第12話 汗と空腹の入学式
やっべぇーー・・・・・・
やっちまった・・・・・・やばい。やばすぎる。やばいということ以外言えねぇ。
これは、入学式中の俺の心の声である。
なぜこんな状態なのかというと、それは今朝が原因だった。
俺はチヒロと八はちと高校へ向かう途中、『そういえば、来るときにあの近道のとこでよくわかんないけどお礼言ってきた人の声、なーんか聞いたことがあんだよなぁ~。誰だっけな~』とのんびり考えていた。
だが、ここら辺(喉)まで出かかってんのに思い出せない!!
今現在俺の意識の中ではリアルとフィクションとが全く別になっていて、漫画の情報の記憶は頭の引き出しの奥底深くにあると思ってくれ。
頭の中でぐるぐる考えながら自分のクラスの席のところへ向かう。
ちなみに俺とチヒロは1組で、八は8組(これは漫画と同じ)。プフッ・・八はちだけに・・・8組って・・・・・・
八は俺たちと同じクラスになれなかったことに対しすっごくショックを受け、絶賛拗ね中。面倒くさい。1組の席に行こうとしている俺の腕を掴んでいやいやしてる。 子どもか!!! みんな見てるでしょーがっっ!!はっずかし!!
俺は腕をぶんぶん振って八を振り落とし、ぶーぶーとふてくされている八を置いて席に着く。
チヒロも席に着いたようだ。キョロキョロしている俺とは違い、チヒロは席に着いてからじっとしている。漢らしっ! 俺はとにかく周りを見回しユウキを探した。
本作では入学式早々不良に絡まれるんだよな~。うーん、絡まれ体質なユウキちゃん・・・・・・さて、彼は道中は無事だったのだろうか。気になるところだが、ユウキは俺らと同じクラスのはずだからそんなに探さなくても何事もなかったら教室に来るはずだが・・・
後ろの入り口をちらちら見ていてもそれらしき人物は入ってこない。
キョロキョロしすぎて首が疲れたから正面を向いてしばし目を瞑る。ザワザワと生徒たちの声と足音を聞いていると眠たくなってきたから目を開ける。と、チヒロの少し後ろの方に栗色のさらさらとした髪が揺れるのを見た。彼はたった今席に着いたらしい。
ゆっ、ユウキだ!!本物!!!!今俺の目の前でユウキが居る!!
無事に着いたようだ・・・よかったぁ・・・・・・
と、俺はひとまずほっとした。
ユウキも俺と同じようにキョロキョロと周りを見回している。ユウキも誰かを探しているのだろうか・・・・・・
でも、ちょーーと待てよ・・・・・・?
俺は冷たーい冷や汗が背中をつーーと通過していくのを感じた。ぶるるっと身震いする。
さっきの聞いたことがあったあの声・・・・・・もしかしなくても、ユウ・・・キ・・・・でしたね-・・・・・・
・・・・・・・・・・・・。
ギョエーーーーー!!!なんでわかんなかったんだよーーー俺ーー!!!?何度もアニメ見直したりしてたじゃねーか!
あんだけ楽しみにしていた生の主人公に、もうすでに会っていたとは・・・・・・なんで思い出せなかったんだよ。今更ユウキの声が隅々まで蘇ってきたわ。
つーか、やっぱ道中も絡まれてたやーーんユウキちゃーん!!あの時よく見てなかったけど、絡まれてたよな?完全に。
マキがユウキを助けるシーンなんて本編ではなかったけど・・・・・・。大丈夫だよね?ストーリーにはなにも影響ないよね? ちょっと不安になってきた・・・・・・。
も、もしかして俺を探しているとかはないよね!?(はい出た自意識過剰ー)いや、でも、あるかも・・・・・・。チヒロの見せ場奪っちゃって、『あの強さに憧れました!』とか言われちゃったりして・・・・・・ぐふふっ。
いや真面目に、それはないとして・・・・・・。ユウキは体育館内を見回しているだけだしな。きっと。
つーか、俺の馬鹿~~~!!なんで、なんで気づかなかったんだよ~~!ファン失格だ!!
あ――・・・・・・俺が朝寝坊なんかしなければあのときあの道通らなくてすんだのに!会わなかったらこんな自分の不甲斐なさに気づかずに済んだのに。
いやむしろ、もっと寝坊しとけばチヒロがあの道を通ってたからそのほうが良かったのかもしれない。チヒロとユウキの運命的な出会いになっていたかもしれない!!
・・・・・・でも俺があの時あの道を通らなかったら、ユウキはどうなっていたのだろう?
そう考えると、あの時間に俺があそこを通って良かったのか??
んー・・・・・・どちらにせよ、もうすでに八は本来のストーリーから外れに外れ、ここまで来ちゃってるしなぁ。
もう良くね!?ぐちゃぐちゃ考えなくても。なっちまったもんはしょうがないし。(必殺“気にしない”)
もう八が俺たちと同じ中学に通うことになった時点でヤケクソだし俺。
うん。事実俺、キャラの『真柴真希』になんかなれないから。最初からわかってたから。俺は俺としてこの世界で楽しめば良くね?っていつも思ってんじゃん俺。
そしてチヒロとユウキのラブラブシーンを目に焼き付ける。もうこれでいいんじゃありませんか!?俺は俺で人生楽しんで、さらに2人を見守れるというダブルハッピーで!
と、俺は中学校の入学式で経験した不安に再び陥りそうになったが即自衛した。
ぐるぐると考え事をしていて、校長の話とか全然聞いてなかった。 仕方がなかろう。
じゃあせめて俺は、とにかくユウキの目に付かないように大人しくしていよう・・・・・・これ以上彼の前にしゃしゃり出ることはあまりしたくないし、チヒロと接触してほしいし・・・・・・
って、無理だーーーーーーーー。
だって、同じクラスだもん!!!! この列に座ってるってことはそうでしょう!?
ここは漫画通りなのね・・・
とか思っていたら、腹に危機を感じた。
し、しまったぁ!!腹の音が鳴りそう・・・・・・!!!
朝食べないとすぐ鳴るんだよなぁ~。まあ、食べても昼前には鳴るけど。
今鳴ると、至極まずい。 ちょー恥ずかしい!!
ここで冒頭に戻るという訳でございます。
今の俺にとっては主人公の前にしゃしゃり出てしまったこと、そしてファン失格になったことより、シーンと静まりかえっている中でお腹が鳴るという事の方が真に迫ったことなんです。
だって恥ずかしいじゃん!!
ってことで、ちょっとトイレに行ってこよう・・・・・・
サイドにいらした教員の人にお手洗いに行くことを伝え、俺は体育館に最も近いトイレに行き個室に入った。
入った途端、
ぐぎゅるるる~~
はぁ~、あっぶなかったぁ~。間に合った。セーーフ。
ほんとに今日、朝ご飯食べてくればよかったな。って後悔先に立たず、ですな。
人には朝飯ちゃんと食べろって言うくせに自分が食べてないとか・・・
座ってると腹が鳴りやすくなるんだよなぁ。早く式終わってくれないかな。つーかこのまま終わるまでここにいようか。
俺はこうなるだろうと昨日ポケットの中に用意しておいた、非常食のようなものを取り出した。
クッキーみたいな感じの食べ物で、食べた後口の中パッサパサするけどおいしい。
入学式の最中、トイレの中で非常食をポリポリ頬張る俺。
何やってんだほんとに・・・・・・
食べ終わり、ゴミをズボンのポケットに入れ体育館に戻る。
と、人がごそっと居なくなっていた。残っているのは数人・・・・・・
本当に式、終わってました。
『は?もうみんな教室行ったのか!?』と焦ったが、チヒロは残っていて俺に気づいて近づいてきてくれた。
「え、これってみんな教室行ったの?」
「おう。 お前どこ行ってた?」
「・・・・・・トイレ」
「お前俺に言っておいて、自分食べてねえのはどうかと思う」
よくわかってらっしゃる・・・。
「じゃ、俺たちも急がなきゃな」
「おう」
俺たちはゆっくりと体育館から退出し、多分こっちかなと言い合いながら渡り廊下を歩く。
なんか近くで怒声が聞こえたと思ったら、角を曲がったところでユウキが上級生らしき人に絡まれてた・・・・・・
来た・・・!!チヒロとユウキの運命の出会いのシーン!!!
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