第31話ー世界円卓会議2
本郷「…老師、何か手立ては有るのですか?」
龍弦「有る事にはある、
…じゃが今のままではまず無理じゃ。
それを成し得る人も個々の力量も
全く足りとらん。」
絶望的なこの状況で力が、技術が足りていないと
言われても反論出来る者はここには居なかった。
龍弦「………龍脈は知っておるな?
ダンジョンは龍脈のエネルギーを吸って成長
し、モンスターを産み出す。
そして限界までエネルギーを吸収すると
魔物氾濫が起きる。
今回判明したのは世界各地にある最高難度の
ダンジョンが同時期に限界が来る。
と言う事じゃ。」
ロイド「龍弦の爺さん!
勿体ぶらないで早く教えろ!
どうすればこのクソッタレな状況を
回避出来る?!」
龍弦「…回避は無理じゃ。
地震や台風、津波や噴火……
そんな自然災害をどう回避するのじゃ?
それと一緒じゃよ。」
龍弦は無慈悲にも回避は無理だと、防ぐ事は出来ないと言った。しかし、
龍弦「じゃが、回避は無理でも被害を最小限に
抑える事は出来る。
今から資料を配るでの。コレは各国の協力
が必須になってくる。
目を通したら詳細を煮詰めようと思うとるが
…意義のある者は居るかの?」
龍弦が周りを見渡すとドイツ首相のエリー・アルケルが手を挙げていた。
エリー「1つ質問があるのだけど良いかしら?」
龍弦「ん?なんじゃ?」
エリー「この資料にある世界冒険者機構付属アルテマ学園
って言うのはなんなの?」
龍弦「それはな、各国に各々の冒険者組合の学園
があるじゃろう?
その卒業生の中で優れた者だけが入れる
学園を造って戦力増強が目的じゃな。
この作戦の根幹の部分じゃ。
今のままでは人手不足で終いじゃしの。」
エリー「ふーん…各国の優秀な者達を集めた学園ね。確かに効率的に、且つ確実に強者が生まれてくるわね!」
ジュリア「国ごとに冒険者学園の人口はまちまちだけど、平均約1万人…そこから500位以内に入れば
受験資格有りにするのはどう?
それだけで主要8カ国だけでも、
毎年4000人程度強者の卵が生まれるわ!」
龍弦「まぁそこら辺は議論しなくてはな…
それと全世界に地下シェルターを建造する
計画もある。民間人を全力を持って
守らねばならん。
あと…この学園には儂の息子を入学させるつ
もりでおるからの。」
龍弦のこの最後の一言で会議室がシーンっ…と静寂に包まれた。
そしてこの場に居る全員が龍弦の方へグリンッと首を向けた。そして……
「「「「ええぇぇぇぇっっっーー?!?!」」」」
ロイド「ちょ、ちょっと待て!龍弦の爺さん!
爺さんに子供居たのかっ?!って、
その歳で子供!?
それに現状で最高峰の学園に入れる実力はあるのか?」
龍弦「流石の儂でも歳には勝てんよ。養子じゃよ。
そして儂の跡を継ぐ、
摩利支天流正統後継者じゃ。
まだ10歳になったばかりでな、
これがまた可愛いんじゃよ!」
龍弦がレイルを思い出し、誰も見た事がないくらいニマニマしている姿が衝撃的で
皆、唖然としていたがハッと我に戻ったロイドが詰め寄る。
「爺さん!まさか我が子が可愛いからって
それだけで学園に捻じ込んだり
後継者にしたんじゃねぇだろうなっ!?」
そんな事を言われた龍弦は額に青筋を浮かべながら
「おい、小僧……
儂がそんな愚か者に見えるのか?んん?」
「い、いや、そんな事は…」
圧倒的強者の怒気に気圧され声が出なくなるが次の瞬間には怒気が無くなっていた。
「 ……はぁ、心配せんでもいくらレイルが
可愛いからって身内贔屓なんぞせんわい。
まだ未熟じゃが才能や将来性は儂を優に超え
ておる。今の実力で言えば、
そうじゃのう…お前さんとこの
特殊部隊ファントムの副隊長クラスに手が届
くかどうか…と言ったところかの。」
アメリカ大統領ロイドの直属部隊ファントム。
正確な人数は明かされていないが約20名ほどの超精鋭部隊。
一人一人が各国の冒険者上位に匹敵すると言われている。
その中でも隊長、副隊長は人外と呼ばれる程の化け物だった。
ロイドはたかだか10歳の子供が自分の直属…それも虎の子の部隊の副隊長に匹敵すると聞かされて顔が引き攣っていた。
「おいおい…爺さんの息子ヤバくねえか?
規格外にも程があるじゃねぇか…
学園に入れる意味あんのかよ?」
「レイルは学校にも行った事がない箱入りじゃからの…友達がおらんのじゃよ。
かと言って普通の学校に行かすと絶対周りから浮いて友達どころじゃなくなるからこの学園が最適なんじゃ!」
「……なんかこの学園って爺さんの息子を入学させる為に造るんじゃないかって感じがして来た…。」
「まぁ、後10日程で案件を全部纏めるだけ纏めて早く帰りたいんじゃ!レイルが気になるでの。」
(訓練と実戦では成長スピードが全く違うからのう。儂がいない間にどれだけ成長しとるか楽しみじゃわい!)
龍弦はレイルの事になると少々過保護な所があるのだった。
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