義足ですけど何か質問ある?

遠野麻子

その1 捻挫と思ってたらさ。

 事の起こりは6年半前。

 なにやら微妙に足首が痛い、というのが長く続いていました。

 その少し前に、階段から転落したことがあり(打ち身のみ)、そのせいで足を捻ったのかなぁ、なんてのんびり考えてました。

 足の痛みはだんだんひどくなってきたのですが、寒い季節になってきたのでそのせいだろうとのんきに放置。

 ある日、走ろうとしたときに、どう考えても骨をやっちゃった感じの鋭い痛みが足にきました。


 やばい……。なんかしらんけどやばい感じがする。


 そう思った私は、ようやく病院にいってみることにしたのです。

 病院へ行くときの私と妹の会話。

「捻挫こじらせたんやと思うんやけどなぁ」

「大丈夫やって。ちょっとメスで切ってゴリゴリいじって縫うだけで済むって」

「(ヾノ・∀・`)ナイナイ それはない」

 あくまで捻挫と思っていたのでその後おおごとになるとは全く思ってませんでした。


 病院へ行って、まず問診。

 『足を捻ったところの痛みが続いてます』

 ―と書きました。そりゃあね。

 そしてレントゲン。

 さっと撮って診察、と思ったらなにやら様子が変。

「足を捻って痛いんですよね?」

 私のレントゲン写真を見て首を捻りながらいいます。

「そうですけど……。」

「とりあえず診察室いってください」

 そう言われて診察室へ。


 先生が私のレントゲン写真を見ながら言いました。

「遠野さんねえ、かかとに腫瘍があるね」

「(;・∀・)ハッ?」

 なにか言われたときに「は?」と返すのは失礼だと思っているので、普段は「は?」なんて返しません。

 でもこのときばかりは流石に言っちゃいました。

「手術して摘出しないといけないから。ここではできないから病院紹介するね」

 へ?手術?なにそれ、えー。

「ここにしこりがあるでしょ」

 と私のかかとを診て仰います。


 確かに……くるぶしが……2つある……これ腫瘍か。言われるまで気づかなかった。

「たぶん良性だと思うけど、手術は必要だから」

 待ってー!!私、さっきまで捻挫だと思ってたの。

 良性とか悪性とかちょっと待ってー!

「骨が薄くなってるから割れる場合があるんで松葉杖使ってね、貸すから」

 は、はあ、助かります……。単なる捻挫ならもっと助かりましたけど。

「割れてから来る人が多いから、良かったね☆」

 良かった……んでしょうなぁ。先生が言うなら。

 混乱しながら会計を済ませ、慣れない松葉杖でせっせと家に帰ったのでした。


 家に帰って報告すると、当然家族もびっくり。

 結婚して家を出ていた先の発言をした妹にもLINE。

「おい!ほんとに手術だってよ!」

「まじで?」

「もう、絶対変な予言せんといてな」


 私の腫瘍との戦いはそんな感じで始まったのでした。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る