笑顔溢れる今日この頃に。
──そして、翌日。
いつものようにしろうさぎさんは木陰で本を読みながらうたた寝をしています。すると今日もまたそんな彼女の目の前の草むらが揺れビクッと体を震わせ目を覚まします。
「しろうさぎさん、しろうさぎさん!! 起きてますか!? ボクです、スライムです!!」
「あ、おはようございます……スライムさん。って、あれ? 何か昨日と全然雰囲気が……」
「わ、わかりますか!? さすがは、しろうさぎさんです。あ、おはようございます」
「は、はい。なんていうんでしょうか……とても、満面の笑顔でいらっしゃいます」
「えへへ、そうなんですよぉ。実はですね、今日ボク……じゃないや。ボク達、はじめて冒険者さん達に勝ったんです!!」
「え!? 本当ですか!? それは凄いです。おめでとうございます!!」
「はい!! それもこれも全部しろうさぎさんのお陰です」
「私の、ですか? でも、私は昨日ただ言葉を贈っただけでその他には何も……」
「いいえ、その言葉があったからやれたんです。だから……ねぇ、みんなもこっちにおいでよ!!」
すると目の前の草むらがゆらゆらと揺れて、わらわらと一斉に彼女の前に現れたのはスライムさん達の群れ。その数、ざっと数えて100匹以上。目を丸くしてたじろぐ彼女に向かってスライムさん達は言います。
「しろうさぎさん、今回はボク達の悩みを解決してくれて、どうもありがとう!! 汝自らを知れ。ボク達はこの言葉を一生忘れません!!」
「あ、あはは、そ、それは、どう致しましてです」
そうして、しろうさぎさんのはじめてのお悩み相談はちょっと引きつった自身の笑顔と満面の笑みで溢れるスライムさん達の笑顔でその幕を閉じたのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます