小海老のきもち 2



「ああ、かわいい・・・兄貴めっちゃかわいい・・・・・・兄貴のイラついた顔以外の顔なんてすごくレアだ・・・・・・。








 兄貴、抱っこ、してもいい・・・・・・??」








 そう、危ない雰囲気を醸し出している弟がじりじりと自分に近づいてきている。


 はっきり言って、気持ち悪かった。




 だって、今までずっと弟には嫌われているのだと思っていたから。
















 気持ち悪い と思ったのは事実だ。






 でも同時に、少しだけ『うれしい』と思ってしまった・・・・・・














 そう思った自分にハッとし、とりあえず眼前に迫っていた脅威を蹴り飛ばす。


 あぶなかった・・・・・・




 美しい顔に一点の傷を負い我に返った小蟹は、そこからつらつらと俺への思いを語っていった。


それを聞き今までのことは全て、本当に最初から全て俺の誤解、いや俺たちの誤解だったのだとわかった。




 ぶっちゃけ気が抜けた。今までのお前への敵視は何だったんだ・・・・・・








 小蟹は俺のことをか、かわいいと思っていたみたいで、抱っこしたいやら頭を撫でたいやら抱きしめて寝たいやら、かなりキモチガワルイことを長年思っていたラシイ。




 でも俺のことを尊敬・・・もしていたらしい。ずっと。




 ぼそぼそと照れたりしながら誤解を解いていく様子を見て、俺は正直小蟹のことをかわいい、と思ってしまった。


 ほらあれだ。可愛さ余って憎さがなんとやらと言うだろ?俺はその逆を体験したのだ。




 なんとも言えない不思議な感覚だった。今まで腹の底に溜まっていたどろどろとした感情が、水で流されたみたいにサーーーっと消えていったんだからな。


 ちなみに小蟹が『兄貴はずっと俺のこと嫌ってたけどさ――』と言った瞬間『んなわけねーだろ!!』と本心を暴露してしまっている。


 それを聞いて『え』とキラキラした面をした小蟹にムカついて、思わず殴ってしまった。別に照れ隠しじゃねぇし・・・・・・




 そのあとケンカはなあなあになり、小蟹は初めて見せる嬉しさを隠せない様子で俺に構い始めたが、俺はそんなに素直になれずまたそっけない言葉を返してしまった。








 でも、俺の顔をみて小蟹はまるで『わかってるよ』と言っているように嬉しそうにニヤけて自己完結してやがったから、またムカついてとりあえず殴った。



















































 俺たち兄弟の仲は修復の兆しを見せた。











 だがな小蟹、あいつはお前には渡さねぇぞ?






















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