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ヴァニラのパイントカップにステンレスのスプーン突き刺して。

左手の熱で融けてくる縁を眺めて。

胸の真ん中の痛みに顔を顰める。

スプーンに映るのは、

エアコンの温風で上気した僕の歪んだ顔。


僕の気持ちは何処へも行けずに、

胸の水面で遊んでいる。


どうして僕達は上手くいかないんだろう?

考えても考えても、

左手がただ冷たくなるだけ。

いつか喉の奥まで痛み出して、

まるで僕は頭の悪い秀才みたいだ。

考えるだけで何もできない。


スプーンで融けたところからすくってゆく。

ここんとこに閊えてる塊も、

そのうちトロトロに融けないかな。

ヴァニラみたいに甘くなくていいから。


どうして僕達は上手くいかないんだろう?


さよならのあと、

また出逢えたなら、

次は今より上手くいけばいいな。


暖かい部屋で、

ヴァニラのパイントカップにステンレスのスプーン突き刺して、

そんなことを考えてみる。

冷凍庫にはまだ、

チョコレートのパイントカップが入っている。

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