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指先から伸びる影を横に引いて

君との境界線を描く


僕は君に入り込めない


微笑むことが実際の距離であり

視覚で確かめる不幸は気付かず日常になる


日が暮れる頃

皮膚の記憶で君と君の世界を思い出し

暑さの名残り

前髪を揺らす風に見上げた空で白い月を見つける


耳に残る君の言葉は

いつしか僕の声に替わり

鏡に映る僕の顔に

僕は君の面影を探すだろう


明け方に夢で君をみて

君に会えた気になっている

笑顔で目覚められればいいと思う


新しい記憶が回り始めても

君の全てを暗記するように繰り返した毎日は

指先から伸びる影になって

僕と君とを幸福に隔ててゆく

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