チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【6】『すっぽんぽん』【なずみのホラー便 第93弾】
なずみ智子
チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【6】『すっぽんぽん』
【問題】
一人暮らしのI美さんは、足の踏み場のないほどの最凶レベルの汚部屋住人というわけではありませんでしたが、ズボラで整理整頓能力が皆無な女性でした。
そんなある日、I美さんは旅行のため、自宅を留守にします。
心ゆくまで遊んで食べて笑い、数日後、自宅へと帰ってきたI美さん。
シャワーを浴びようと思ったI美さんは、着ている物をポイポイスルリとその場にだらしなく脱ぎ捨てながら、バスルームへと向かいました。
冷たいバスマットに足を置いたI美さんは、ふと足元を見下ろします。
その直後、I美さんは声になっていない声をあげながら、すっぽんぽんのまま、家の外へと逃げ出しました。
さて、なぜI美さんはすっぽんぽんのまま、逃げ出したのでしょうか?
【質問と解答】
チエコ先生 : 第6問目となる「チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ」だけど、前の5問に比べると今回は簡単かもしれないわね。このページをご覧の方々の中には、一発で解答が分かった方もいるとも思うわ。
キクちゃん : えーと、チエコ先生。I美さんはすっぽんぽんのまま逃げ出したんですよね。タオル1枚すら手に取る余裕もないほど恐ろしい何かを見てしまったんだとしか考えられません。I美さんが整理整頓されていない部屋に住んでいる描写から考えますと……I美さんの足元をゴキブリがカサカサカサ―ッと駆け抜けていったんですか?
チエコ先生 : NO。たかがゴキブリで逃げ出すような人なら、普段からゴキブリに遭遇することのないよう家の中を綺麗に片づけておくと思うわ。
キクちゃん : たかがゴキブリですけど、されどゴキブリですよ。奴らは体は小さいくせに、恐怖と嫌悪のボルテージを瞬時に最高値まで引き上げることができるんですから……と、話が逸れてしまいました。じゃあ、I美さんは他の何かを見てしまったということですね。I美さんはネズミを見て逃げたのですか?
チエコ先生 : NO。もう一度、問題文をよく読んでみて。
キクちゃん : ……あ! もしかして「心ゆくまで遊んで食べて笑い~」のくだりが鍵なのでしょうか? 旅行中、心ゆくまで食べていたI美さんは、想像以上の有様となっていた自分のお腹のでっぷり具合を目の当たりにし、悲鳴をあげて逃げたんでしょうか?
チエコ先生 : NO。それはそれで悲鳴をあげたくなることかもしれないけど、すっぽんぽんのまま、外にまで逃げる必要はないでしょ?
キクちゃん : そうですね。となると、I美さんは何を見てしまったんでしょうか? うーん、うーん……
チエコ先生 : 人間がただならぬ恐怖を感じる時って、何かを見た時だけかしら?
キクちゃん : あ! そうか、そうだったんだ! 見たんじゃなくて……
チエコ先生 : だんだん解答へと近づいてきたわ。その調子よ。
キクちゃん : I美さんは見たんじゃなくて、足裏に感じたんだ!「冷たいバスマット」とあるから、バスマットは濡れていた……I美さんが旅行で数日間、家を留守にしていたにもかかわらず……ということは、I美さんは何者かが自分の家に上がり込んでいたことを察知して逃げ出したんですね?
チエコ先生 : YES。正解よ。ちなみにバスマットが濡れたままということは、その何者かはI美さんが帰宅する直前まで家の中にいた……いいえ、今も家の中に潜んでいるのかもしれない。もしかしたら、シャワーを浴びた後、I美さんが帰ってきたことに気付き、自らもすっぽんぽんのまま、バスルームの中でI美さんが入ってくるのを今か今かと待ち構えていたのかもしれないわ。
キクちゃん : I美さんは「ズボラで整理整頓能力が皆無な女性」と書かれていますが、不幸中の幸いか、危機察知能力はちゃんと持ち合わせていたんですね。もし、彼女がバスマットが濡れていることを気に留めなかったなら……
チエコ先生 : ええ、本当に良かったわ。すっぽんぽんのまま家の外に逃げ出したことは恥ずかしいことだけど、彼女がバスルームのドアを開けてしまっていたなら、それこそ本当に恐ろしいことになっていたかもしれないわ。
(完)
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