第53話
「ウソ...ウソよ...ウソよぉ~! なんなのよそれ! 酷いじゃないのよぉ! 私まだこうやって生きてるのよ! それを...死んだことにするなんて...酷いわよぉ~! アンタら人間じゃないわよぉ~! ウワアアアンッ!」
ついにスカーレット嬢は大声で泣き出してしまった。
「これじゃ収拾がつかないな...アンリ、済まなかった...スカーレットは僕が連れて帰るよ...」
そう言ってクリフトファー様は、泣きじゃくっているスカーレット嬢を引き摺るようにして連れて行った。
二人を見送った途端、ドッと疲れが押し寄せて来た私は、そのままソファーに倒れ込んだ。
◇◇◇
翌日、エリザベートが我が家にやって来てくれた。
「そう...そんなことがあったの...大変だったわね...アンリエット、我が家のゴタゴタに巻き込んで本当にごめんなさいね...」
「ううん、いいのよ。気にしないで。それにね、スカーレット嬢がやって来た時、私一人で対峙するんじゃなく、先にクリフトファー様に連絡するべきだったなって今は後悔してるの。それで? あの後は一体どうなったの? なにか聞いてる?」
「それがね...色々と大変なことになってるみたいなのよ...取り敢えずお兄様は、スカーレットを実家であるモリシャン侯爵家へ届けに行ったみたいなんだけど、当然ながらそこでも修羅場が展開されたみたいでね...お兄様は深夜、疲れ切った顔で帰宅したわ。そこからまた我が家でも協議が続けられたみたいね。今日、お兄様は朝からモリシャン侯爵家に行っているわ。ほとんど寝てないんじゃないかしらね...」
「そうだったの...クリフトファー様も大変ね...」
「アンリエットは何も心配しなくていいからね? もう迷惑を掛けるようなことは無いと思うから安心して?」
「うん、ありがとう」
「それじゃあ私はこれで。また何か分かったら連絡するわね。もっとも私より先にお兄様が来ると思うけどね」
エリザベートが苦笑しながらそう言った。
「確かにそうかも知れないわね」
それでなくてもクリフトファー様は、毎日のように我が家へやって来てるからね。特に何も用が無くても。
「あ、そうだ。ケイトリンもどこかから嗅ぎ付けたみたいでね。色々と心配してたのよ。落ち着いたら今度三人でお茶でも飲まない?」
「いいわね。そうしましょう」
そしてエリザベートが帰った後、ほとんど間を置かずに今度はクリフトファー様がやって来た。エリザベートの言った通り疲れ切った顔で...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます