第11話 領都の外にて1

 城門を抜けて外に出た、出る時はチェックが無いようだ。

 領都には東西南北それぞれに4つの城門がある。昨日入った城門は北門(王都方面)になっている。今出てきた城門は南門でアラバンス王国につながる街道が続いている。西門は大森林方面なので冒険者以外はあまり出入りする人は少なみたいだ。


 スキル検証の続きは人に見られたくないので城門と街道から少し離れてやろう。城門を出て10分くらい歩いたところで良いかな?【イリス】さん、10分経過したら教えて。


『承知しました。呼称は【イリス】でお願いします』


 わかった【イリス】改めてよろしくね、しばらく草原に続いている街道を歩いていたが誰も通る気配がない、馬車とか冒険者は朝早くに出発してるだろうから中途半端なこの時間は人が少ないのかな?


『10分経過しました。城門から約500メートルの位置です。』


 よし、この辺で西側の大森林側に行ってみよう。

 大森林に向かって草原に入ってみた。少し草をかき分けながら進んでいると背が低い草ばかり生えている場所にたどり着いたのでこの辺りでスキル検証をすることにする。


「一応周りを確認してっと、なにから始めようかしら?」


「ステータス(スキル)」


スキル:

 【共通言語】

 【生活魔法】

 【料理:Lv3】

 【交渉術:Lv3】

 【算術:Lv2】

 【速読:Lv2】

 【体術:Lv1】

 【短剣:Lv1】

固有スキル:

 【リセット】

 【イリス(ナビゲーション)】


 特に変わってないわね、Lvがついてるスキルとついてないスキルがあるけど何が違うんだろ?【イリス】わかる?


『Lvはスキルの熟練度を表しています。Lvはそれぞれ、Lv1:初心者、Lv2:初級、Lv3:中級、Lv4:上級、Lv5:達人です。』


なるほど、【算術】スキルが初級なのはなんでだろ?


『【算術】スキルは【計算】スキルの上位スキルです。』


 【生活魔法】については魔法の講習があるからその時に聞いてみるのがいいわね、 とりあえず昨日ナイフを使ったら【短剣】スキルが生えたし、ほかのスキルも生えてくるのか試してみよう。草の間に落ちている小石を拾って投げてみた。


 【投擲】が生えることを期待してステータスをチェックしてみたが……生えてないか、1回投げたくらいじゃダメだよね。もう少し大きな石を探して何回か投げてみるかなぁ…地面の草をかき分けながら丁度良い大きさの石を探す。


「あったあった、もういくつか落ちてないかな?」


 もう、この草なんだろ?すごい邪魔だよ、草をかき分けてると腕に絡みついてくる草がある。よく見てると突然目の前に〔絡み草〕と表示された。


「うわ、なんか見えた!なになに?」


『スキル【鑑定】を取得しました』


 【鑑定】スキルが生えたのか!ん?【短剣】スキルの時はアナウンスがなかったけど【イリス】なんで?


『戦闘中に取得したのでお知らせしませんでした』


 なるほど、確かにいきなり頭に声が響いたら集中力が切れるか、ちゃんと考えられてるんだね


「ステータス(スキル)」


スキル:

 【共通言語】

 【生活魔法】

 【料理:Lv3】

 【鑑定:Lv1】new

 【交渉術:Lv3】

 【算術:Lv2】

 【速読:Lv2】

 【体術:Lv1】

 【短剣:Lv1】

固有スキル:

 【リセット】

 【イリス(ナビゲーション)】


 お、【鑑定】もレベルがあるのか、これもいろいろ試さないといけないわね。とりあえず石探しの続き続き♪


 いくつか石が拾えたので、大森林の方に向かって思いっきり投げてみる。地球に居る時より投げた石の速度は早いし遠くまで投げれてるわね、ステータスがあるからそれの影響かしら?

 四つ目を投げたときに石が何かにあたってゴンっと音を立て、鳴き声が聞こえた。


「ギュゥー」


 何か動物に当たった??20~30メートルくらい先かな?とりあえず鳴き声がした方に向かってゆっくり草をかき分けて進んでみる。


 音と鳴き声がしたあたりを捜索してみると、牙ウサギが倒れている。額の部分に血がついており倒れているがまだ生きているようだ。すぐにナイフを抜くと牙ウサギの首筋に突き立てた。


 なんか手馴れてるな、それに魔物を殺すことに嫌悪感などがわかない。地球では虫くらいは殺すがそれ以外の生物を殺した記憶などない、尖った牙は生えているが見た目はほぼウサギなのに躊躇することなくとどめがさせた。


『一般常識インストール時に精神もこちらの世界に合わせるようなっています』


 なるほど、確かに魔物がいる危険な世界だ、人の命など地球に比べれば軽いものなのだろう。冒険者をやったり旅をするなら必要なことだからか……

 少しショックな部分はあるが気にしても仕方がないので切り替えていこう。


倒した牙ウサギを鞄にしまう。「牙ウサギ×2」


あ、昨日の牙ウサギもあるんだった。違いがあるのか調べるために両方だしてみよう


「昨日の牙ウサギは額に傷がついてないやつだね、触ってみるとまだ少し温かいし首筋から血も出てる」


この鞄の中って時間も止まってる?


『詳細は分かりませんが、時間停止機能付きマジックバッグと思われます』


 うーん、マジックバッグの価値はわからないけど時間停止とかばれたらやばそうね……【投擲】スキルはやっぱり生えていなかった。

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