第23話ーオタク化
(ふえぇっーー!!凄い!凄いよ!箱の中に人が入って動いてる!?)
レイルはこの世界に興味が出ていた。
と言うよりも科学技術に驚愕していた。
毎日が楽しくて朝から道場の見学、
夕方から龍弦と鍛錬の日々でずっと修行に明け暮れていたから中々他の事に目を向けられなかった。
その結果、初めてTVを見た時のレイルの反応がコレである。
目をキラキラさせながら千夜に尋ねる。
「千夜さん!コレ凄いですね!
小人が箱の中で動き回ってます!」
「レイルちゃん、これはTVと言って映像なのよ?
とても離れた場所でも映るのよ。」
「へぇーっ!凄すぎますね!ずっと観てられます!」
「TVはちゃんと勉強が終わってからなら程々に観ても良いですよ。
そのかわりサボったらお預けです!」
「は、はい!頑張ります!」
「よろしい。では今日から授業を始めますよ。
…まず初めはレイルちゃんの学力テストです。
今どれくらいの学力があるかで何を教えるか考えますので、しっかりと答えてくださいね。
では…始めます。」
テストの結果は算数・数学、以外は全滅だった。
まぁ当たり前なのだが…
「うぅ……全然わからない…」
「これくらいは許容範囲内ですから大丈夫です。
数学は問題なく解けていたので、まずは国語ドリルからですね。頑張って下さい。」
そう言って勉学に明け暮れ、はや半年。
完全記憶の能力を遺憾なく発揮し、
鬼教師千夜のおかげもあってなんと、
中学生1年までの範囲を全て終えてしまったのだ。
これには千夜も驚いていた。
(レイルちゃん本当に規格外ねぇ…
最初から教えるのは骨が折れると思っていたけど、
一度見たものは全部覚えてるみたいだし)
「レイルちゃん、これで貴方が在籍している学校の範囲は終わりましたよ。よく頑張りましたね!
次はインターネットや漫画、アニメ、と言ったサブカルチャーを習ってもらいますよ。
周りから浮かないようにしないといけませんからね!
中学生に上がるまでには日本の文化を浸透させますよ。」
レイルはサブカルチャーがどんなものか知らずに意気込んでいた。
「わかりました!どんな授業でも全力で取り組みます!!」
「では、始めますよ。」
それからアニメや漫画を見続けてまた3ヶ月…
すっかりオタクになっていたレイルだった。
千夜も、最初は初めての事だからと思う存分アニメを見せていたが、レイルはものの見事にハマり千夜がいない時も目を盗んでアニメを見るようになった。
…そして気づいた時には手遅れだった。
額にはバンダナ、そして眼鏡、赤色のチェックのシャツにジーパン。
両手にはペンライトを持って某萌系音楽アニメのTVを見ていたのだ。
「あっ!千夜氏ー!今日のアニメもなかなかでしたー!」
「レ、レイルちゃん…?
どうしたのその格好に言葉使い…千夜氏??」
「はい!インターネットで調べたら、
アニメや漫画を愛する人の正装と言葉遣いがコレだと教えてくれました!!」
千夜は目の前がクラっとして目眩を覚えた。
(しまった…大人しく楽しそうにしていたからつい目を離してしまいました。
これではレイルちゃんが真性のオタクになってしまう…)
「レイルちゃん?それは間違いですからやめた方が良いですよ?」
「え?えぇ?間違いだったんですか……」
「はい。間違いですね。
そんな言葉遣いはごく少数の人だけよ。」
「そ、そんな…ネットの皆はこれが正しいと言って来たのに…騙されたのか…くそぅ、、、。」
「はいはい、あんまりネットを鵜呑みにしゃだめよ?
あれらは面白おかしくしているだけなのだから。」
「はい…気をつけます。」
千夜はなんとか軌道修正出来たかな?
と一安心したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます