26話 新たな生活

 26.新たな生活


 克己は彩の事を忘れるため鬼のように仕事をしたため、上司や周りから鬼のように仕事を回されていた。


 せっかく新しいパートナー=裕子と出会い、距離を縮めていきたいが、平日はなかなか時間がとれなかった。急な出張で土日が潰れることもあった。


 彩との結婚生活の時のようには行かなくて、裕子に申し訳なく思い、


 裕子に「ゴメン 仕事が忙しくなってしまって、なかなか時間がとれない」


 と言うと。


「そう思ってくれるだけで幸せです。大丈夫です。いつでも克己さんを待ってますから」


 そう やさしく答えてくれる。うれしい。


 それからは、克己は少しでも時間があれば、裕子のマンションに行き、そこから2人で出社した。


 1か月ほど、こんな生活が続いて、克己は裕子に引っ越しを提案した。


「裕子、もう一緒に住まないか?元々俺が悪いんだけど、彩を忘れるため仕事に専念したおかげで2人でいる時間がこんなに少ないけど、少しでも裕子と一緒にいたいんだ」


 彩を忘れるため仕事に専念した事は裕子も見ていたので知っている。


 裕子は、だから我慢できる。


 それに、一緒に住めば、どんなに遅くても、どんなに遠くへ出張に行っても私のもとに帰ってきてくれる。こんなにうれしいことはない。


 最初は一緒に住むのは妄想の世界だけでかなわないと思って、あきらめていた夢への第1歩。


 裕子は喜んで承諾した。


 さっそく週末に裕子の両親に挨拶に行く。


 こういう事はやっぱり緊張する。


 裕子の離婚の原因が夫にある訳だから、当然俺の離婚の理由も気になるところだ。


 ところが事前に裕子が両親に説明していたらしく、また俺の離婚の原因と、当時の彩との結婚生活の様子も伝えていたようで、初対面の俺にとてもにこやかに接してくれた。


 裕子は離婚してから、数多くの見合い話があったが。それを全部断っていたらしいく、両親は裕子の再婚をあきらめていたところに、俺との再婚話があがって、裕子がとても喜んでいるのを見て、俺の印象はとても良く、終始対応が良かった。


 俺の両親にも挨拶に行ったが、両親は去る者は追わず、来るものは拒まず が基本なので

 バツイチの俺と再婚してくれるというだけで、とても喜んでくれた。


 結婚前だけど、2人で新しい住居を探そうとしていた時、

 克己に辞令が出た。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る