第23話

 残りの3日間はすっかりリフレッシュした休暇だったわ。


卒業までの課題をやり終えて学院へ提出もしてきたし。これからは本格的に王宮魔導師になる為に頑張らなくっちゃ。


「ニール師団長おはよう御座います」


「リア、おはよう。突然なのだが、君が休んでいる間に南部で魔物が活発化していると報告があった。今から私の補佐として3日程付いてくるように」


「分かりました。すぐに侍女に荷物を持ってきて貰いますね。後はモーラ医務官にも伝えて来ます」


「あぁ。頼んだ」


私はすぐに侍女のメイジーに魔法鳥を飛ばして連絡し、医務室へと向かう。


「モーラ医務官、南部の方で魔物が活発化したと報告があり今からカルサル師団長と共に現地の視察へ向かいます」


「了解した。気をつけて行っておいで」


モーラ医務官はにこりと笑って視察の間、私が居ない間分の薬を調合しはじめる。すると私達の会話を聞いてベッドの方から声が聞こえてきた。


「えー。リアちゃんニールと2人で旅行?良いな。俺も行きたい」


「旅行ではありません。視察です。サウラン副団長。今日はどうされたのですか?」


「訓練をしていたらちょっと足を怪我してしまってね。モーラ医務官に診てもらっていたんだ」


「アベルは打身と打撲が3箇所だ。ワシの薬を塗って安静にしていれば治る。サボってないで早く騎士団へ戻るんじゃ」


「えー。リアちゃんに治して貰いたい。じーさんより若い娘の方がいいのに。ねぇ、リアちゃん。僕も視察に一緒にでもいいよね?騎士だし、ボディーガードにぴったりだよ?こう見えて僕強いんだよ?」


「私には何の権限も御座いませんし、ニール師団長に言って下さい。それにサウラン副団長は怪我をなさっているではないですか。許可が降りるとは思えません」


「ニールの許可があれば良いのね。よし!取ってくる」


 そう言ってヒョコヒョコと魔法師団棟に向かって行った。私はモーラ医務官にこの間雑貨屋で買ったお揃いのウサギのペーパーウェイトを渡した。モーラ医務官は孫からのプレゼントは嬉しいなぁ、ありがとうと喜んでくれて凄く嬉しかったわ。


しばらくしてから私は魔導師棟に戻った。


「ニール師団長、只今戻りました」


部屋に入ると超不機嫌なニール師団長の横でサウラン副団長が満面の笑みを浮かべていた。


「リアちゃん、僕も視察に付いて行く事になったから宜しくね」


え?何が起こったのかしら?ニール師団長の不機嫌な様子を見るからにサウラン副団長はきっと無理を言ったのかなと思う。


とにかく、視察は3人になったらしい。


「サウラン副団長は騎士団の仕事をしなくて良いのですか?」


「うん。団長も部下達も優秀だからね。行っておいでと言われたよ」


それなら良いのですが。


「ニール師団長、そういえば渡し忘れていました。使って下さいね。私とモーラ医務官とお揃いですよ」


ニール師団長の机に置いてあった書類の上に黒ウサギを乗せてみた。チラッと見たけど、ドラゴンでは無い為反応は薄いが文句は出なかった。


「良いなー。お揃い。僕のは無いの?」


「これは上司であるニール師団長とモーラ医務官とのお揃いです」


ー コンコン ー


「リア様、お着替えをお持ちしました」


「有難うメイジー」


「ではリアの準備も整ったようですから出発しましょう」

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