第30話
そうこうしている間に高位貴族のみが参加する舞踏会の日となった。
そうそう、忙しく日が過ぎていった理由。それは平日は仕事、休日はニール様とデートや結婚式の打ち合わせ。
結婚式の後は王都内の一軒家に住む事になっている。
私達は領地を持っていない貴族なので小さな家で十分なの。使用人も5人ほどの予定で本当に最低限だと思う。
メイジーは私に付いて来てくれるみたい。
感謝しか無いわ。
因みに、前世では私に侍女はおらず、ドレスを着る以外は自分でしていたから何でも一人でこなせるのは内緒だけど。
王家からは王城内の貴族コテージに住んで欲しいと要望が出たらしいけれど、ニール様は2人の愛の巣を他の人に踏み入れられたく無いと拒んだみたい。もちろん家の方には魔石でのセキュリティはばっちりにするらしい。護衛も雇うしね。
そして他の家とは違い、私は結婚しても働き続けて欲しいと国から要望がある。これは光属性持ちの運命よね。
「準備ばっちりですよ。お嬢様」
そう言って準備をしてくれた公爵家の侍女さん達。本日はニール様のお母様が公爵家総力を挙げての嫁磨きをしてくれました。
お義母様曰く、『こんな根暗オタクでボサボサ頭で女の子に興味のない息子を変えてくれた勇者のような婚約者を逃してなるものか』らしい。
お義父様もお義母様もとても優しくて素敵な家庭だわ。私の家族はもう会場にいるかしら。今日もお兄様は殿下の側近として警護を兼ねて先に会場に入っているとは聞いた。本来なら上位貴族の警護に私達も駆り出されるのだけど、公爵家子息の婚約者お披露目や挨拶を兼ねているらしく、私達は招待客として参加する。
有事の際は宜しくねってやつだろうけれど。
「リア、今日も素敵だ。よし、私の部屋に行こう。今日の舞踏会は止めだ。可愛過ぎる。誰にも見せたくない」
「ニールが行かないなら私達と一緒に行きましょうね。リアさん」
渋々ニール様はお義母様に言われて私をエスコートする。馬車の中ではお義母様と話をしていたのだけれど、ニール様がボサボサ頭の頃は誰も見向きもせず、ニールから声を掛けても避けられて振られたりと散々な目に合っていたらしい。
髪型を変え、顔を見せるようになった途端に令嬢から追いかけ回されるようになったのだとか。今回はニールの愛人になるべく擦り寄る令嬢が居るので気をつけるように言われた。もちろん私自身の身の危険もあるから離れないようにと。
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