第41話 ナンパの意気込みの宣言
「三人共なんの収穫もなしに戻ってきたの?」
戻ってきたレン達の顔色を見るやどうやらナンパは上手く成功しなかったようだ。
成功してたら今頃必要以上に僕に自慢してきてるだろうし。
「あぁ、ほんとは連絡先の一つや二つ取ってこようと思ったんだが」
「唯一の収穫といったらこのトウモロコシぐらいだな」
そう言って、ホイミは手に持っている食べかけのトウモロコシを見せてきた。
さっきから食べてた黄色の物体って、これだったのか。
「……ただ選り好みしてるだけじゃないの? ナンパって、誰かれ構わず誘った方が確率高いでしょ」
「いやお前らが思う以上に俺らも誘ってたぞ?」
そうなのかな。かわい子ちゃん好きのレンとか特に美人しか狙わなさそうだけど。
「じゃ、あの人達は声かけた?」
そう言って、僕は川沿い近くでBBQしている女性の集団を指した。
休日を謳歌するOL集団だろうか、詩葉やユノとはまた違った魅力がある隠れた大人っぽさが
「ありゃだめだ。さっきお仕事何してるんですか、って声かけたら『こうやって遊んでるのが私たちの仕事だよ〜!』とか冗談なしに言ってたからな。ありゃ典型的なマルチ商法の集団だよ」
「インスタとかで、大学生にやたらお金がないのを煽って、よく分からん事業勧めてくる奴らな。関わりたくねぇ」
「スマホ一つできるって言っても友人減らしたくないわな」
三人の言葉を聞く限りじゃ、あの集団には近寄らない方が良さそうだな。
マルチの勧誘DMは本当迷惑してる。見知らぬ女性に急にフォローされるから僕のこと好きなのかなって、勘違いしては勧誘され、勘違いしては勧誘されるんだから。無限ループだ。
「じゃあ、あのゴスロリ集団を誘ってみたら?」
僕はそう言って、人形みたいなフリフリの服を着ているBBQ施設近くの一団を指差した。
大自然には明らかに似合わない服装のため、異様に目立っている。
「おい、ナギ。適当に選びすぎてねぇか? こんな大自然の中で、ゴスロリファッションかましてるとかなんかある証拠だろ」
「……よく見たらそこら中に、マイメロのク○ミちゃんいる。ありゃメンのヘラでしょ」
「なんやあれ。しかもなんか地面に魔法陣書いてるし、クロ○ちゃん媒介に何か召喚する気ちゃうか?」
ホントだ。ゴスロリの一人が地面にチョークで魔法陣のようなもの書いてる。
しかも他の人達は空に向かって何か祈ってるし……こわ。
「まぁ、まだたくさん人いるし、諦めるには早いんじゃない?」
GWということもあってか、マルチやゴスロリ集団以外にも人はたくさんいる。根気よくナンパすれば、成功するんじゃないか?
「よーし、そうと決めたら二人とも。改めて認識合わせするぞ?」
「「おうよ」」
ナンパを続ける意思を見せた彼らは今後の自分達を鼓舞するため、さらには今一度気合を入れるために円陣を組んだ。
ホイミ、ハヤシダ、レンは交互に声を掛け合う。
「狙い目は?」
「「看護系の学生! もしくは、看護師!」」
「その心は?」
「「周りにほとんど男がいない、かつシフト制、夜勤で周りの人と休みの時間が合わないから特定の男に縛られない!」」
「俺達の武器は?」
「すぐにアレが
円陣の掛け声の内容に驚かせられるが、それ以前にここまで一致させられるのはどういう事なのだろうか。
「すごい揃ってるやんけ」
「しかもちょっと言葉の内容が、的をいてそうなのが腹ただしいよね」
掛け声の内容、なんか妙に真実味があるというか説得力あるのがヤラシイな。
本当のところどうなのか知らないが。
「……そんなに看護系はいいの?」
「つまりは、すごい男に飢えてそうってことだよな」
「あぁ、実際元看護師の俺の母親が言うんだから間違いない。現役時代は沢山の男性の夜の看護したらしいからな」
「ただ、アラサー年代は気をつけなきゃな。周囲の結婚に焦りを抱えた年代だから、結婚をつめられるかもしれねぇ」
「「うんうん」」
ホイミ達三人がうなづきあっていると、彼らの発言が聞こえたのか、呆れたようにため息をついた詩葉が近づいてきた。
「アンタ達もうちょっと声小さくして言いなさいよ。聞きたくもない事、普通にこっちに聞こえてるんですけど」
「ホントだよー しかももうちょっと女性を繊細に扱って。女の子は、お砂糖とスパイスと素敵なものいっぱいで出来てるんだから。意外にデリケートなんだよ?」
「それパワーパ○ガールズじゃね? あとケミカルX入れたら完成じゃん」
「超人の彼女らを見たら繊細ってよりもむしろイカツイ」
しかし、ユノの言う通りホイミ達の発言の内容はかなり際どいものだ。
女性軽視というか、フェミニストがこれを聴いたら、色々言ってきそうで……あぁ、マルチより怖い怖い。
「アンタら女性をもうちょっと敬いなさいよね。自分らが生まれたのもお腹痛めた女性のおかげなんだから」
「そーだよ。妊娠しても痛い思いするのはいつもこっち側。もうちょっとボクらを崇めていいんだよ?」
「それに比べて妊娠のためにアンタら男子がする事といったら種付けの1、2分なんだし」
1、2分か……。
それは少しばかり早すーー
「1、2分? ふっ、俺ならもっともつけど? しかも十分満足させられる」
「ハヤシダ、嘘はよせ。クイズに答えるのを少しも我慢できないお前には似合わない言葉だぞ?」
「……3分もつウルトラマ○より早漏だよね」
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