どうしてこんなことに(ミカリーナ)②
それからは私は結婚式の準備に忙しくなった。
ダレン様との結婚式までは本当に夢のような時間だった。
お姉様は貴族の嗜みとか小難しいことを言わなくなって、勉強をって言われることもなくなって、お姉様を追い出すことも決まっていて、ドレス選びだって楽しかった。
結婚式のドレスはお姫様にも負けないほどの豪華さにして、ネックレスの宝石だって見せびらかすように大きいのを付けたわ。
それに負けないようにってお母様も、ダレン様のお母様も大きい宝石を注文してた。
みんなで仲良く話して、今流行りの服飾店も今度からは私の服を優先して作らせるようにできるってお父様も言っていた。
結婚式まであと少しというとき、ご飯を食べるのが気持ち悪くなった。
お母様にそのことを伝えたらすぐにお医者様を呼ばれて、妊娠してるってわかったの。
お母様もお父様も大喜びしてくれたわ。
跡継ぎも出来てこれで安泰だって。
それなのに… それなのに…
どうしてこんなことになるのよ!!
楽しかった結婚式でお姉様にみんなの前で私に謝らせて、もっと惨めにさせてやろうって思っただけなのに…
結婚式が終わったら私は貴族ではなくなっていた。
いや、第1種取締課の人がいうには私はもともと貴族ではなかったらしい。
平民が貴族の家族になるには当主が申請を出し、それが許可されないと貴族にはなれないんだそう。
お父様はずっと当主代理だったからお父様の書類にはなんの権限もなくって、その書類は返されることなく処分されていたんだって。
でも私はそんなこと知らなくて、ずっと貴族だと思っていた。
それなのに結婚式ですべてが終わってしまった。
結婚式の途中で拘束され、全員そのまま第1種取締課へ連行された。
せっかく豪華に準備したドレスは連行されたその場で脱がされ、豪華な宝石がついたネックレスも取り上げられて、召使のような服に着替えさせられてしまった。
「やめて!!そのドレスもネックレスも私のよ!泥棒!」
そう訴えても全く取り合ってもらえず、ドレスもネックレスも持っていかれてしまった。
そこからは罪状の内容を聴かされ、事実かどうか確認されたけど、話している内容がよくわからないわ。
だって、乗っ取りって、侯爵家は我が家でしょう?
お父様のものであって、いえ、お姉様のものだったかな。
でもそれって私のものってことでしょう。
どうして乗っ取ることになるの。
それにダレン様と私が侯爵家当主になるって言っていたのが詐欺って、だってそうなんだから詐欺なんかじゃないわ!
そんなことを説明してあげているのに、取締課の人は頭が悪くって理解できないみたい。
もう、こんなこと話すぐらいならエヴァンズ様を連れてきてよ。
あの人は私の救世主なのよ。
第3皇子も綺麗な顔をしていたけど、私はエヴァンズ様みたいな少し冷たそうな顔のほうが好き。
ダレン様と結婚したかもしれないけど、ダレン様は犯罪者になってしまうなら離婚してもらって、エヴァンズ様のところに行かなくちゃ。
((そのころエヴァンズ様は耐えられない悪寒に襲われ、皇室での職を辞して、カシミール家の執事となりました))
それなのに取締課の人は私のことを離したくなくってここから出してくれない。
だったらもっと丁寧に扱えばいいのにご飯だって美味しくないし、いつまでたっても召使のような服から着替えられない。
もう早く出してよ!!!!
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