名前はルイーナ ④

「え?あ、ありがとうございます。……でもどうして?」


どうして私の誕生日を知っているのだろう。

今日まで会ったことも話したこともないのに。


「とりあえず箱を開けみて?」


そう勧めてもらえば素直に頷くことしかできない。


箱を開けてみるとピンク色のドレスに、それに合わせるようにピンク色のネックレスに少し赤みの強いピンクの靴が入っていた。


「え?これって…」


「私たちからのプレゼントよ。受け取ってもらえるかしら?」


プレゼント?

こんな豪華なドレスいくらするのか見当もつかない。それにネックレスだって、靴だって。絶対高価な物だって見ただけでわかる。


「こ、こんなの頂けません!私にはこんな高価なもの頂いたらお返しすることができません。」


「あら、ふふふっ。

ルイーナはいい環境で育てて頂いたのね。素晴らしい女性に成長していることを知ることができてとても嬉しいわ」


私はお断りの言葉を言ったのに、シャロン様はそう微笑まれた。


どうして断ることが素晴らしい女性に繋がるのだろう。


「ルイーナはご両親の事を知りたいと望まれたのよね。

どんな人だったのか、どんなことをして鉱山に連れていかれたのか」


そう問われて、初めて気づいた。

ママたちが言っていた説明する人を紹介するとは侯爵夫妻の事だったのだと。


「…はい。私は自分の両親の事、その犯した罪の事を知りたいのです。教えてくださいますか?」



「そうね。なにから話そうかしら」


そう言って、シャロン様はどこか懐かしむように私の母ミカリーナが初めて家に来た時のこと、それからの母の行い、父ダレンとの婚約の事、婚約破棄のこと。そして結婚式の事を話してくれた。裁判では自分たちが思っていたよりも多くの罪に罰せられたこと。そうして、全員が鉱山での労働となり、その場所で私が生まれたこと。今も変わらず全員が鉱山で働いていることを教えてくれた。


それを話すシャロン様のお顔は穏やかだったけど、なんだか悲しそうだった。隣ではジョージア様がたまにギュッとシャロン様の手を優しく握りしめている。


私が思っていたより遥かに多くの罪に、重い罪を犯していた両親…

そんな二人から生まれ、そんな二人からも必要とされなかった私。


私は生まれてきてよかったのだろうか。

私ができなければシャロン様は婚約破棄されることもなかった…


きっとその裁判にもならなかった…

私が……私がいなければ……

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