第83話 ディメンジョンワールド

 とりあえず転移魔法を覚えることができた。【時空魔法】の一種で、他にも時空関連の魔法はあるだろうからヴァイクさんに聞いてみよう。あとはサブマスターよねぇ……なっても問題はなさそうだけど……


「さて、これからのことじゃが、我は一緒に行って問題ないのであろう?」


「ええ、構いません。ここはこのままですか?」


「いや、この家は持っていく。《アイテムボックス》に入れることが出来るでな、アスカも【時空魔法】を覚えたから使えるようになるじゃろう。魔力が多ければ多いほど内部容量は増えることになる。其方の魔力はかなり多いようなのでこの家も入れることは可能だと思うぞ」


 マジックバッグがあるから小物は良いけど、大物を運ぶには《アイテムボックス》のほうが便利かもしれない……でもこの鞄、たぶん無制限に入りそうなのよね……ちょっと見てもらおうかしら?


「ヴァイクさん、このマジックバッグを【神眼】で見てもらって良いですか?」


「ん?そのマジックバッグか?それも神器じゃぞ、詳しく見てみよう……なかなか素晴らしいマジックバッグじゃな、【イリス】とやらに伝えるから表示をしてもらえばよい」


「わかりました。【イリス】お願いね」


『かしこまりました。ヴァイク様より受け取ったマジックバッグの鑑定結果を表示します。』


〔マジックバッグ:ホワイトウルフの皮を使用したバッグ。神器〕

〔隠蔽〕〔不壊〕〔自動修復〕〔時間停止〕〔容量無限〕〔所有者固定:アスカ〕


 時間も止まるし壊れないそれに容量は無限……確かに《アイテムボックス》は必要ないけど……大物をしまうとき「ニュルンッ」てなるから気持ち悪いのよね……大物は《アイテムボックス》に入れよう。


「ヴァイクさん、ありがとうございます。《アイテムボックス》の使い方を教えてもらっても良いですか?」


「そうじゃな、渡り人なら亜空間は想像できるか?」


「そうですね、こことは別に空間があるイメージですね」


「それでよい、そこに入り口を作り中に自分の部屋を作ればよいのじゃ。そんなに難しく考えんでも出来ると思うぞ」


 とりあえず試してみれば良いか……魔力を集めてこことは違う場所に向けて入り口を……ん?何か違和感があるからこれかな?違和感に向けて魔力を通すと頭の中に亜空間の様子が流れ込んできた。空間としては広そうな感じがするし、中はなぜか明るく空が見える……ダンジョンの1階層のような感じだ。


「なんか中が草原になったんですけど……これが普通なんですか?」


「普通ならただの暗い空間のはずじゃが……もしかしたら《ディメンジョンワールド》かもしれん。他のエンシェントドラゴンで使えたやつがったはずじゃが誰だったかのう……」


 ディメンジョンワールド?次元の世界って意味になるわね、そうすると設定次第では中で暮らせる?亜空間との違いがよくわからないわね……


「《ディメンジョンワールド》ですか、《アイテムボックス》との違いは?」


「違いは生き物が入れるか入れないかだな、それに出入りの指定をすれば自由に出入りすることが可能じゃ。例えば獣魔たちの住処にピッタリじゃぞ、魔力は使うが使用する者が空間内の環境を自由にできるのでな……そうじゃな移動できる魔物が現れないダンジョンと思えばよい。我もドラゴン形態になったときは入らしてもらおうかの……」


 ルル達だけを入れるのはなんだか怖いわね、私も入れるのかしら?それなら一緒に入れば何かあっても大丈夫そうだし……ヴァイクさんも一緒であればさらに何とかできそうではあるわね


「そこは私も入れるのですか?」


「入れるぞ、ただし出るときは入った場所にしか出れんがな……」


 あれ?そうするとものすごく安全に野営が出来るかもしれない、それどころか中に家を建てればそこで寝ることも可能なんじゃ……食料さえあれば引き籠もりになってしまいそうだ……


「便利ですね、でも《アイテムボックス》が使えないと……」


「《アイテムボックス》なら我が使えるから問題ない、それにマジックバッグもあるではないか」


「そうですね……またそのうちチャレンジします。」


「そうじゃ、この家を《ディメンジョンワールド》の中に置けないかの?そうすれば中で寝れるし、家の拡張をすればアスカの部屋も用意できるじゃろう?」


 ふむ、確かに悪くない案かもしれない。魔力でいろいろ出来るようだから私の部屋と製薬室を作れば……引き篭もりまっしぐらね……


「わかりました。ヴァイクさんの家は移築して拡張しましょう。再構成もできるようですが、大事な物とかはありませんか?」


「ないの、基本的に重要なものは全て《アイテムボックス》に入れてあるので問題ないわい」


「では、移築します。やり方は……私たちが中に居ても問題ないようですね、床に手を触れて魔力を流す。」


 なんだか変な感覚だわ……家全体に魔力が行き渡っていく。しばらくすると少しだけ家が揺れた。《ディメンジョンワールド》の中に移ったようだ。あとは増築か、どんな部屋にしようかな?

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