ストーリー139~142

ストーリー139:金型と設計の重要性


登場人物

ルイス、バンズ、ピコ、マット



 2人は設計図を見ながら、ガルアムからの画像を待っていた。


 ピコ「バン、画像データが来ましたので投影します。ガルアムにこのまま繋ぎます。」

マットoff「バンズは側にいるかい?」

バンズ「こんばんは、マットさん。画像来ました。今投影してますので、説明お願い出来ますか?」

マットoff「送った画像は4枚、2組の金型なんだが、裏面には爪部分と溝部分が2ヶ所と4ヶ所の型。表面は何も無く仕上がる面。基本的に、ウロムナ金属と同じなんだ。ただ、ダイム金属に変化する前の温度ならバリ取り位は出来るが、冷めてしまった物はダイムに変化してしまって穴も開けられない、切り取れない、曲がらない、削る事さえ出来ない。この金型から作った物は重ねて組み上げてプラズマ溶接で接合する。」

バンズ「金型設計の時に曲面部分を上手く考えないとって事になりますね。ハンジャの場合はどうでしたか?」

マットoff「ハンジャは前面のやや尖った四角錐の金型は8組。角の4組と板状を4組。側面はただ板状の部分だけなので1組。設計段階で全部爪と溝を作って金型を作り、出来上がりを組み上げて溶接しただけ。画像のは前面と側面の板状の部分のもの。軽量化して飛ぶ為に特化した作りにしたんだ。でも、ハンジャの前面はオールダイムパーツだから、小さい岩山なら突き抜けられる。衝撃は度外視だがね。」

バンズ「設計重視って事ですね。プレス機も使えないんですか?」

マットoff「ダイム金属は曲がらない。冷める前のわずかな時間か、極薄なら位。因みに、ハンジャは爪に穴があって、ロックピンを挿して溶接。ウロムナ金属との接合部分にも爪と溝で組めればもっと頑丈になるよ。ハンジャは溶接接合のみだけどね。ダイム金属を使うのに1番簡単なのはタイルを量産して溶接が楽かもね。ウロムナ金属のパーツにダイム金属のタイルを圧着して溶接。……これは軍の船でやってる方法だと噂で聞いた。ウロムナを撃ち抜くレーザー砲を喰らったらダイム金属のタイルは反射出来ても、本体のウロムナが溶けてダイムのタイルが剥がれてしまう。俺は軍の船には使わない方がよかったんじゃないかと感じた。原始的な話になるが、ダイム金属の鋭利な槍を飛ばしたら、刺さるか突き抜けるか出来る兵器になる……大昔の拳銃の弾丸をダイムで作ったら、間違いなくウロムナ金属は突き抜ける。加工の難しさが無ければ今頃は兵器に多用されてた代物って訳さ。」

バンズ「溶融温度は分かりますか?」

マットoff「ウロムナ金属がおよそ1500に対して、ダイムに変化した物はおよそ倍の3000ってとこ。ダイムを溶かす溶鉱炉は存在しないよ。恒星にでも行って溶かす他ない。」

バンズ「失敗は全て無駄になってしまうんですね……。やはり設計が要になるんだ。ありがとうございます、参考になりました。」

マットoff「よかった。良い設計をすればダイム金属でもウロムナの様に組めるよ。くれぐれも大きなパーツを作らない事だ。俺の両手と同じになるからね。」

バンズ「マットさん、やっぱり仕事で失ったんですね……なんとなく気が付いてました。今度是非ハンジャを見に行きますのでよろしくお願いします。今日はありがとうございました。」

ルイス「マットの画像と説明では私には見当も付かないけど、どうやらバンズは理解出来たみたいよ。シェルナさん、ガットによろしく伝えて。また連絡入れるわ、ありがとう。」


 ガルアムとの通信を終えると満足げのバンズ、


 バンズ「凄く参考になりました。もしダイム金属を作る時はじっくり取り掛からなきゃ大変なんだと痛感しました。設計をもっと勉強しなきゃですっ。」

ルイス「私はさっぱりなんだけど、バンズは理解出来たの?あんな大雑把おおざっぱな説明で?」

バンズ「ポイントを分かるように説明してくれてましたが……。じゃあ、ルイスさん。この船を見に入りましょうか。」


 バンズとルイスは博士が手掛けたダイム金属の接合部分を見に船に上がった。(その画。)


 バンズ「船体下半分のパーツの接合部分を見ましょう。」


 接合部分のUP。


 ルイス「うーん、見たところ溶接?てので仕上げてるわね。」

バンズ「ちゃんと爪を溝にはめて組み上げてます。マットさんの話はじいちゃんの設計と同じ方法の様ですね。……前面も見ましょう。」


 ハンジャの前面は四角錐だが、この船は曲面がメインだ。

バンズ「曲面はプレスだと思ってましたがこれも金型からだった様です。先端からパーツを少し重ねて組んでます。」

ルイス「なるほど凄いわ。これが設計段階から想像出来たって事よね?感心しても、したりないわ!これが技術者の真髄なのね。」

バンズ「設計の大切さがよく分かってアタイも少し自分を見直します。じいちゃんはこの船の試験航行が終わったら設計図は処分しろと指示の手紙が有りました……。」

ルイス「まさか、設計図を処分⁉︎それは残しておくべきじゃない?後できっと参考にしたくなると思うわ。」

バンズ「設計図を残すとそれ以上のものを設計出来なくなるって、じいちゃんの手紙に……。」

ルイス「バンズ?それは博士はそうしたかも知れないわ。何度も失敗したり、同じ事を繰り返したり。彼らは男性だから力もあれば持久力も有る。バンズは女の子よ。同じ事を繰り返さない様に、二度手間をしない様にすれば良いんじゃないかしら?女の子にはピッタリだと思わない?……私は少し横着だし、考えるより身体が先に動いちゃう方だけど、この設計図の事を考えたらずっと大切にしたいわ。バイブルにするのよ。過去の設計図をそっくり真似るのは愚策ぐさくとしても、参考にして、自分なりに応用して工夫して、初めてバンズの設計図になると思うの。……人の設計図は無いけれど、皆んな別の人を参考にして自分なりに応用して工夫して生きてるわよね。それと一緒の様な気がするわ。今回の事が無かったら考えもつかなかったかも知れない大切な事、学べたと思うのよ。」

バンズ「自分なりに応用、自分なりに工夫……ですね。そうします。この設計図は残しておきます。アタイなりに出来る事がアタイですもんね。ルイスさんありがとう。将来のビジョンが見えた気がしますっ!」

ルイス「いいえ私の言葉は参考にしなくて良いの。素晴らしい設計図を参考にもっと良いものを作るって気持ちを博士は伝えたかったんじゃないかしら。……ダイム金属のタイルで軍の船に使っているって噂、これは本当かしらね?」

バンズ「タイルを作るなら金型1組で量産出来る訳だから、効率は良いかもしれませんね。接合が気になりますが……。」

ルイス「もう日暮れが近いけど、行きましょうか。軍の宇宙船見学へっ!」

バンズ「ま、マジですかっ!見学なんて出来るわけないじゃないですかー。」

ルイス「Annは連れて行けないのは当然だけど、私達だけなら、ガラス越し位は出来そうなもんだけど……。」

バンズ「確かに考えるより身体が動くタイプですね。……でも今日は行けませんよ。……皆んなへの連絡はやりますから、今日は帰宅されて、長官に話してみてください。……アタイは絶対見たいなんて考えてませんから大丈夫です。」

ルイス「そーお?じゃあ今日はこれで帰って、上手くブロントに甘えてみるわ。期待してていいわよっ。」


 ディゾルプ。



ストーリー140:作戦初日、無事終了


登場人物

バンズ、ガルシア、ポートル、ラムル



 日が暮れて、ルイスを帰宅させたバンズ。メインルームで休憩中。


 バンズ「そろそろガルシアさんは目標地点かなあ。」


 モニターで連絡する画。


 バンズ「こんばんは。こちらバンズ。ミクラット聞こえますか?」

ガルシアoff「こちらミクラット。飛ばして来たからまもなく目標地点到達よー。」

バンズ「ガルシアさん、そんなに急がないでよかったんですがー。とするとラムルとポートルは後から追い越す感じですね。」

ガルシアoff「ラムルとポートルも通信は聞いてるはずだけど、あの子達、退屈してカプセルで寝てるかも知れないわよ。」

ポートルoff「あー。あ、あ。こちらマイクのテスト中―。あーテストテスト。」

バンズ「こちらバンズ、マーデクト応答願います。……って起きてんじゃんポートル。」

ポートルoff「バンズ、こっちは順調よ。ガルシアさん?ポイント1過ぎたら寝ようと思ってまーす。」

ガルシアoff「はいはい、ごゆっくりー。」

バンズ「こちらバンズのドック。ラムルは聞こえる?」

ラムルoff(実はジャンの声真似)「こちら、カーラント。異常有りません。順調に航行中……。」

バンズ「ら、ラムルまで遊んでる(汗)。ジャンの声真似で通信するなーっ。ったく、こんなんだったらルイスさんに泊まってってもらえば良かったよぅ。……。」

ラムルoff「あら、母上は帰ったの?」

バンズ「うん、ちょと長官に話が有るからって。」

ラムルoff「バンズっ!あなた母上と何かしようとしてない?」

バンズ「今日はルイスさんに手伝ってもらって船の組み立てを進めてただけだってー。」

ガルシアoff「うーん、ラムル図星よ!ね、バンズ。」

ポートルoff「バンズ嘘付けなーい。……ほらっ。フライ!そこメモするとこっ!」

バンズ「いやぁ皆んなには嘘付けないや。戻ったら話すよ。……それにしても退屈してるみたいだねー。」

ポートルoff「だってフライとゲームしてもいつも負けるもん。退屈よー。」

ガルシアoff「はいはい、私からの観光アドバイス!2人の進行方向で左を探査してみて。遠いけど、綺麗な銀河が幾つか見られるわよ。眠くなるまで試してみたらどうかしら?」

ラムルoff「わーやってみるー。いい退屈しのぎになるわー。」

ポートルoff「ややこしくなさそうだし、やってみるー。」

バンズ「じゃ、今日はこれで通信終わるよー。明日朝連絡始めるからね。緊急で何かあった船は直ぐに連絡の事!以上。」


 さすがガルシアの名案で少しは退屈しのぎが出来る様だった。


 バンズ独り言off「探査距離の調整が難しいから、きっとポートルは間食しながらやってんだろうな(微笑)。さて、アタイは少し作業して寝よっと。」


 メッセージ衛星の画。(前ストーリーからのリピ画で可)


 ディゾルプ。



ストーリー141:ルイス、甘える


登場人物

ブロント、ルイス、ジック



 中継ポイント作戦初日が終わろうとしている晩。


 カーレイ邸。食事が済んでブレイクタイムのブロントとルイス。


 カップを手に談話中の画。


 ルイス「……ロワート博士は素晴らしい方だったんですね。ドックでは宇宙船ふねを作ってた様なんですよ。」

ブロント「ほぅ。私に見せなかったのは何かと思っていたが、宇宙船ふねとはね。……彼はフローターにしか乗らなかったが……。そんなヤツが宇宙船ふねを作っていたとは。」

ルイス「多分バンズには残したかったんじゃないかしら。」

ブロント「バンズはメカニックとしてはなかなかの腕だと噂を聞いたよ。ビブレスでも名前が上がるらしい。博士の孫とは皆知らないがね。」

ルイス「今後はジックのメンテナンスを約束したんですよ。」

ブロント「そうか。それはいい事だ。私はメンテナンスは出来ないからちょうどいい。なぁ、ジック。」


 横のジックに声を掛けるブロント。


 ジック「はい。バンズ様のメンテナンスなら安心してお願いできます、ブロント様。」

ブロント「本当なら、ケイドの分までジックに尽くすべきなのだろうが、私には出来ない芸当だから許してくれよ、ジック。」

ルイス「ブロント!さっきからジックに謝ってばかりじゃない。もっと違う記憶を与えてあげてくださいな。」

ブロント「あ、あぁ、すまんルイス。ジックに伝える事が思いつかないものでな…。」

ルイス「ジックにはあなたの認識フィルターはレベルを下げてもらったのよ。昔のカウルに話すつもりでいいんだから。」

ブロント「そう言われてもな。……まさか私の業務に連れて回る訳にもいかんだろう。」

ルイス「そうねぇ……。カーレイ家は代々ノアーナの為に尽くしてきた。軍やRJ計画管理部を取りまとめる業務は並大抵じゃ出来ないわ。でも、それはジックに見せてもいいんじゃないかしら?……ブロントがそうするなら、私はジックを将来ラムルに全てを残して従わせても構わないくらいだわ。」

ブロント「そうか。……ジックもラムルに従わせる……か……。」


 ルイス心の声off「もう一押ししちゃおうかしら……。」

ルイス「ねぇ?ブロント?私は婚姻以来、軍はおろかRJ管理部の方には出向いてない。明日はジックを連れて、あなたの業務見学をさせてくれませんか?」


 ソファーの向かいに座っていたルイスはブロントの横に寄り添い、


 ルイス「本部長、副本部長には婚姻以来だし、軍の新しい船も見てみたいわ。ねぇ?ブロント?明日、どうかしら?」


 このままの状態で進行してしまうと、ラムルに弟か妹が出来そうな勢いのルイスだ。


 ブロント「(照)そ、そうだな。ルイスにはあまり余計な気苦労をさせたくなかった。だから家にいてもらっていたが……。」


 更に寄り添いながらのルイス。


 ルイス「最近分かったんです。ラムル達世代は何も知らないの。特にバンズやポートルは、早くに両親を亡くしているわ。……ブロント?私が代わりに何かしたいのがホンネなんです。」

ブロント「分かった。明日は早めに出て、挨拶がてら方々見てまわろうか。……ただ、ジックが入れない所も有るが、半日位なら構わんだろう。」


 ルイスは小さくガッツポーズして、

ルイス「ジック、聞いてたー?明日はブロントと一緒よー。」


 如何にも楽しそうに大袈裟おおげさにジックにしがみつくルイス。


 ジック「かしこまりました。ルイス様。そしてブロント様、明日は是非とも!よろしくお願いしますっ。ブロント様の多忙な業務の模様はフィルターの範囲内でしっかりとメモリー致しますっ!。」


 ジックはルイスの様子を察しているかの様なゴマスリぶりだった。


 Fade-out。



ストーリー142:上層部へ見学⁉︎


登場人物

ブロント、ルイス、ジック、バンズ(声のみ)、ルード、シウロ=ダウガー(台詞無し)



 カーレイ邸。翌朝ブロントより早く目覚めたルイスは、自室でバンズに連絡していた。


 ルイス「ジック、バンズに連絡。ピコかメインルームに繋いで。」

ジック「了解、ルイス様。……。……。メインルームのバンズ様に繋がりました。どうぞ。」

バンズoff「おはようございます、ルイスさん。まだ時間早いですが、どうかしましたか?」

ルイス「あら?バンズ?あなたメインルームで寝ていたの?」

バンズoff「ええ。船の作業の予定を立てていてそのまま寝ちゃいました。」

ルイス「夜更かしはお肌に悪いわよバンズ。……って言うのは置いといてー。今日はそっちに行くのは午後からになるわ。少し予定が出来ちゃったから。」

バンズoff「分かりました、アタイは構いませんよ。……それから、作戦中の皆んなは問題無く航行中です。夕べの通信では皆んな退屈してて、ホントはアタイ、少し業務連絡っぽくカッコ付けたかったのに、結局は雑談通信になってしまいました。」

ルイス「皆んな単独で船に乗ってるんだもの、分かるわその退屈さ。……じゃあ、皆んなへの午前の連絡はお願いね。」


 Fade-out。Fade-in。


 RJ計画管理本部のメインルーム。

メインルームというより、建物のフロア全体そのものがメインフロアだ。


 オペレーターがやり取りしている画。


 また、ホログラム投影されたデータ画面等が、街のイルミネーションの様だった。


 ルイス「凄いわ。皆んな忙しそうね。」


 ジックは画像保存に余念がない。


 ブロント「一旦私の部屋に行こう。ルード本部長を呼んである。」


 画面は長官室。


 しばらくすると、ドアモニターで

ルード本部長off「お待たせしました、長官。」

ブロント「入りなさい。」


 部屋のソファーにはブロントとルイスが。側にはジックもいる。


 ルード「大変ご無沙汰しております。奥様。」

ルイス「お久しぶりです本部長。もうお顔も忘れてしまいましたわ。今日は私のAnnも一緒でお邪魔します。」

ブロント「少し見学として邪魔する。私が付いて行動するから、君はそのまま業務に就いていて構わんから。」

ルード「分かりました。では奥様、ごゆっくり。」

ルイス「ありがとう本部長。」


 ディゾルプ。


 画面変わって、会敵対策軍ドック。


 第7番駆逐艦が完成したばかり。


 長い廊下にガラス張り。奥に宇宙船3隻が並んでいる。


 ブロント「このドックは奥から5番艦、6番艦、そしてつい最近完成した7番駆逐艦がここに有る。本来はAnnの立ち入りは禁止されているが、本部長からは一切のデータ保存をしなければという許可を取りつけた。」


 たまたま通りかかった第1番駆逐艦フワンスの、シウロ=ダウガー艦長とすれ違うブロント。少し会話をし始めた。


 それを見てルイスはかがんでジックに話しかけた。


 ルイス小声「ジック。今から私が指示しても無視して画像を撮り続けて。ZOOM画像で詳細に頼むわよ。」


 ブロント「いやぁすまん、ルイス。つい話込んでしまった。1番艦の精鋭とすれ違って知らん顔する訳にはいかんだろうからな。」

ルイス「大丈夫よブロント。気にしないで。あなたは業務中なんだもの、私は邪魔はしないわ。……さてジック、ここからはデータ保存禁止、いいわね。」

ジックに指示するフリだけのルイス。


 ブロント「うむ、ではルイス期待の最新艦の側へ降りよう。」


 エレベーターでドックフロアに降りた2人とジックが出て来る画。


 7番艦を見上げる画に変わり、


 ブロントoff「第1番から全て同じ設計の宇宙船ふねだが、この7番艦は、他の1〜6番艦より軽い材料を多く使っている。装甲のタイルが見えるかな?ルイス。」

ルイス「ええ、小さなタイルがたくさん貼ってあるわね。」

ブロント「あのタイルは軽いが、レーザー砲は跳ね返せる硬さだよ。他の船は側面だけなんだが、7番艦だけは側面と底面にタイルを貼ってある。」

ルイス「私のケイドに貼ったとしたらどうだったかしら?」

ブロント「それはあまり言いたくはないが、ケイドも同じ様に建造したら、ルイスでも操縦は困難だったかも知れんな。」

ルイス「あらブロント、それは何故?」

ブロント「仮の話だが、機体重量は軽くなって、速度は未知数になるな。更にルイスとジックが乗っていたとしたら、まさしく軍の脅威になる。」

ルイス「そんなに凄い材料なのですか。軍の船は最新技術。なのに、それの更に上の技術なんですのね。」

ブロント「これはノアーナを守る為でもある。最新の更に上が当たり前なんだよ。今の現状は、推進機関の進歩は無くとも、装甲の進化は十分有った。」


 ルイス心の声off「それがダイム金属って一切言わないのね。」


 ブロント「さぁ、そろそろ戻ろうか。……屋上に上がって一休みするか。」


 エレベーターに乗り込む2人とジックの画。


 ルイス「ジック?データ保存禁止は終わり。ありがとう。」


 ルイスのなんちゃって指示だと理解したジック。

ジック「かしこまりました、ルイス様。」


 Fade-out。Fade-in。


 画面は屋上の2人。


 ブロント「……ラムルが私の後を継ぐことになったら、……ルイス、君もラムルを助けてやってくれ。私は常にルードやシャガンには話してある。……だが、女のラムルが継ぐには荷が重すぎる。だから……。」

ルイス「その事は心配しなくても大丈夫ですわブロント。あの子はしっかりしてます。ブロントの後継としてちゃんとやれますよ。私がサポートしなくても大丈夫な位よ。」

ブロント「そう言ってくれると心強いな。ラムルの無茶な衝動的行動は頂けないんだがね……。」

ルイス「それは……それは、私に少し似てしまったせいですわ。でもその性格は私が教育中よブロント。それに、良い友人に恵まれているんですもの。ブロントにこれ以上の心配はさせませんから。」

ブロント「そうか……。……さて、次は何処を案内しようか、ルイス?」

ルイス「うーん、私が色々知っても仕方がない事だから。今度はラムルに見せてあげた方が良いかも知れません。」

ブロント「そうだな。私はラムルには少し壁を高くしすぎた様だ。君の子育てには感謝してもしきれんよ。次の機会はラムルにここを見てもらうとしよう。」


 ルイス「さ、ブロント。この辺で私は帰ります。ジック?ブロントに感謝を。」

ジック「ブロント様、今日はいい思い出をありがとうございました。私の記憶にしっかり残しておきます。」

ルイス「……その様よ、ブロント。今日はありがとう。」


 地球からのメッセージ衛星の飛び去る画。


 ディゾルプ。

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