顔を向けて来る。
うわ、この人、普段から可愛いけど、笑うと150%くらい
この笑顔は反則級です!
オイラがニヘラぁっと鼻の下を伸ばしていると、
『マスター、元から締まりのない顔が、
と、
「分かったよ! 細かいなぁ、
『マスターがノンキ過ぎるだけです。』
そのオイラと
「君ら、息合っとるね。仲良し過ぎて、ちょっと
と、ミケさんがニコニコ笑顔のまま言って来る。
「まあ、長い付き合い…『いえ、ただの腐れ縁なだけです。』」
オイラの言葉に、
「うぉい
『事実を述べたまでです。』
「ぐぬぬ…。」
「フフ…。ホンマ仲が良いんやね、君ら。」
ミケさんがモニター越しにニコニコ笑顔のままウィンクしてくる。
ヤバッ、これは見惚れちゃう。何て破壊力なんだ。奴の性能は化け物か⁉
と、そんな事を思っていると、
「っと、そろそろ合流するかな。」
と、ミケさんが言って来る。
「合流っスか? そういえば、ミケさんは
当然の疑問をミケさんにぶつけてみる。
「チッチッチ。うちは
ミケさんが指を左右に振りながら答えて来る。
「
想像してない答えが返って来て、オウム返しに返してしまう。
「まず、ファトス村の自警団の昼食に下剤を入れる。これで、大半の自警団は腹を下して行動不能や。けど、何人かは昼食をまだ食べてなくてピンピンしとるやろう。そやからや、うちが一番目立つこの
ミケさんが、悪戯をした時みたいな顔をして、親指を立てて来る。
「ふぇ~。」
そんな事をしていたんだ。
ミケさんは自称有名人との事だけど、ここまでの事を考えられて実行に移せるっていうのは、本当に有名になるほど凄い人なのかもって思わせられる。
「で、うちを追い掛けて来た自警団も、うちが事前に仕掛けたスタンネットで一網打尽…ってアンバイのはずやったんやけど…ロクスリー君に見抜かれてもうて、あの時は
「いや、アレは、目が良いとかっていうより、一度体験したからというか…。」
「うん? 一度体験した?」
「何か、オイラ、あの場面で一度失敗して死んじゃって、生き返ったら、あの場面からで、既に体験したから、どこにスタンネットがあるのか分かったっていうか…。」
このオイラの発言を聞いて、ミケさんが、う~ん、と唸る。
「
「う~ん…。それにしては、リアリティーあり過ぎな気もするっスけど?」
「
「まあ、こんなオイラなんかで役に立つならOKっスよ。」
「うん! ありがとうやで、ロクスリー君!」
そうホコホコ笑顔をミケさんが向けてくれるが……うん? …あれ?
「ミケさん? 今、思ったんスけど、うちの村の自警団は、さっきの副団長さんたちはノックアウトですし、それ以外の方々は下剤で腹を下してダウンしてて、のたうち回ってる間に、ミケさんのお仲間さんたちに自警団倉庫に残ってる
ふと湧いた疑問をミケさんに投げるが、
「確かに、自警団の
と、思ってもみなかった上、本人の言うように凄い入念な答えが返ってきて、
「ふへぇー……。」
その考えつくされた油断ない対応の話に呆然としてしていると、
「っと、でも、そうは言ったけど、そろそろ仲間も
ミケさんがモニター越しに、手を上に付きあげて笑って言って来る。
そこに。
「残念ながら乾杯はできそうにないぜ? ミケ=スターライトさんよぉッ⁉」
いきなり誰かが、こちらに通信をして来る⁉
『マスター、前方に機影多数。こちらを囲む様に
「うぇ…ッ⁉ な…何なのッ⁉」
うろたえるオイラ。
「誰やッ⁉」
今までのニコニコ笑顔から一転して、強気な瞳でキッと前方を
「ザイン=ウォルナス……ッ! アンタと同じ
名乗って来た相手が、ワザワザ通信で姿を見せてくる⁉
金髪オールバックで浅黒い肌!
見るからに係わり合いになりたくない部類の相手だと分かる!
「ラフィンスカルのスナッチャーザインか……ッ⁉」
名乗りを上げて来たザインさんとかいう人に
「何スか⁉ 知っている人なんスか⁉」
ミケさんで
「ラフィンスカルっちゅう、相手が弱いモンやったら、
神妙な面持ちで、ザインさんたちの事を解説してくれつつ、
って、何ッ⁉ その関わり合いたくない度MAXの相手ッ⁉
「おいおい、自分は
ザインさんとかいう人が半笑いで言って来る。
「な…何か、ミケさんの方が凶悪そうなアダナじゃないっスか…ッ⁉」
「う…うるさいな!」
ミケさんがちょいキレ気味で言ってくる。相当、このアダナ、嫌なんだろうなぁ。
「おうおう、オレを無視で盛り上がっちゃってまぁ。けど、オレがここに来た用件は、何となく察しは付くだろ?」
ザインさんが笑いながらも鋭い目つきで、こっちをねめつけて来る。
「強奪したばかりで不慣れなこの
不利な状況ながら、強気の発言を貫くミケさん。
そのミケさんのタンカを聞いて、
「ほうほう。言うね、言うねぇ。けど、それはそれまでオマエたちが
上機嫌で部下の人たちに命じるザインさん。
「ヒーヤッハー! 了解だ、ボス!」
「オレが特別報酬を頂いちゃうぜ!」
「いや、オレが貰うんだよ! へへへ!」
6機ほどの
『マスター、敵部隊、こちらを囲みつつ
ちょ…まっ…⁉
「ど…どど…どうするんスか、ミケさんッ⁉」
敵、群がる、群がる。オイラ、ビビる、ビビる。
「不慣れな機体の今のうちらやとコイツらの相手もムズいけど、うちの仲間さえ来てくれたら、こんな
ミケさんが鼻息も荒く言って来る。
「いや、意気込みは分かるっスけど、具体的にどうするんスかッ⁉」
「とにかく、時間稼ぎや! とりあえず、そこの林の茂みに逃げ込んで
そう言って、早速、林の方に向かうミケさん。
「りょ…了解っス! だから、何とかして下さいっス! オイラの力じゃ、こんなヤバそうな人たちの相手なんてムリっスから! マジ、お願いっス!」
涙目でミケさんにすがるオイラ。
「任せとき! 伊達に魔王の名は付けられてへんって事を見せたる!」
オイラの泣き声にミケさんが強気で断言する。
何て頼もしい!
林の茂みに身を潜め、ザインの部下たちを
「ロクスリー君! 当たらんで良い、とにかく相手の足止めや! 近づかさん様に弾幕を張り! うちも行く!」
そう叫ぶなり、ミケさんはシュタイガーンバオアーのレーザーライフルを乱射する。
「了解っス!」
オイラも、ゲズのバズーカをザインさんの部下たちに向かって乱射! オイラの腕じゃ当たりはしないけど、オイラだって、足止めくらい!
「フッ…フフフ…ハハハ…ッ!」
奥の方で、急にザインさんが大爆笑し始める。
「何や? スナッチャーザイン? 気でも触れたか?」
ミケさんがザインさんを睨みつける。
「いや、なに、嬉しくてねぇ。オマエたちがオレの仕掛けにマンマと掛ったのが嬉しくてねぇッ!」
そうザインさんが言ったかと思うと、
「ヒャハハ!
「特別報酬はオレのモノだ!」
ザインさんの部下たちが、オイラたちの後ろからも現れて、完全に四方を囲まれる⁉
「なっ⁉」
ミケさんが
「ど…どうなってんスか、ミケさん⁉」
「クッ…マンマと、この場所に誘い出されてもうた! うちらがセオリー通り、林を
ミケさんが苦しそうに言う。
「フフフ…ハハハッ! その通り! だが、まだあるんだぜ?」
ザインさんが笑いながらも目をギラつかせる!
すると、林の上からネットが落ちて来るッ⁉
「ウガッ…マジで⁉ 今日、2回目なんだけどッ⁉」
スタンネット! まさかのスタンネット!
絡みついたネットが電気を流し、ゲズとシュタイガーンバオアーのジェネレーターを麻痺させる!
「クッ…ネットまで仕掛けてたやなんて…⁉」
ミケさんが悔しそうに嗚咽を漏らす。
「へへへ…
ザインの部下が近寄って来て、なされるがままにミケさんのシュタイガーンバオアーが運ばれる。
「コイツどうする?」
オイラのゲズをザインさんの部下の皆さんが
「ゲズなんか
「へへ…じゃあ、オレやる! オレやる! 一度、パイロットごと、
ザインさんの部下の皆さんが
「ちょっ⁉ ま…タンマ…⁉ ミ…ミケさん…! 助け…」
そこで、全身に衝撃を感じた。
ザインさんの部下の一人のゲズが、オイラのゲズのコックピットに向けてバズーカを直撃させた衝撃が、全身を貫いたんだ!
「思い出した……。死ぬってこんなに痛いんだ……。」
圧倒的な痛みが
皮膚が溶ける痛み。
骨が溶け落ちる痛み。
眼球が焼け
全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを
そして、急激な
そこで
一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。
ボヤけた視界が、徐々に
「とにかく、時間稼ぎや! とりあえず、そこの林の茂みに逃げ込んで
そう言って、早速、林の方に向かうミケさん。
「良かった! ここからなら、まだ何とかなりそう!」
何とかマシなところに戻れた事にホッと一息付くオイラに、
「な…なんや、ロクスリー君ッ⁉ また文脈おかしい事を言い出してッ⁉」
ミケさんが、
だって、既にオイラたちの後方には、ザインさんの部下たちがオイラたちを囲む為に
「ミケさん、強行突破! 強行突破です! そこの林にはスタンネットが仕掛けてあるし、もうオイラたちの後ろからもザインさんの部下が
「な…ッ⁉」
ミケさんが
そこで、
「何で分かったんだ、アイツ⁉」
ザインさんの部下の一人が、
それを見て、ミケさんが、
「またロクスリー君の
ミケさんがテキパキと指示を出す。
「OKっス! 突っ切るっスよ!」
オイラたちを追っていたザインさんたちの部下が、逆にオイラたちに
撃墜する気はない。
当たらなくても振り切れるだけのめくらましが出来れば問題ない!
「そこをどきッ!」
ミケさんが
「被弾したくなかったらどけッ! 当たると痛いぞッ!」
オイラもミサイルとバズーカを乱射!
いきなりの反撃に面食らったザインさんの部下たちが隊列を乱す。
そこをミケさんのシュタイガーンバオアーを先頭にオイラたちが突っ切る。
「やったっス! ザインさんたちの戦列を越えたっス!」
喜びの声を上げるオイラ。
「やね! 後は、うちの仲間が来るまで逃げ切って……」
ミケさんも、ホッとした表情を浮かべたが…⁉
「甘いんだよ!」
ザインさんが
『マスター。前方から敵増援。』
「マジでッ⁉」
前方からジーナの部隊が
「仮にもアヴァドンを狩ろうってんだ。これくらいの準備はしているって事さ。さぁ、野郎共、舐めた真似をしてくれたお嬢さんたちにしつけをしてやりな!」
そのザインさんの声を聞いて、
「へへへ…
「ヘッ、特別報酬はオレのモノだ!」
ザインさんの部下のヒャッハーな皆さんが、こっちにバズーカやレーザーライフルを撃って来る。
「ちょっ…ま…たんま…」
あぁぁ……回避が間に合わない!
「いやじゃぁぁぁー!」
何とか
「クッ…コックピットがガンガン揺れる……。」
ミケさんも
「ちょっ…み…ミケさん! 降参! 降参しましょう! 命あっての
涙目でミケさんにすがり付くオイラ。
だけど…。
「アカン! アカンのや! この
何か意固地になってらっしゃるッ⁉
「おいおい、状況を見て言えよ? 嬢ちゃん状況が見えねぇのか?」
ザインさんが、半笑いで呆れた様に言ってくる。
「そ…そうっスよ…明らかにオイラたち劣勢っスよ⁉ もうどうにもなんないんスよ⁉」
涙目でなだめるオイラに、
「それでも何とかせなあかん!」
マジで言ってる、この人⁉
「嬢ちゃん、状況を見てモノを言えって言っているだろ?
ザインさんが半笑いながらもギラ付いた目で
「それでも! うちはこの
「み…みみ…ミケさん⁉」
ちょっ…意固地にも程がありますよッ⁉
「馬鹿な嬢ちゃんだぜ。おい、野郎ど…『ザインさんッ‼』」
ザインさんの言葉にオイラの叫びを重ねる。
「あん?」
ザインさんが
「オイラは! オイラは降参するんで! オイラだけは助けてくれないっスか⁉ 何なら、ザインさんの部下になっても良いんス!
涙を目に
「ちょっ…何言うてるん、君⁉」
ミケさんが
「命あっての
必死のオイラに、
『マスターは最低だと判断します』
と、
「最低で良いよ! オイラ、また死んで痛くなりたくないの!」
オイラが必死に説明していると、
「勝手に盛り上がるなよ小僧! ゲズなんか売っても
と、ザインさんが無常にも言ってくる。
「そ…そんなぁ……。」
万事休す…。まさかオイラの人生、ここでデッドループしちゃうの⁉
「野郎共、一斉ミサイル射撃!
ザインさんが一斉攻撃の指示を部下の方たちにする。
「ヒャハッ! 了解だぜ、ボス!」
「
ザインさんの部下の皆さんが、下卑た笑いを浮かべながらミサイルを発射して来る。
「クッ…
ミケさんがシュタイガーンバオアーの
無理っしょそれ⁉ さすがに物量が違いすぎるっしょ⁉
「ああぁぁぁぁ……。」
オイラが恐怖と絶望から目をキュッと閉じた時に、
『マスター、左舷よりミサイル以外の熱源、こちらに急速接近。』
と、
「うぇっ⁉」
その
「なっ…ッ⁉」
ミケさんも
ザヌスが、こっちに飛んできたミサイルを全弾切り払った。
「な…なんだコイツ⁉」
「ど…どうなってんだ⁉」
ザインさんの部下の皆さんが口々に
「テメェ、一体、何モンだ⁉」
ザインさんがザヌスのパイロットに問う。
「男共に名乗る舌は持たん!」
ザヌスのパイロットの人が
その声は、透き通っている感じで耳に残る青年の声。
通信で姿も見せており、そこに映る、その姿は、ロングの白髪で長い髪をポニーテルに
「この人が、ミケさんの言っていた、お仲間さんなんスか?」
オイラが、助かった安堵と共に、ミケさんに聞く。
しかし…、
「いや? 始めて見る相手やで? ロクスリー君の知り合いやなかったん?」
と、逆に聞かれる。
「え…? あれ…?」
オイラが悩んでいると、
「大丈夫ですか、お嬢様?」
と、白髪の人がミケさんに言ってくる。
「ああ、ピンピンしとるで。まあ、アンタが来てくれへんかったら、ヤバかったけどな。」
と、笑顔でミケさんが答える。
「お助けに参るのが間に合って良かったです。男の方は、まあ適当にな。」
「何か扱い違わなくないっスかッ⁉」
何か、ミケさんにだけ丁寧で、オイラ、ぞんざいに扱われてないッ⁉
「ええい! 何だか良く分からんが、野郎共、まずは、そのしゃしゃり出てきたザヌス野郎から片付けてしまえ!」
ザインさんが部下の皆さんに号令を掛ける。
「了解だ、ボス!」
「舐めた
部下の皆さんがザヌスの人に
「ザヌスは砲戦用
部下の皆さんのうちの一人のジーナが、ザヌスにレーザーアックスを振るう。
けど、ザヌスに当たったと思ったその一撃は…⁉
「
何故か、ザヌスの
あれ? いま、確かに当たった様に見えたのに、どうなってんの⁉
「何をやってんだッ⁉ そんな鈍重機体に何故当てられんッ⁉」
ザインさんが苛立ちながら叫ぶ。
「野郎…ッ! 妙な動きをしやがるッ!」
ザインさんの部下のジーナが、再度、ザヌスにレーザーアックスを振るうが、相変わらず、当たった様に見えたのに、何故か回避されている。
「クッ…何でだよ⁉ 何で当たったはずなのに当たらねぇ⁉」
ザインさんの部下がレーザーアックスをブンブン振り回すが、いっこうにザヌスに当たらない。
「気は済んだか? では、こちらからも行くぞ?」
ザヌスの人が、白い
構えたのに、
ああ! アレ、多分、レーザーセイバーって奴だ!
レーザーブレードのレーザーを、高出力に圧縮して保全しておいて、インパクトの瞬間のみに剣状に
本体
でも、その性質上、取扱いには高い操縦能力が求められるとも聞くけど……。
って事は、この人、相当できる人ッ⁉
てか、それなのに、何で砲撃戦用重装甲
とかオイラが考えているうちに……。
「
ザヌスの人が斬り付け…たんだけど……⁉
な…何か…
そのブレる様な
「ばっ…バカなッ⁉」
ジーナの人が脱出ポッドで逃げる。
「何やってんだッ⁉ そんな鈍重な
ザインさんが苛立ちながら叫ぶ。
「クッ…ザヌスで格闘戦をしようなんて、そもそも運用方法が間違ってんだよッ!」
ザインの部下のガトナスが
「
ザヌスの人が、
「クッ…コイツッ!」
「舐めるなよ、テメェ!」
その言葉に、ザインさんの部下の皆さんがブッツリ切れて
しかし、さっきのジーナの人の様に、明らかに攻撃が当たったはずなのに、何故かザヌスに攻撃が当たらない!
「す…凄い…何モンやねんや、あの兄ちゃん⁉」
ミケさんすら
「では、こちらも行くぞ?」
ザヌスの人がレーザーセイバーを……。
「
何か、ザヌスの人が言って…振るう…。
けど、明らかに間合いの外でブンブン振るって…⁉
って……アレ…ッ⁉
「ど…どうなっている…⁉ 何で攻撃が届くんだ⁉」
ザインさんの部下のガトナスの人が
いや、オイラも
だって、明らかに間合いの外から
ど…どうなってんのッ⁉
「気を抜くな。まだ終わりではないぞ?」
ザヌスの人の
「ひぃッ⁉ ガトナスの腕が! オレのガトナスの両腕がぁぁぁッ⁉」
「貴様は
ザヌスの人が瞬く間にガトナスの胴体を真っ二つにする。
「ひっ⁉ ひぃーッ⁉」
ガトナスの
「な…なんだ…今の⁉」
「こ…コイツ…普通じゃねぇッ⁉」
ザインさんの部下の皆さんが
「え~い! そんな鈍重機体1機に何をやっている⁉ どけ! オレが直々に相手をしてやる!」
部下たちが一方的にやられるのを見て、
「来い。
ザヌスの人が、クイクイっと右手で
「野郎! 舐めやがって! このオレ様と、この
ザインさんのブッサルトとかいう
それを、ザヌスが、相変わらず明らかに当たったはずなのに、何故か全弾回避。
「クッ…なんだコイツ⁉ 動きがどこかオカシイぞッ⁉」
ザインさんが
実際に対峙して、ザヌスの人の異常性に気付いた様子。
「クッ…だが、格闘戦に持ち込めばザヌスごとき!」
ザインさんのブッサルトが、ザヌスに向かってレーザーソードを振るう。
しかし、ザヌスに当たったはずのその
「ど…どういう事だ? 何故、当たったはずなのに当たっていない⁉」
「貴様は、今までの
そして、相変わらず、ブレる様な
「クッ…なんだッ⁉ 動きが妙だぞ…ッ⁉」
「その上、
ザヌスの人の
あ…あの
で…でも…どうやって伸びているんだ⁉
「クッ…この
ザインさんが
なるほど! あのザヌスの人は、何か特殊な動きで、オイラたちに間合いを見誤らせて、攻撃が当たった様に見せて当たらせず、逆に自分の攻撃も見誤らせて回避させない様にして、その上、
でも、アライン流? レナス=アライン? 誰じゃらほい?
「聞いた事があるで…この世界の、裏の世界で、アライン流っちゅう一子相伝の
なるほど、このザヌスの人、ミケさんたちみたいな裏の世界の人からしたら超有名な人なのね。
「何にしても、強い人が味方してくれるのは心強いっス!」
「やね。あ…でも、アレッ?
「お嬢様。その話は、この場を切り抜けてから話します。今は、ここを切り抜ける事に専念して下さい。」
ザヌスの人が、ミケさんを諭して来る。
「了解や! ロクスリー君、今のうちらやったら、兄ちゃんの足手まといになる! この場は、この兄ちゃんに任せて、うちらは退避や!」
「了か…」
「させるかよ! 野郎共、このザヌス野郎は後回しだ!
あぁぁ!? ザインさんが部下の皆さんに最悪な号令を掛ける⁉
「了解だ、ボス!」
「へへへ! そういう事なら、アヴァドン共々、いたぶってやるぜ!」
ザインさんの部下の皆さんが、レーザーライフルやバズーカや
「ああぁぁぁぁッ⁉」
ミケさんが
「クッ…愚劣な!」
ザヌスの人が、シュタイガーンバオアーを
でも、シュタイガーンバオアーを庇いながらな上に、物量が違い過ぎる⁉
ザヌスとシュタイガーンバオアーが、徐々に被弾して行く。
うがっ…最ッ悪ッ!
ざ…ザインさんたち、的確に、オイラたちの弱点を突いてくるッ⁉
『マスター、ミサイル多数。シュタイガーンバオアーをターゲッティングしています。』
「ああぁぁぁ…これはヤバ
シュタイガーンバオアーに向かったミサイルをザヌスの人が切り払う。でも、庇って動かなきゃ行けない為、動きが制限され、その上で数が多過ぎる為、ザヌスの
「
「クッ…うちが足を引っ張っとるから……クッ……ッ!」
ザヌスの人とミケさんが苦しそうな声を上げる。
クッ…これは…
その時…、
『マスター。巨大な熱源反応接近。
「え…ッ⁉ も…もしかしてッ⁉」
3機の、
「トロイメンカッツェの特攻隊長! ケビン=ブロッサム様のラーゼンレーヴェだ! 当たると痛ぇぞッ!」
と、叫びつつ、
レーザーの
「な…なんだ…ッ⁉」
「は…速ぇぇ…ッ⁉」
「クッ…!」
「あぁ…ッ⁉」
「よ…避け切れねぇ…ッ⁉」
前面に出ていたザインさんの部下の方たちが、次々に被弾して行く!
レーザーライフルをガトリング状にして撃つ事で、速射性を高めた上で、威力も通常の実弾のガトリング砲よりも高いという武装を連射する‼
「うぁッ! ダメだ! やられた! 脱出する!」
「な…なんて速さだ…ッ⁉ つ…強ぇぇッ⁉ こ…こいつが噂のアヴァドンの
ケビンさんと名乗った人のラーゼンレーヴェとかいう青い
「チッ…アレがトロイメンカッツェのラーゼンレーヴェ……。アヴァドンの仲間を合流させちまったか…ッ⁉」
「
青い
「おい、ミケ! まだ生きてるか?」
「おっさん! ケビン! ユリン! マカロニ! よう来てくれた!」
ミケさんが目を輝かせる。
「この人たちが、今度こそ、ミケさんの言っていた、お仲間さんなんスねッ⁉」
「そうや! うちの仲間たちや! 間に合ってくれた!」
ミケさんが誇らしげに言って来る。
「リーダー、そっちの一緒に戦っている二人は誰なの? うはッ! そっちのゲズの子、中々、
3機の
何を言っているのか分らないけど、何故か背筋に寒気がして、ちょっと
「コラ、ユリン! 戦闘時にオマエの
「っと、まだ長話をしていられる場面では無いですよ? 話の続きは後で、今は、スナッチャーザインの部隊の、ラフィンスカルを
こげ茶と赤茶の2トンカラーの、ザヌスより
「了解や! ケビン! うちがソルファージュに帰還するまで、前面に出てザインの部隊を叩いてや! ユリン! うちがソルファージュに帰還するまで護衛! マカロニは、遠距離から射撃で遊撃! おっさん! ソルファージュの艦砲射撃、ザインたちの部隊に向けて
テキパキと指示を出すミケさんに、
「了解だ、
「OKよ、リーダー。」
「分りました、ミケさん。」
「了解だ、ミケ!」
3機の
「承りました、お嬢様。この身はアナタを
ザヌスの人も言って来る。
「こっちもOKっスよ! オイラじゃ足手まといっスから、急いで
「良し、ほんなら、各機、状況開始!」
『了解ッ!』
全員の声がハモる。
「え~い!
急激な状況の悪化の中でも強気のザインさんが、部下の人たちに指示を飛ばす!
「了解だ、ボス!」
「ラーゼンレーヴェが何だってんだ! オレたちゃ泣く子も黙るラフィンスカルだぞ!」
ザインさんの掛け声で、ラフィンスカルの面々が、士気を高める。
「セリア! ソルファージュ、敵部隊に艦砲射撃! 3連装大型レーザーランチャー!
「了解! 艦砲射撃に入ります! 3連装レーザーランチャー、
ミケさんに、おっさんと呼ばれた艦長さんが、黒のパンツを履き、白のクロースに、黒のジャケットを羽織った、栗色の髪で、胸上までの長さのロングの髪の、毛先にだけゆるくパーマを掛け、前髪は目の上で流した、フェミニンロングの、オペレーターっぽい女性に命じ、ソルファージュと呼ばれた戦艦から艦砲射撃がラフィンスカルの部隊に
「あぁぁッ…! レーザーが
「クッ……
「こ…こんなデカ
ラーゼンレーヴェと呼ばれた青い
「野郎共ッ! 戦艦の弾幕なんかに、そうそう当たるんじゃねぇッ! もっと注意して動けッ!」
「了解だ、ボス!」
「クッ…デカ
ザインさんの指令を聞き、ソルファージュの艦砲射撃を細心の注意で回避しつつ、部下の皆さんが、ギラ付いた目を、前面のラーゼンレーヴェに向ける。
「こ…このッ!」
「ちぃッ!」
ラフィンスカルの皆さんがラーゼンレーヴェを捉えて仕留めようとするが、凄まじい加速でスルスルと弾幕を
「行くぜ、相棒! ラーゼンレーヴェ、突撃する!」
ラーゼンレーヴェが突撃する。
「クッ…集弾率が高くて回避できねぇ! クッ…足が…ッ!」
ザインさんの部下のうちの一機のジーナの両足が瞬く間に潰され、堪らず脱出ポッドを起動させる。
「ガトリングガンは
「了解だ、ボス!」
「やられっぱなしじゃねぇ事を教えてやる!」
ザインさんの指示を聞き、部下の方たちが、
「へっ…! おいでなすったな…ッ! だがな…ッ! アリーエルスラスターを起動中の、このラーゼンレーヴェに…ッ! 当てれると思うなよ…ッ!」
ケビンさんが、そう言ったかと思うと、ラーゼンレーヴェが
ブンッ!と、機影がぶれたかと思うと、凄まじい速さで、撃たれたライフルやバズーカを回避して行く。
「な…何て速さだ…ッ⁉」
「ど…どういう機動性してやがんだ…ッ⁉」
ラフィンスカルの皆さんが
「うろたえるな! ただ追加スラスターを全開に吹かして急加速を繰り返しているだけだ! あんな動きが長く持つかよ! アイツは強襲型で燃費が悪い! もっと弾幕を張って、アイツが
「へへ…。そういう事なら!」
「踊り疲れてヘバるまで付き合ってもらうぜ!」
ザインさんの指示に、ラフィンスカルの皆さんが、嫌らしい笑みを浮かべてラーゼンレーヴェにライフルやバズーカを、
「ヘッ…そのくらいの弾幕の厚さがどうだってんだ! アリーエルスラスターを発動した、この相棒なら!」
ケビンさんのラーゼンレーヴェが、
「こ…こんなッ⁉」
「く……クソぉッ‼」
次々に被弾して行くザインさんの部下の皆さんだけど。
「いくら機動性が高くても、たかがガトリングと、ミサイル程度じゃ決定力に欠けるんだよ! 野郎共! こんな程度の攻撃じゃ、ラフィンスカルは負けてやれねぇって事を教えてやれ!
ザインさんが
それらの集中攻撃をアリーエルスラスターとかいうので
「アン? 相棒が決定力に欠けるだと?」
「ハッ! 良いぜ! そこまで言うなら、このラーゼンレーヴェの本気の火力って奴を見せてやるッ!」
「
バズーカの様な大型の弾丸……なだけじゃない⁉
弾丸の周りをレーザーが覆っている⁉
そのまま、直近のゲズに向かって飛ぶッ‼
「し…
でも、流石に名の知れた
「ば…バカなッ⁉」
ゲズが構えた
「な……何なんだ……この威力はッ⁉」
「め……メチャクチャじゃねぇかッ⁉」
「ど……どういう弾丸なんだッ⁉」
「どけ! やられた奴は引っ込んでろッ!」
「次ッ!
でも‼
「さっきの
意地を見せるとばかりに、ガトナスの人が、素早い動作で頭部を
銃剣から
「
「な…何て貫通力だッ⁉」
さっきのバズーカもメチャクチャだけど、このレーザーも、何なの、これッ⁉
「オマケだッ!
ケビンさんが、そう言ったかと思うと、さっきの銃剣の本体が、レーザーを纏い、レーザーソードになったッ⁉
ああ…これ…バズーカと、レーザーライフルと、レーザーソードになるから、トライバレルって言うんだ……とか考えてる間にッ‼
さっきの頭部をぶち抜かれたガトナスを、右斜め上から左斜め下に、真っ二つに切り裂くッ⁉
「ひっ…ひぃーーーッ⁉」
何とかガトナスの人の脱出ポッドは作用した模様だけど……。
「い……いくらガトナスだって言っても…レーザーソードで
「な…何なんだ…コイツッ⁉」
ラフィンスカルの皆さんの
「ガトナス程度を真っ二つ程度でビビんなよッ? お楽しみは、これからだぜッ‼」
ラーゼンレーヴェが
「へッ‼ 見せてやるぜッ‼ ラーゼンレーヴェの最大火力って奴をよぉッ‼」
そのまま、
インパクトの瞬間だけ、レーザーの刃を出すって事は、恐らく、レナスさんの使ってたのと同じでレーザーセイバー……だとまでは予測したんだけど…ッ⁉
な…何ッ⁉ あのセイバーの刃のレーザーの大きさッ⁉
ざっとラーゼンレーヴェの目の前のザヌスの全長の2倍はあるくらい、めちゃデカいんですけどッ⁉
「で…デカ過ぎるッ⁉」
目の前のザヌスを頭頂部から真っ二つ……だけじゃないッ⁉
「こ…こっちまでだと…ッ⁉」
目の前のザヌスの後ろに居た、もう一機のザヌスも一緒に、真っ二つになったッ⁉
ざ…ザヌスって……重装甲
それを2機同時に真っ二つなんて……ど…どんな威力と効果範囲なのよ…ッ⁉
「クッ…遠距離からのスナイプだと⁉ ダメだ、脱出するッ‼」
ラーゼンレーヴェに陣形を崩された上でのスナイプで、前面に出ていたガトナスの人が被弾し、脱出ポッドを起動する。
「残念ながら、アナタたちは、既にボクのフェストゥングの射程圏内なのですよ。ダメージプラス。簡単な足し算ですね。」
オイラたちが向かっている
「チッ…砲戦型の
「あいさ、ボス!」
「いくら瞬間機動力と火力が凄くたってなぁ!」
ザインさんたちが散開しつつ、ラーゼンレーヴェに火力を集中。
でも、このくらい、ケビンさんのラーゼンレーヴェの超加速なら…って…えッ⁉
そこで、ラーゼンレーヴェの速度が減速し、ザインさんたちの攻撃の中の回避しきれなかった一部によって
「クッ…
今までの余裕の表情から一転して、何か聞きなれない名称を
えーーッ⁉
ここに来て、
これ⁉ ヤバイんじゃないの⁉
だけど、その間に!
「よし、ソルファージュに着いた。ロクスリー君! ブースター
「ハイっス!」
ミケさんと共に、空中をホバーリングしているソルファージュのカタパルトにゲズのブースターを
「よし、到着や! ロクスリー君は、ソルファージュ内で待機!」
「了解っス!」
前線に出ずに、後方で待機できるのは、オイラ的に、とっても助かるところ。
「セリア、うちのタイニーダンサーの準備は?」
ミケさんがオペレーターのセリアさんに
「タイニーダンサー、オールグリーン! いつでも出せます!」
「よし! じゃあ、タイニーダンサーに乗り移る!」
ミケさんが、シュタイガーンバオアーから、タイニーダンサーと呼んだ真っ白い機体に乗り移る。
「タイニーダンサー。長い事、待たせたね。でも、そろそろ出番や!」
ミケさんが、シュタイガーンバオアーをどけて、タイニーダンサーをカタパルトの
「ミケ=スターライト! タイニーダンサー! 出るで!」
その後の
空を飛んでいる⁉
あのタイニーダンサーって
最初は
しかも、あの
多分、アレ、
その上で機体はコンパクト!
きっと、アリーエルクラフトも、
「ケビン、いまそっちに行く! オマエは、ちょい下がり! ユリン! ケビンのサポート! マカロニは引き続き砲撃! ザヌスの人は、うちに続いてや! おっさん! もっと弾幕張ってや!」
ミケさんが相変わらずテキパキと指示を出す。
「了解だ、
「OKよ、リーダー!」
「分りました、ミケさん!」
「了解だ、ミケ!」
「承りました、お嬢様。」
トロイメンカッツェのメンバーとザヌスの人が、口々に応える。
「な…
「アレが、アヴァドンの愛機のタイニーダンサーか⁉」
ザインさんの部下の皆さんが空を滑空して
「クッ…
ザインさんが部下の皆さんに指示を出す。
「逃げへんのは
ミケさんが、言葉の溜めの後にタイニーダンサーのブースターを
「は…速ぇぇッ⁉」
「クッ…ラーゼンレーヴェ程じゃなくても…空を飛ばれて…この加速は…ッ⁉」
ラフィンスカルの皆さんが
「トライバレル! まずはレーザーや!」
ミケさんがそう叫んだと思うと、タイニーダンサーが右手に握った銃剣……さっきのラーゼンレーヴェの
「クッ…頭部をやられた! センサーが死んじまって索敵できねぇッ!」
「こっちは左手を持ってかれた!
ラフィンスカルの人たちが次々に被弾して行く。
「次弾! バレットや!」
タイニーダンサーがトライバレルを撃ち分け、実弾ライフルが
あ、
……とか考えてる間にッ‼
「うぁッ⁉
ミケさんの的確な射撃で、トライバレルの実弾ライフルが、ザインさんの部下のジーナの
「
ザインさんが部下の皆さんに
「クッ…飛び回っていて…攻撃しづれぇ…ッ!?」
空を
「セリア!
「了解! ソルファージュ!
艦長の号令の下、ソルファージュが弾幕を張る!
こちらには心強く、相手には嫌だろう、タイミングを見計らって
「
「了解だ、ボス!」
「オレたちザヌス隊の弾幕! 回避できるもんならやってみやがれ!」
後方からバズーカを撃っていたザインさんの部下のザヌスの部隊が前面に出てレーザーガトリングガンをタイニーダンサーに
流石のタイニーダンサーでも、回避が間に合わない…がッ⁉
「
ミケさんが、そう叫んだかと思うと、タイニーダンサーの左手の平が光り、回避できなかったレーザーガトリングガンを光る左手の平で受け相殺した⁉
アレ、多分、インパクトの瞬間だけ
欠点として、使用時に
ほ…ホントに…乗り換えてから…ミケさん…メチャ凄過ぎる…ッ‼
「ボクのフェストゥングを忘れられては困りますね。」
フェストゥングと呼ばれた重装甲
「クッ…あんな遠くからッ⁉」
「お嬢様ばかりに気を取られるなよ?」
ザインたちがタイニーダンサーに釘付けになっている隙に、ザヌスの人の剣が
「クッ…何であの距離から届くんだ⁉」
ジーナがレーザーライフルを切り払われる‼
「クッ…砲撃野郎やザヌス野郎も厄介だが、アヴァドンの野郎、トンデモ装備ばっかり持ちやがって‼ だが、特攻隊長のラーゼンレーヴェは
そのザインさんの
「ラーゼンレーヴェがもう戦えない? それはどうかしら?」
ミケさんにユリンと呼ばれた人が、ラーゼンレーヴェに合流し、
「エンジェルシード、ラジエールコンデンサー起動。
エンジェルシードと言われた
「ついでに損傷箇所を応急修理っと。」
エンジェルシードの左腕から作業用アームが延び、ラーゼンレーヴェの損傷してない
「応急修理と、
ユリンさんが軽い声で言う。
「な…なんじゃそりゃぁーッ⁉」
ザインさんが
「え…
ザインさんの部下の皆さんがエンジェルシードのチート性能に悲鳴を上げる。
「助かったぜ、ユリン! さぁ、相棒、もういっちょ暴れるぜ! アリーエルスラスター!」
ケビンさんがそう
一瞬でミケさんとザヌスの人と同じ前線に移動する。
「ケビン、アレ行くで、アレ!」
「了解だ!
ミケさんの指示を聞き、ラーゼンレーヴェが
そして、銃口にレーザーが収束していく。
あ……アレッ…レーザーをチャージしているのか…ッ⁉
「燃費は悪りぃが、コイツでッ!
「そ…そんな…ッ⁉」
「グアッ‼ た…ただのパルスレーザーじゃねぇッ⁉ パワーがダンチだッ⁉」
そのザインさんの部下の人たちの
「ケビンだけやないでッ⁉」
タイニーダンサーもトライバレルを構え、敵陣の中央に2機で突撃し、ラーゼンレーヴェと背中合わせになり、
『
2機揃ってローリングしながら、チャージした偏向レーザーをザインさんたちに向かって撃つ!
「ガァァ…ッ⁉」
「回避できねぇ…ッ⁉」
「こ…こんなの…どうしろってんだ…ッ⁉」
ザインさんの部下の皆さんが次々に悲鳴を上げる。
「みんな、連携や! うちらに続いてや!」
ミケさんが攻撃しつつ指示を出す。
「了解です、お嬢様。では、こちらも行くぞ?」
ザヌスの人も、相変わらず間合いを取る事ができない独特の動きで、ラフィンスカルの
「目の前ばかりに気を取られてはいけませんよ?」
フェストゥングの鋭いスナイプも冴える…ッ!
そして、ダメ押しとばかりに、
「サポート型だからって舐めないでよね! ちゃんと砲撃もできるし! ユリンちゃんのエンジェルシードも混ざっちゃいま~す!」
ユリンさんのエンジェルシードも、タイニーダンサーや、ラーゼンレーヴェのと同系統のトライバレルらしき銃剣を構えて、レーザーと実弾を交互に乱射する。
「だ…ダメだ……こんな化け物たちにゃ…か…勝てねぇよ…ッ!」
「こ…こんな…こんなのが…ッ⁉」
ミケさんたちの一斉攻撃で、あれだけ居たザインの部下の皆さんが次々に撃破される。
「クッ…オレたちラフィンスカルが…こ…こんな……ッ⁉」
ザインさんが
「さぁ……ここで質問や? うちらと戦うのは、もう諦めて、
ザインさんの
「クッ……クァァァァッ‼ クソ…ッ‼ クソ…ッ‼ クソ…ッ‼」
どうしようもない圧倒的な戦力差に、
……だったんだけど…。
「ミケ! 良い所で、すまんが、
ミケさんたちの
「クッ……‼ 毎度、毎度、空気の読めん奴やッ‼」
そう言ってから、ザインさんの
「うちらは急用ができた…。もうオマエら
トライバレルを下すどころか、ザインさんたちに背を向けるミケさんのタイニーダンサーッ⁉
「な……ッ⁉ て……テメェ…ッ⁉ オレたちに…とどめを刺さず見逃すってのか…ッ⁉」
いきなりの
「クソッ……アヴァドン…ッ‼ この
「野郎共…ッ‼
ラフィンスカルの部下の皆さんに命を下し、
ラフィンスカルの方々が逃げ去って……そして……。
「ふん…ッ! ここまでやってタダ働きやいうんやからな…ッ!」
ミケさんが、
「まあ、でも、
ケビンさんが
「そうそう、それに、ファトス村の自警団の
ユリンさんも、ニコニコ笑顔をミケさんに向け、
「まあ、収支的にはプラスだと思いますよ、ミケさん?」
マカロニさんも、ニッコリ笑顔でミケさんに伺う。
「う~ん……まあ、そうやね! うん! ウジウジしてても始まらんし、良かったとこだけ評価しようかね! ありがとうな! みんな!」
ミケさんも、キュート過ぎるデラ笑顔で、皆さんに応えるッ‼
「で、リーダー? ゲズの方の子がロクスリー君って言うのは分かったけど、そっちのザヌスの人は? 何か、さっき、レナス=アラインって言っていたけど、レナス=アラインって、今の代は女性じゃなかったっけ?」
ユリンさんが首を傾げて聞いて来る。
あ、レナス=アラインが女性って話、ユリンさんも知っているほど有名なのね。
そこで、
「説明が遅くなり、申し訳ありません。私は、白の魔剣士レナス=アラインの14代目で、レナス=アライン=エイフェルと申します。女性のレナス=アラインというのは、私の師の、13代目レナス=アラインのレナス=アライン=ラナヴェルの事かと存じます。しかし、師は何を思われたのか、半年ほど前に、不意に私に二振りの魔剣を託し、私を14代目に指名したのです。ですが、まだ、私は半人前で、赤の魔剣を扱う事が出来ない為、アライン流の仮免許皆伝という状態なのです。故に、
と、レナスさんがユリンさんにかしずきながら言う。
「み…
ユリンさんが顔を赤くしながら、顔を両手で押さえながらイヤイヤしているが、ちょい言動に
「えーい! この
ミケさんが
あ~、このユリンさんって、戦闘中も、ちょっと思ったけど、割と軽い人なのかもしれない。
「まあ、何にしても、助かったっスよ。ありがとうっスよ、レナスさん。」
オイラが、安堵と共に、レナスさんに感謝の言葉を伝えると、
「フンッ……。」
レナスさんは鼻を鳴らすだけ。
何だか、不穏な雰囲気…。ありゃ?
「何か感じ悪ぅ…。」
ケビンさんが口を
「まあまあ。ロクスリー君、ボクたちが来る前に、何か、レナスさんに失礼な事をして、怒らせたんじゃないですか? まあ、何はともあれ、リーダーを助けて頂き、ありがとうございます。」
マカロニさんがホッコリ笑顔をレナスさんに向けるが、
「別にオマエの為ではない。」
相変わらずレナスさんが素気ない態度を取る。
「コイツ、感じ悪い! 何だ、コイツッ⁉」
ケビンさんが、さすがに
「まあまあ、何か変わった人やけど、助けてくれたんは確かやし、悪い人やないと思うで。」
ミケさんが
「お嬢様をお助けに参るのが間に合って
レナスさんが、ミケさんに、キラキラの笑顔を見せて言う。
「うわ…うちも
ミケさんも両手で顔を
あれ? アナタ、さっき、ユリンさんが同じ事した時、
「さて、
レナスさんが、
「兄ちゃん、補給や応急修理くらい受けて行ったらどうや?」
と、ミケさんが提案するが、
「いえ、私のウンターザーゲンは、どこかの町に着けば、そこで整備します。それも修行の
レナスさんが
「ウンター…ザーゲン? ザヌスじゃないんスか?」
いや、アレ、どこからどう見てもザヌスじゃねッ?
「ザヌスではない。それ以上、
レナスさんが、
あ~、多分、この人…。
「まあまあ、ちょい、そのウンターザーゲンいう
と、ミケさんが聞く。
「分かりました、お嬢様。ウンターザーゲンは、
「ふぇ~。ミケさんのタイニーダンサーもトンデモ装置満載だと思ったっスけど、レナスさんのウンターザーゲンも凄いっスね。」
「なかなか面白そうな機体やね。」
ミケさんが
「メカニックとして、非常に興味深いですね。」
マカロニさんが、メガネを光らせつつ、メガネを中指でクイッと上げる。
「また、このウンターザーゲンは、ワザと鈍重に作られており、この機体を
「なるほどね。だから、明らかに重装甲っぽい
ユリンさんが、ウンウンと頷く。
「では、お嬢様方、私はこれで。お嬢様方に精霊の
そう言って、レナスさんがウンターザーゲンのブースターを
「何か、男性と女性とで、扱いが極端に違う、変わった人っしたね。ああいうの、フェミニストって言うんスかね?」
誰に聞くともなく、オイラが言うと、
「まあ、言わんとする事は分りますけど、フェミニストというのは、元々は
と、マカロニさんが解説してくれる。
「まあ、極端な兄ちゃんやったけど、助けてくれたんは確かやし、悪い人やないと思うよ。」
ミケさんが、そういって締めくくる。
「よし! アイツへのうちの報告の作業はパパっと手早く済ます! シュタイガーンバオアーは、
その、ザインさんたちに追われていた時には見れなかった、再びのニコニコ笑顔に、まあ、こんなのも良いよね、と思ってしまうオイラだった。
その後、ミケさんは、急ぎの仕事とかで、30分ほど席を外すとの事で、その間に、トロイメンカッツェの皆さんたちとソルファージュの中を見て回るオイラ。
ソルファージュ内は、めちゃくちゃ広くて、盗んだシュタイガーンバオアーや
居住ブロックも、かなりの広さで、入隊して住む場所に困る事は無さそうだった。
オイラが、
「よっしゃ! 報告完了や!」
ミケさんが合流し、
「ここがブリッジや! さぁ! ようこそ、トロイメンカッツェへ!」
ミケさんに促されるまま、ブリッジに入る。
ブリッジは、前面がモニターになっており、その周辺には、計器類などが、いっぱいあった。
その中に、通信に出ていたソルファージュの艦長と、オペレーターのセリアさんの 他に、もう一人、クルーが居た。
黒髪でショートのマッシュルームヘアー。
青のジーンズに、白のクロース、黄色のジャンバーを着ている中背で割と細い男性。
その人が、オイラの視線に気付き、ニッコリと人懐こそうな笑顔を向けてくる。
「さて。仕事の打ち上げ兼ロクスリー君の入隊祝いのパーティーの前に、自己紹介から行こか? ロクスリー君、まずは君からや。」
ミケさんに
「皆さん、はじめまして、ファトス村から来た、ロック=ロクスリー。15歳です。
と、皆さんに自己紹介してみる。
「ねね、伝説の
ユリンさんが
「残念。そんなノウハウとか持っているなら、オイラ、いま、ここでこうしてないっスよ。そんな能力があるなら、今頃、
ありのままに話してみる。
「あ~。うん。納得。」
ユリンさんが、ウンウンと頷く。
「ロクスリー君は、ちょっと気が弱いのが
ミケさんが、やんやとオイラを褒め称える。
「ほぅ、
マカロニさんが、中指でメガネをクイッと押しながら言って来る。
「おお、そんな凄ぇのかよ! 見た目と違って、やるじゃん!」
ケビンさんが、そう言いながら、オイラの背中をバシバシと叩く。
「う…う~ん…感っていうか、一回体験したから何が起こるか分かるっていうか……。」
上手く説明できず、しどろもどろで話していると、
「そう! ロクスリー君は、危険を感じると、
ミケさんがそう締めくくる。
「凄いじゃん! 未来予知って奴? それがロクスリー君の特技なワケだね⁉」
ユリンさんがやんやの喝采を送ってくる。
「あ~…う…う~ん。まあ、説明が難しいから、もうそれで良いっス。」
うん。オイラの頭じゃ、これ以上の説明は不可。
まあ、大体のニュアンスは合っているから、これからもデッドループしかけたら、今までのミケさんみたいに、皆さんもオイラの言葉を聞いてくれるでしょう!
『では、
オイラの腕の中で丸まっていた
「何、その子⁉ 何か、ボーリング玉が話しだしたんですけど⁉」
ユリンさんが、
『紹介が遅れました。
「
オイラが皆さんと
『マスターの感性は最悪だと判断します。』
何故か
ありゃ? オイラ、何か悪い事した?
「
と、ユリンさんが、オイラの腕の中の
「しゃべるボーリング玉ってのは、ちょいビックリしたけど、なかなか良い奴っぽいじゃん! よろしくな、
ケビンさんが
でも……あれ?
「うん? しゃべるボーリング玉が珍しいって、
疑問をそのままケビンさんにぶつけて見る。
「え?
ケビンさんが何を当たり前の事をとでも言うような感じで言って来る。
「え…? 普通の
「私たちが今まで見た事がある
ユリンさんが補足説明してくれた。
「う…う~ん…まあ、オイラ、
「まあ、あの村は、平和ボケしとる
「あ~。なるほど。」
まあ、確かに、ファトス村は、のんびりした村だし、そういう事、あるかもだね。
「しかし、始めて見た時から、もしやとは思っていましたが、まさか本当にサーティーシリーズが現存していたとは。いやはや、出会いというのは奇なるモノですね。」
マカロニさんが、
「うん? サーティーシリーズ? 何スか、それ?」
オイラの、その問いに、
『私の製造番号に対する呼び名の事です。過去の技術者には、製造番号が30番代なのでサーティーシリーズと呼ばれていました。また、サーティーシリーズは、全て球形をしており、他の
と、
「うん? 見た目が球形なのがサーティーシリーズってのは分ったっスけど、それが、マカロニさんが、
良く分からず、マカロニさんに聞いてみると、
「言っても分からないと思いますが、サーティーシリーズは、過去の時代に作られた
マカロニさんが、メガネを輝かせながら、中指でメガネをクイッと上げる。
興奮冷めやらぬといった感じだ。
『いつもマスターは、私に不当な評価を下していて、常々、不服に思っていたところですが、私を正当に評価してくれる方が現れて、とても喜ばしいです。これから、仲良くして下さいね。』
と、
「こちらこそ、よろしくお願いします。是非、どういう構造になっているか、分解して分析してみたいところですね! その球状ボディーの中に、どんな大胆な姿が秘められているのか、是非調べ尽くしたいところです! ああ、その球状ボディーに秘められた姿を調べ尽くせたら、どれほど素敵でしょうか! ハァハァ!」
と、マカロニさんが、何か息も荒く言って来る。
『マスター! この方からは身の危険を感じます! どうか、この方から、私を守って下さい! 「さんぱち」でも「みはち」でも、呼び名は何でも良いですから!』
珍しくいつも冷静な
しかも、すんごい卑屈に懇願してくる。
物凄い変わり身の早さだ。
よっぽど怖いんだな、マカロニさんが。
いや、オイラも、ちょっとコレは引くけど。
「うん。マカロニさん、うちの
とりあえず、助け舟を出してやる。
「まあ、所有者のロクスリー君が、そう言うなら……残念ですが、仕方無いですね……。」
心底、残念そうに肩を落としながら言って来るマカロニさん。
「でも、ゲズやジーナの
ふと湧いた疑問をマカロニさんにぶつけて見る。
そうなんだ…。
ゲズとかジーナとかの一般的な
「あ~。それは確かに勘違いし易そうな事ですが、
マカロニさんが予想してなかった答えを言って来る。
「うん?
当然の疑問をぶつけてみる。
「
「え⁉
マカロニさんの答えに、オイラが
「それも、本当の価値を知っているモノでは、値段の付けようも無いくらいの最高クラスの
と、マカロニさんが、メガネを中指でクイッと上げながら言って来る。
「マジで⁉」
「マジです。」
マカロニさんが冷静に答えてくる。
「
興奮冷めやらぬまま、
『マスターは、親の形見の上に、幼少の頃から共に過ごした私を売る様な、鬼畜外道の人でなしになり下がるのですか?』
と、
「ロクスリー君。サーティーシリーズの真の価値が分かる人では、サーティーシリーズには値段は付けられません。ですが、そこらの質屋では二束三文で買われるだけですよ? お父様の形見の品でもあるのなら、売るなんて選択肢は無いと思いますよ?」
と、マカロニさんが、冷静にアドバイスをくれる。
「まあ、売れるかどうかはともかく、確かに父さんの形見っスからね。それに、
うんうんと、頷いて納得してみる。
『マスターにしては英断であると判断します。』
「ボクも、その方が良いと思いますよ。」
「という事で、
マカロニさんが、再度、興奮気味に
『マスター‼ この方は危険です! どうか、私に、この方の魔手が伸びない様に
よっぽど怖いんだな、マカロニさんが。
「オーライ、
「残念ですが……持ち主のロクスリー君が言うなら……仕方ありませんね……。」
マカロニさんが心底残念そうに、言って来る。
「ほんなら、次は、うちの番かな?」
と、前置きしてから、
「ロクスリー君には、一度、自己紹介したけど、念のために、もう一回や。うちは、
と、ミケさんが、ニッコリ笑顔で言って来る。
ここまで、落ち着いてミケさんを見る余裕が無かったけど、改めて眺めると、何てキュートなコンパクトボディーッ⁉
ストレートロングの銀髪で、アルビノな目の上、ムチャクチャ整った顔立ち!
その上、何より!
もう、これで萌えるなって方が無理がある…ッ‼
それに、ケビンさんはともかく、マカロニさんまで、ミケさんを、さん付けで呼んで、皆さん敬語で話してるんスしッ! ミケさんは、相当、年長さんのはずッ!
つまり……ッ!
これが…! これが…ッ!
これが
もうッ!
その鼻の下をデレデレに伸ばしまくったオイラの熱い眼差しに、気付いてか、気付かずかッ⁉
「フフ…、まあ、固いのはナシや、よろしくな、ロクスリー君。」
もうッ! ホントッ! オイラのハートは、そのキュートコンパクトボディーにメロメロですぅッ‼
「ハイ! ハイッスぅッ‼ よろしくですぅ‼ よろしくですよぉ‼ ミケさはぁぁ~んッ‼」
ミケさんの手を握り、ブンブン振るって、喜びを噛み締めるオイラッ!
その感激しまくりなオイラを見て、
「あ~あ。ま~た、リーダー、ロリコンを増やしちゃうんだからぁ~。ホンット、罪なロリっ子よね。」
と、ユリンさんが大げさに
「ユリン! また、うちが小っちゃい子みたいに言いおって! いつも言うとるやろ! うちは、24歳のレディーなんやでッ⁉」
と、ユリンさんを
って、でも、24歳って⁉
それって⁉ やっぱしマジもんで、合法ロリですよッ⁉
それって⁉ それってッ‼
もうオイラ、ロリコンでも良いって事っスよね…ッ⁉
「ホンット、これで自覚も無いんだから、
と、ユリンさんが、
「ムキー…ッ‼ ユリン‼ やから、うちは子供やのうて…ッ‼」
と、怒り心頭のミケさんだが、
「ま、まあ、
と、ケビンさんが助け舟を出しに入って来て、
「そうですよ。それに、そこにヤキモチを焼くのも、同じ
と、マカロニさんも、
「ま~ったく、もう。こんなロリコンたちばっかし増やしてさぁ~。」
と、
でも、その顔は、
口では、
っと、このやり取りで、逆に、オイラも、ちょっと冷静になって。
「あ、でも、ちょい、いくつか聞きたいんスよね?」
と、ミケさんに
「なんや? なんや? やっぱし、うちが、余りにも大人の美人過ぎて、この大人の美人さの秘密が知りたくなったとかか?」
と、ニシシと、『冗談や』、と言わんばかりの笑みを浮かべるミケさん。
「いや…えとですね…、まず、あのタイニーダンサーって
オイラの、その当然の疑問に…。
「そやで! タイニーダンサーは、アリーエルクラフトを
えっへん、と、そのナイ胸を張り上げるミケさん!
「おお! やっぱりアリーエルクラフト機だったんスね!
大いにタイニーダンサーを称えるオイラ!
けど、そこで
「でもな、ただ飛べるだけやないで? うちのタイニーダンサーは、機動性だけやなく、攻撃も、防御も、ピカイチなんやから!」
と、
「攻撃では、トライバレルって言うてな、高威力レーザー射撃のレーザーと、燃費が良い実弾射撃のバレット、
と、熱を込めて、あのトライバレルってのの超性能さを熱弁する!
「ふへぇ~~。」
確かに、さっきの戦闘でも、凄い性能なのは分かってたけど、一つの武器で、そこまでの攻撃方法ができて、そんな威力も高いなんて、何てマルチウェポンなんだ⁉
「で、ラーゼンレーヴェの使っとる
そう、トライバレルの多様性を熱弁するミケさんの、その魅惑のコンパクトボディーから
「その上、エンジェルシードの
と、さっきの超絶合体攻撃の事もレクチャーしてくれる!
「ホント、あの合体攻撃、凄かったっスもんね! 見る見る、ラフィンスカルさんたちが被弾して行きましたし!」
範囲も、もちろん凄いけど、威力だって、ホント凄かったもんね!
「フフフッ……でも、さっきも言った通り、タイニーダンサーは、防御かて凄いんやから!」
『これも言いたかったんや!』とばかりに、ミケさんの目が、キラッと光る!
「あの
「そや!
すっごい、『言いたい事を言えて満足!』と言わんばかりに、ミケさんは、デラ笑顔だ!
でも、その笑顔のまま、ちょっと頭を掻きつつ、
「まあ、ホンマは、あのシュタイガーンバオアーいう子にも、なんや
と、少しバツが悪そうに目を泳がせるが、
「まあ、でも、もう、あのシュタイガーンバオアーいう子に乗る事も無いやろうし、タイニーダンサーの凄さは、これから一緒にやって行ったら、もっと、も~っと、分かって行くやろから、バシバシ頼ってくれてええで?」
っと、再度、満面の笑みになり、そのデラキュートな笑顔のまま、ウィンクして来るミケさんッ‼
そのコンパクトボディーから
そんな風に、思わず鼻の下をデレデレと伸ばしまくっちゃうオイラを尻目に、
「っと、うちばっかし喋るのはあれやね、タイニーダンサーの説明も
ミケさんが笑顔のまま、艦長さんに振る。
艦長さんが、うおっほんと咳払いしてから、
「トロイメンカッツェの
と言って、威厳のある顔をほころばせ、微笑み掛けてくる。
「ほいさ。よろしくですよ、バーダック艦長。」
バーダックさんの、その微笑みに、オイラも自然と、笑みで返すと、
「じゃあ、次は私かしら?」
セリアさんが聞いて来る。
「ええ、お願いします。」
セリアさんに
「トロイメンカッツェの
「はいっス! セリアさん!」
セリアさんが握手を求めて来たので、握手し返す。
「じゃあ、次はボクだね。」
と、マッシュルームヘアーの、もう一人の戦艦クルーのお兄さんが言って来る。
「トロイメンカッツェ
リッドさんも、人懐っこいニコニコ笑顔で握手を求めてくる。
「ええ、よろしくっス、リッドさん!」
リッドさんにも握手を返す。
「じゃ、次はオレだな! トロイメンカッツェの特攻隊長!
ケビンさんが、そう言って、右手を
「オマエも右手上げて! 親愛の挨拶のハイタッチだ!」
と言って来たので、右手を上げると、
「よろしくな、兄弟!」
と、オイラの右手に、パシンとイイ音を立てて、ハイタッチをしてくる。
「ええ、よろしくです、ケビンさん。」
うん、何か、こういうの、良いね。
「何か、ケビンさんの
と、さっきの戦闘中から疑問だった事を聞いて見る。
「ああ。アリーエルスラスターは、オレの相棒のラーゼンレーヴェの全身に
「あ。なるなる。アリーエル粒子を使ったスラスターな上に、足部にだけとかじゃなく、全身に
うんうん、と頷くオイラに
「ああ。でな、普段は、アリーエルスラスターを切ってるが、いざという時に、アリーエルスラスターを起動させると、ラーゼンレーヴェは、そこから凄まじい瞬発力と移動力になってよぉ、こう、どれだけ大量の相手からの集中攻撃にさらされても、いくらでも全然余裕で回避し切れるし、ちょっとばかし離れた場所程度なら、余裕で直ぐに辿り着ける程の足の速さにもなるんだ! まあ、アリーエルスラスターを起動してなくても、うちの相棒は、全然早ぇぇけどな!」
ニヒヒと、ケビンさんが上機嫌で良い笑顔を見せる。
それに対してオイラも、
「ですよね! さっきは、距離の離れてたオイラたちに直ぐに追い付いてくれましたし、アリーエルスラスターを起動してたからみたいっスけど、相手からの攻撃も、簡単にバシバシ避けてたっスもんね!」
さっきのケビンさんの活躍を思い出して、嬉しくなって来る。
「おうよ! だがなぁ、アリーエルスラスターのすげぇのは移動や回避だけじゃねぇ! その超スピードを生かして、
相当、説明が楽しい様で、熱の
「ただなぁ……。大量に
と、ちょっと
「まあ、色々言ったが、ラーゼンレーヴェの本体
と、分かりやすく
「なるほど、なるほど。まあ、頼りになるのが分っただけで、原理とかは分らなくてOKっスよ。」
うんうんと頷いてから。
「あと、戦闘の最後の方で使った、オサフネとかいう、超巨大なレーザーセイバー! アレは、なんだったんス?」
と、最後に聞こうと思ってたラーゼンレーヴェの、今戦闘、最後の謎を聞くと、
「やっぱ、それは気になるよな!」
と、デラ笑顔で、ニシシと笑ってから、
「あのオサフネは、相棒のラーゼンレーヴェの最大火力で、
さっき見せたみたいに、ザヌス程度なら、一気に、2機くらい、
簡単に真っ二つにできるし、そもそも、あれで最小攻撃範囲と、
最小威力ぐらいしか出して無いていうな!」
と、熱く語るのが嬉しそうに、
オイラの背中をバシバシ叩きながら話を進めるケビンさん。
「ま、消費
威力は、ホント、折り紙付きだぜ?
いざという時は、頼りにしてくれや!」
と、更に、バシバシとオイラの背中を叩きまくるケビンさん。
「ちなみにオサフネの本来の名称は、ビゼンオサフネとか言うらしいけど、
長ったらしいから、オレはオサフネで通してるけどな! もう、この呼び方に、愛着も湧いて来たしな!」
と、更に、ニシシと笑うケビンさん。
「了解っスよ! まあ、ラーゼンレーヴェは、今回の戦い方みたいに、サポート機の、ユリンさんのエンジェルシードと一緒に戦うと、凄い、効率良さそうなのだけは分かったっスよ!」
うんうんとオイラが頷いていると、
「ハイ! ハイ! ハイ! 次、私! 次、私!」
と、ユリンさんが意気込んで言って来る。
「じゃあ、ユリンさん、お願いっスよ。」
ユリンさんを
「ハイ、ハ~イ! トロイメンカッツェのヒロイン!
うん…何となく分っていたけど…この人…妙にテンション高いわ…。
「え~っと。うん、よろしくっス。で、ですね。さっきの戦闘中、ユリンさんのエンジェルシードが、
「それ聞きたいよね⁉ 聞きたいよね⁉ ユリンちゃんのエンジェルシードの秘密、聞いちゃいたいよね⁉ OK、じゃあ、答えちゃいましょう! エンジェルシードのバックパックには、ラジエールコンデンサーって言って、エンジェルシードに搭載されているオリジナルラジエールエンジンで発電した
「おお、それ、凄い便利な装置ですね。アリーエルスラスターで超性能だけど燃費の悪いラーゼンレーヴェとかと一緒に運用すると、すっごい戦力になりそうっスね!」
「でしょ? でしょ? さらに、バックパックには、各種、レーザーマガジンやバレットマガジンが搭載されていて、味方のマガジン対応の武器の弾薬を補給しまくりんぐなのよ! どよッ! この超性能! ユリンちゃんのエンジェルシード! 凄い! カッコイイ!
ドヤッ!って顔でユリンさんが鼻息も荒く言って来る。
「う…うん、凄いと思うっスよ。」
ユリンさんの勢いに押されるオイラ。
「でね! でね! エンジェルシードの
「え…ええ…凄いっスね。」
ユリンさんの高いテンションの勢いに、頷くしかできないオイラ。
「でも、戦闘中から思っていたけど、ロクスリー君って、結構、カワイイ顔しているよね!」
「そうっスかね? 自分で自分の顔を見る分には、普通っぽく感じるっスけど?」
ユリンさんの指摘が、ちょい納得行かなくて聞き返す。
「大丈夫、大丈夫! ロクスリー君、かなりイケてるよ! ちょい情けない感じが、ネコやらせると映える感じなんだよね!」
「ネコ?」
ユリンさんの言葉が理解できずに聞き返すと、
「そそ! ロクスリー君がネコで、マカロニ立ち! うはッ! これ、良いんじゃない!? 良いよ! 良いわよ! 最強だよ! 思わず萌えちゃう! ハァハァ……ッ!」
と、何やら興奮冷めやらぬ様子⁉
「ヤバイ! ヤバ過ぎ! デンジャラスッ‼」
そう叫ぶユリンさんの
「ちょ……ッ⁉」
ユリンさんの前に居たオイラの顔面に、ユリンさんの
「ハァハァ! 最強! このギシアン、最強なんですけどッ⁉」
なおも謎発言をしつつ鼻から赤い
「ええい! オマエのその病気は、ええ加減、治らんのか⁉」
ミケさんが、どこからともなくハリセンを出し、ユリンさんの後頭部を強打する!
「はわっ⁉」
ミケさんのハリセンの一撃で、頭に上った血の循環が正常に戻ったのか、ピタッとユリンさんの鼻からの
「ハッ⁉ 出してない! 出してないよ⁉ 花も恥らう純情乙女のユリンちゃんが、鼻血なんて出してないよッ⁉」
どうも、ユリンさん的に、本当は、鼻血はアウトらしい。
でも、ユリンさんは、何を
ってか、せっかく今まで、女性だし気を使って、ぼやかして鼻血って描写しなかったのに、ユリンさんがダイレクトに言っちゃったよ⁉
てか、オイラ、顔面、血まみれなんだけど。
「うん、まあ、その、だいたいどういう人か分ったので、チェンジでお願いします。」
とりあえず、ポケットのハンカチで、鼻血を
「うわ~ん! 純情乙女なのにチェンジ食らっちゃったよ!」
ユリンさんが嘆いているが、正直、鼻血を被ったオイラが嘆きたい。
「では、トリはボクですかね?」
マカロニさんが、中指でメガネをクイッと上げながら言って来る。
あ~。この動き、もう何度かやっているよね、この人。
多分、クセなんだろうね。
「ほいさ、オオトリ、お願いですよ、マカロニさん。」
「ええ。では。トロイメンカッツェのメカニック兼、
マカロニさんが、ニッコリと笑顔を向けて握手を求めて来る。
「ほいさ。よろしくですよ、マカロニさん。」
こっちも笑顔と握手を返す。
「しかし、今回、ミケさんが強奪したシュタイガーンバオアーは中々のモノですね。特に、
何だか、ヒートアップしてらっしゃるッ⁉
「あ…うん…ええっと…とりあえず、落ち着きましょう、マカロニさん……。」
「ハッ⁉ ボクとした事が、ついつい熱くなってしまいました。すみません。どうも、メカの事になると、熱くなってしまうクセが抜けないんですよね。申し訳ない。」
うん、メカニックとの事だけど、できるだけマカロニさんにはメカの話はしない方が良さそう。
「さぁ、一通り、自己紹介も済んだとこで、そろそろ乾杯と行こうか!」
ミケさんが右手を突き上げて言う。
「よぉ~し、酒だ、酒! 酒持って来~い!」
バーダックさんが、まだ飲んでないのに、もう酔っぱらった様な
この人、お酒好きっぽいね。
「艦長、あんまり飲みすぎないで下さいね。艦長が、また酔い潰れたら、介抱するの、ボクなんですから。」
リッドさんがバーダックさんに釘を刺す。
「ハイ、ロクスリー君、どうぞ。じゃんじゃん飲んで。今日は、君が主役なんだからね。」
と、セリアさんが、コップを渡してくれる。
「これは?」
「シャンメリー。シャンパン味のジュースね。まあ、お酒は20歳になってからで。でも、パーティーの雰囲気は出るわよ。いっぱいあるから、じゃんじゃん飲んでね。」
「ハイっス!」
「よーし、特攻隊長、ケビン=ブロッサム! 駆けつけ一杯、一気行くぜ!」
ケビンさんが、ビールと思われる黄金色の液体をコップについで、一気にあおる。
「クゥー!
「こら! ケビン、オマエも未成年やろが⁉ 未成年が、勝手に酒を飲むんやない‼」
ミケさんがケビンさんを
「あ…
と、ケビンさんが、身震いしつつ、何か口走ってらっしゃるッ⁉
「もっと! もっと、激しい言葉で、お願いします!
息も荒く、何か良くわからない
「フフフ…ケビンをネコで、ロクスリー君、立ちってのもアリアリだね! うはっ! これもイイッ!」
と、ユリンさんも、早くもお酒が回っているご様子⁉
「内部は弄ってはいけないとの事ですが、外装の修理を任されたという事は、シュタイガーンバオアーの、あのスレンダーボディーの全身を、舐めるように調べ尽せるという事! ああ、あの
何やら、マカロニさんも、酒が回った様で、興奮気味ですよッ⁉
「
ケビンさんも、ノリノリなんですけどッ⁉
「え~い! ここは、どこの
ミケさんも、変態3人衆に苦戦気味のご様子…ッ⁉
天国の父さん、母さん、
濃すぎて、どう対処して良いか分かりません!
こんなところに入って、オイラ、これから、どうなっちゃうんでしょうかッ⁉
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