第78話
「それは...なんとなく分かるけど...と、とにかくダメったらダメよ! 兄妹揃って婚約破棄なんてことになったら、あなた達の公爵家に大ダメージを与えることになるじゃないのよ!」
「まぁそれはそうなんだけどね...でもそうすれば今度こそアンリエットと姉妹になれるかなぁって思ったりして」
「それって絶対私との方はついでだよね!?」
「テヘペロ♪」
コイツは...
「テヘペロじゃね~よ! ハァ...全くもう...あんまり驚かせないでよね...」
「ゴメンゴメン、でも良い相手かぁ...難しいわねぇ...」
「そうだよね...」
「後家さんとかバツ1さんでいいなら何人かは紹介できるんだけどねぇ...」
「後家さんはともかくバツ1さんは嫌だなぁ...」
「でしょう? オマケに連れ子が居る人がほとんどなんだよねぇ...」
「それはちょっと...また我が家を乗っ取ろうなんて画策するかも知れないし...」
「あぁ、あのお馬鹿なギルバートね。アイツ今どこでなにやってんの?」
「さぁ、知らないわ。知りたくもないし。実家から勘当されたってことだけは聞いてるけど」
「どっかで野垂れ死にしてたりして」
エリザベート...容赦ないな...そう思っていた時だった。
「あの...お嬢様...その...お客様なんですが...」
物凄く申し訳無さそうにセバスチャンがやって来た。
「お客!? 誰!?」
「その...ギルバート殿です...」
噂をすればなんとやらとは良く言ったもんだ。たった今話題に上ったばかりのギルバートがまさか訪ねて来るだなんて。
私とエリザベートは顔を見合わせた。
「それで!? 何の用だって言ってた!?」
「おっしゃいません。ただお嬢様にお会いしたいとだけ...」
「ハァ...」
私はため息を吐くしかなかった。今更何の用だと言うんだろう?
「お嬢様、追い返しましょうか?」
セバスチャンが腕捲りするような仕草をする。ウチの執事は荒事にも慣れている。
「いえ、会ってあげることにするわ」
「えっ!? よろしいのですか!?」
「アンリエット、本気なの!?」
セバスチャンとアンリエットが揃って目を丸くする。
「まぁ仮にも元婚約者だし。それに力尽くで追い返してもまた来るでしょうから」
「それなら私も一緒に会うわ。アンリエットになにかあったら大変だもの」
「エリザベート、ありがとう」
「客間にお通ししますか?」
私はちょっと考えて、
「いいえ、玄関で十分よ。招かれざる客なんだから」
「畏まりました」
私はエリザベートとセバスチャンを引き連れて玄関に向かった。
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