第13話 昼ご飯と報酬

 もうお昼過ぎてるのか、そろそろ領都に戻って宿を探さないとね。見つけた3本の薬草から合計15枚の薬草が採取できた。


 街道に戻って領都に向かって歩き出す。あ、牙ウサギは鞄から出して持った方が良いかな?この見た目の鞄から出したら目立ちそうだわ。


 鞄から取り出し、2匹の牙ウサギの足を持って城門に向かって歩き出した。

 城門で門兵がなぜか牙ウサギをじっと見ている。チェックのためにブレスレットのプレートを見せた。


名前:アスカ(冒険者ギルド)

賞罰:なし


「チェックは大丈夫だが、その牙ウサギを入れる袋は持ってないのか?」


「袋を持ってくるの忘れたんです。なので2匹しか狩れませんでした。」


「血抜きされてるから血が垂れてないから良いが、獲物はなるべく袋に入れて持ち運ぶように!」

「すぐそこに冒険者ギルドの出張所があるからそこで獲物は渡していくこと、領都の中をぶら下げたまま歩かないようにな!」


「わかりました」


 城門をくぐって剣と盾のマークが掲げてある建物に入った。2つカウンターがあり受付に男性が座っている。すぐに声をかけてきた。


「一人かい?獲物狩ってきたの?牙ウサギだね?依頼を受けたもの?」


たて続けに質問された。


「一人です。外で狩ってきました。依頼は受けてません。」


「わかった。受領書を発行するから2匹ともこの上に置いて」


カウンターの上に置かれている台の上に2匹の牙ウサギを乗せた。


「血抜きはしてあるね、解体されてないから解体手数料はもらうから、傷も少ないから毛皮も使えそうだね」


「わかりました。ほかに何かあります?」


「特にないよ、はい受領書。ギルドに持っていけばお金を払ってもらえるから、依頼板に牙ウサギの依頼表があれば同時に持っていくと報酬も出るから見てみるとよいよ」


「ありがとうございます。」


 受領書を受け取って、出張所を出た。

 冒険者ギルドに行って報酬をもらおう、どのくらいの値段になるかな?ついでにお勧めの宿とかも教えてもらおう


 大通りを歩いていると、あちらこちらに屋台が出ていて食べ物を売っている。

 肉の焼ける匂いや、煮詰めたスープの匂いなどおいしそうな匂いがいろいろするので、我慢できなくなり一軒の屋台前で歩みを止めてしまった。


「嬢ちゃん、串肉食ってくか?1本300メルだぞ」


「なんの肉ですか?」


「うちのは牙ウサギだ、うまいぞ、スープもあるから一緒にどうだ?」


「なら、1本とスープをください。」


「あいよ、ほれまずは串肉だ。それからスープな、両方で400メルだ」


スープが置かれた台の上に400メル取り出しておいた。


「スープの器は後で返してくれよ、ほらそこの箱に座って食っていきな」


 屋台の右側にいくつか箱が置かれており、そこに座って食べるようだ。屋台のおっちゃんに言われた通り座って串肉をかじってみた。


「あつつ、でもおいしい」

「スープも野菜と肉の味が出てておいしいわ」


「な、うまいだろ、うちの自慢の一品だ」


食べ終わった串とスープの器を屋台のおっちゃんに返した。


「ごちそうさま、美味しかったわ」


「おう、また来てくれよな」


 少し少ないかもしれないが私にとっては丁度良い量だったわね、だいたい100メル=100円の換算でよさそうね、ほかの物価も調査しないとダメね。ブレスレットを見ながら考えるとこれが3,000メルは安く感じた。


「謎技術がいっぱい詰まってるのに3,000メルはお得ね。」


 冒険者ギルドに入ると中は閑散としていた。昼過ぎだしほとんどの冒険者はまだ依頼中なのだろう。とりあえず依頼板に向かい牙ウサギの依頼がないか確認してみた。


 残念ながら依頼がなかったのでカウンターの方に向かう。フレッドさんがこっちを見てるが、空いてる別のカウンターに行って受領書を出した。


「身分証もお願いします。はい、アスカ様ですね確認しました。」

「牙ウサギ2匹で6,000メルになります。あ、解体手数料の600メルを引いて5,400メルになります。」


「あと薬草もあるんですが…」


「薬草は5枚で500メルになります。何枚ありますか?」


「15枚あります」


 そう言ってカウンターに薬草の束を乗せた。受付嬢は薬草の枚数を数えて、カウンターの下にしまった。


「はい、牙ウサギの5,400メルと薬草の1,500メルを合わせて6,900メルになります」


 差し出された小銀貨6枚と銅貨9枚を受け取った。鞄の中は「貨幣:62,110メル」になった。6万円ちょっとか少し心許ないわね


「ほかに何かありますか?」


「あ、出来たらおすすめの宿を教えてもらいたいのですが…」


「そうですね~、女性一人ですよね?そうしたら[妖精の止まり木亭]がおすすめです。防犯もしっかりしているし食事も美味しいですから、8,000メルと少し高いですが資金に問題がないようでしたらお勧めします。場所はここから大通りを北に向かって少し歩いたところにあります。大きな木の看板があるのでそれが目印です。」


「わかりました。ありがとうございます。……………」


「あ、失礼しました。私はミーナといいます。これからもよろしくお願いしますね」


宿の場所も聞けたので[妖精の止まり木亭]に向かってみた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る