落ちこぼれと呼ばれた天才少年の現代転移!10年後、異世界に戻ってきたので自由気ままに成り上がります

猫じゃらし

第1話ーレイル誕生

「おぎゃぁあぁぁー、おぎゃぁあああっー!」

屋敷中に赤ん坊の声が響く。


「おぉっ!産まれたか!」

「ハイ!旦那様!元気な男の子です!」


屋敷の一室に体躯のいい赤髪の男性、リッツオール家当主グラン・フォン・リッツオール。

ベットに寝ている銀髪の女性、ミザリー・フォン・リッツオール。そして助産師、鑑定士が居た。


「良くやったぞミザリー!」

「ありがとうアナタ…」

「して、魔力保有量はどうなのだ?」


グランが鑑定士に問う。

鑑定士の額から一筋の大粒の汗が流れる…


「だ、旦那様、も、申し訳ありません!鑑定不可でございます。」

「どう言う事だっ!!息子に魔力がないと申すのかっ!」

「ヒィっ!ち、違うのですっ!お子様の魔力量が膨大過ぎて鑑定の水晶が壊れて鑑定出来ないのです!」

「なに?今回使った鑑定の水晶はアーティファクト、壊れない代物だぞ?」


鑑定士は思案気味にグランの問いに応える。


「はい…、通常ならば壊れる事は御座いません。しかし…2度ほど壊れたと言う記録が御座います。それは……」

「それは?」

「約3,000年前の神魔戦争時のレイル勇者様と魔王ギラン。その両者のみで御座います…」



「ふ、ふふ、ふははははっ!それは本当か!?」


この時グランに1つの火が心に灯ってしまった。

それは長年グランが無理だろうと諦めてしまっていた思惑。

(よしっ!これで我がリッツオール家も公爵家、そして王家にも繋がりができるかも知れん!)


「ミザリー!この子の名はレイルだっ!」

ミザリーは目を開きそしてスッと細め

「えぇ、そうしましょう、それが良いわ。」

ミザリーの目もまた怪しく光っていたのだった。


それから6年後…


「レイルーッ!魔法の練習しましょー!」


リッツオール家の屋敷に1人の少女が遊びに来ていた。彼女はこの国ミリザリア皇国公爵家次女ナナリー・ツー・リンドブルムであった。


「ナナリー様…ここに来られたら困ります!父上に怒られてしまいます」

「なぜ?私はアナタの婚約者なのよ?来て当然ではなくて?」

「それは…私が魔法を使えないからです。いえ、簡単なものなら使えますが効果が最低、それ以上の魔力が出せないのです。」


ナナリーが腰に手を当て片手をこちらに指差し。


「ふーんっ、そんなもの知らないわっ!私はレイルが気に入ってるの!魔法が使える使えないは問題じゃないわ!」


そんなナナリーにレイルは嬉しいような困った顔で


「ありがとう御座います、ナナリー様」

と微笑むのだった

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