ステルスの惑星(ほし)ー未来へ

ストーリー９８～１００

ストーリー98:ラボラトリー・レンブラント

登場人物

キャスター、グラン、秘書官、タロン

　大統領令発令から半年後の地球。

　連邦国各地に有る空中モニターTVの画。

　ニュースキャスターの映像がワイプで隅に移ると、そのバックに小さな建物が何棟か見える。

　入口ゲートに掲げられる看板。

　ラボラトリー・レンブラント、その下には国家最高機密機関と書かれている。

　キャスター「ご覧の皆さんこんにちは。ニュースFCの時間です。最初のニュースは、半年前に発令された大統領令の話題です。施設の正式名称が決定し、まもなく一部の施設内の研究、開発等が始まります。発表された名称は、”ラボラトリー・レンブラント”に決定したとの事です。……関係者筋の情報によると、活動中の連邦軍が配備しているヒューマノイド=アーマーの装甲や新型兵器等に導入する素材の開発製造、新素材の研究が主な内容となる事が噂されています。…では次のニュースです。……」

　画面は変わって、ここは連邦軍総督室。

　デスクにはグランが居る。レンブラントでの活動がそろそろ開始出来るとの報告を受け、タロンを呼び出していた。

　グランのデスクの上には金属製の箱が置いてある。

　インターホンから秘書官の声。

秘書官off「総督、レンブラントのダグラス所長がお見えになりました。」

グラン「通してくれ。」

秘書官off「かしこまりました。」

　ドアから入るタロンの画。

　グランoff「タロン、ソファーへ座ってくれ。」

　テーブルに箱の画。そのままで台詞。

グランoff「レンブラントがようやく形になってきたな、タロン。」

タロンoff「ああ、このところ開発局と行ったり来たりで毎日ヘトヘトだよ。」

グランoff「お前にまずやってもらいたい事を説明しておこうと思って今日は来てもらった。」

　グランがIDカードで箱のロックを外し、開ける画。

　金属片が5個入っている。これは以前にバンズから手渡された物で、今日まで総督室の金庫に保管してあった。

　グランは金属片の１つを手に取り、

グラン「侵略者との戦闘の時の戦利品なんだが、これの調査からまず頼みたい。現状放射線は出ていない金属だ。」

　タロンに手渡しながら言った。

　タロン「手始めにはこれの、何をどうする？グラン。」

　タロンはしばらく見てから箱に戻す画。

　グラン「通常の金属の分析と同じく始めてくれればいいよ。」

　再び箱をロックするグラン。

　グラン「ところで精鋭の部下は決まったのか？」

タロン「前に一緒に飲んだキースってヤツ覚えてるか？アイツは参加させることにした。他にも6名は決めてある。」

グラン「タロンを含む10名ではどうだろう？」

タロン「何とも言えないが、スタートはそれで動くよ。」

　グランは箱を持ち、立ち上がると、デスクに箱を置き、サイドチェストの上に置いていたラボの設計図を手に戻った。

　タロンは広げられた設計図を見て驚いた。

　タロン「何だこれは⁉︎地下まで有るのか⁉︎」

　グランは広げられた設計図を指差しながら説明を始めた。

　画面は設計図、グランが指差す画。

　グラン「今、地上に有る建物は、いわば反逆軍へのカモフラージュだよ。レンブラントのメインは全て地下3階の施設になってる。最下階フロア全てがラボ設備を整えている。地下2階は資料書籍や素材庫、薬品庫に原材料庫、器具等の備品庫。地下1階はメンバーの居住フロアだ。最下階の床は地下30メートル。エレベーターフロアはこことここ。貨物用エレベーターも1機。非常時の為に、居住フロアに武器庫を置く。……3大陸のどこにでもコンタクト出来る通信設備。」

　画面がソファーの2人になる。

　タロン「驚きだな。ここまでの施設になるとは想像も付かなかった。俺はてっきり、今デスクや備品を運び入れてる建物かとばかり思ってたよ……。」

グラン「もちろん地上部分の建物にも人は置く。セキュリティメインでね。それからまだ有るぞ。……地下の各階からは避難用通路、地上にはバリケードはもちろん、カメラやセンサーも付く。ヘリポートまで用意する予定。」

タロン「完全防備だな……。こっちは武器は苦手なんだが……。」

グラン「しかも、地下の施設と通路で結び、HMのドックを設ける。HMは3機格納可能なスペースになっている。……タロン。レンブラントは軍と絡んでの機密機関になる。しっかりリードを頼む。」

タロン「今の開発局は狭いが、レンブラントは逆に広すぎる位だな。さっきの金属をここで分析するのはもったいない位だよ。」

グラン「決められた目的を持って仕事に取り掛かってもらう。ストレスになる施設では困るからね。最初から俺が提案した。……まぁ最初の仕事がスタートしたら俺も度々訪問するよ。先に地下から使えるように建築を進めてる。……まもなく入れるよ。セキュリティシステムで俺とメンバーだけしか出入り出来ない様にする。」

　デスク上の箱の画で、

タロン「入るのが楽しみだ、グラン。」

　fade-out。

ストーリー99:最大級の業務

登場人物

ブロント、オペレーター数人

　惑星ノアーナRJ管理部シューロン=ガル本部。

ブロントが指揮を取る機関だが、今日はこの本部建物内のRJ計画管制室で過去1年間のデータ集計を行なっていた。

　管制室中央メイン制御テーブルにブロントのシートがある。

　あらゆるデータ報告に目を通さなければならない数日間だ。

　もうすでに会敵対策軍関連の幾つかのデータがブロントのモニターに表示され、検閲作業を済ませている。

　オペレーターAのoff「長官、次はRJ計画関連の集計データになりますが、映してよろしいですか？」

ブロント「じゃあ次、出してくれ。」

　モニターには関連データが入ってくる。各項目毎に膨大な量だ。

　延々と数日かけて毎年行なっている。

　しばらくの時間が過ぎたところでブロントがオペに訪ねた。

　ブロント「ここの項目、G15の接近と通過データだが……。つい最近からゼロだな。……これに間違いはないのか？」

オペレーターBのoff「その項目について間違いありません。……他に疑問点はございますか？」

ブロント「いや、結構。……もうしばらく待ってくれ。」

　目を通している様子のブロントの画。

　ブロントoff「またいつ現れるかも知れん、要警戒、監視継続……としておく。」

　ブロント「さて次を出してくれ。」

オペレーターAのoff「はい。次の集計データ出ます。ノアーナ星の大気分析、土壌分析等の環境分析結果になります。」

ブロントoff「都市部も郊外も数値に差は無い。海上の雲の様子も穏やかでいい結果だな。」

　シートのブロントの後ろからの画に。……しばらく時間が過ぎ、

　ブロントoff「次を頼む。」

オペレータAのoff「次のこちらからは人工の増減の推移、年齢別人口、個人所有移動機の増減……。云々」

　あちこちで声が錯綜している様子。(音声で)

　また、モニターの移り変わりで辺りの明るさも、まるで点滅でもしてるかの様に見えている。これを数日間、毎年行なっている。

　ブロント長官としての最大級の業務になる。

　画面は変わって、手前の水星ナメ、奥にG15の暗く映る姿が。

(右に太陽の方が画的には良い？)

　ディゾルプ。

ストーリー100:カウルの分析

登場人物

ガルシア、ラムル、ジャン、ルイス、カウル、バンズ(声のみ)

　ガルシア邸リビングのテーブルで休んでいるガルシア。

　ガルシア独り言off「あの子達、地球から資料か何か持ち帰ってるかしら？後でバンズのところに連絡してみよう。以前から星に関して色々調べてきたけど、皆文献ばかりだったから地球に興味はあるなぁ……。是非ともノアーナとの違いが知りたいわ。」

　カップを手に、想像を巡らすのであった。

　書棚に歩いて行くガルシア、画面奥へ。

　入口ドア近くには、まだザクラート関連の本が積んであった。

　それに気が付くガルシア。

　ガルシアoff「ダイム金属とザクラートの件も有ったわねぇ。組成割合は結果を聞かなきゃ。それに、精製方法や手順も調べる必要あるわね。……好奇心旺盛はラムルだけじゃないんだから……。」

　ガルシアは精製に関する書籍を探しに書庫に入って行った。

　Fade-out。

　Fade-inから、学術部内駐機場。

　ラムルのフローターのコクピットの画。

　ジャンからの着信履歴が出ている。

　ラムル独り言off「あら？ジャンから……。何かしら。……(パネルを操作する仕草)……ジャン？聞こえる？どうしたの？」

ジャンoff「ラムル様、少し前にガルシア様から着信が有りました。ラムル様は学術部で講義だと伝えたところ、また連絡するとの事でした。」　

ラムル「分かった。今講義が終わってフローターに戻ったところなの。今からガルシアさんに連絡する。ありがとね、ジャン。」

　ジャンと通信を終え、フローターが飛び立つ画そのままで、

ラムルoff「こんにちはガルシアさん、ラムルです。講義が有ったので……。」

　しばらくしてガルシアの応答。

　ガルシアoff「こんにちはラムル。その後ダイムの新しい話は有る？」

　画はカーレイ邸屋上に着陸のフローターに変わる。

　ラムルoff「あ、忘れてる……。実はカウルが私のAnnになったから、それで忘れちゃってました。あの小さな板、まだジャンに預けたままなの。」

ガルシアoff「カウルもカーラントの事もルイスに聞いたわ。良かったわねラムル。」

ラムルoff「はい。父が許してくれて。……あ、今度またそちらに行きます。父が、たまには母とカーラントで行ったらどうだって言ってくれたの。」

ガルシアoff「ええ、いつでも来てね。待ってるから。その時にはその後の調べの話を聞かせてね。じゃあ連絡待ってるわ。」

　ディゾルプ。

　リビングのソファーに座るラムル。

　ラムル独り言off「カウルの事ですっかり忘れてた。あの板、カウルは何か分かるかしら。」

　お茶を持ってルイスが隣に座る画。

　ルイス「おかえりラムル。さ、……。」ラムルにカップを寄せる。

　ラムル「父上はまだ戻らない？」

ルイス「そうね。データの統計が出て、管理部内は大忙し。少し遅いと思うわ。」

ラムル「じゃあ、ここで。……ジャン、カウル。ここへ来て。」

　ラムルの部屋からジャンとカウルがソファーの横にやって来た。

　ラムル「ジャン。預けてある板をカウルに渡して。カウルは分析お願い。」

　ジャンのトレーからカウルのトレーに渡る画UP。

　しばらくカウルは分析中。

　カウル「ラムル様。結果が出ました。これはダイム金属です。」

　ラムル、ルイスと顔を見合わせた。

　ラムル、カウルに向き直りながら、

ルイス「カウルはダイム金属を知ってるのね？」

カウル「この金属の板に、極微量のザクラートを検出した為、ダイム金属と判断しました。」

ラムル「ダイム金属やザクラートに関してのデータはある？」

カウル「素材になる金属とザクラートを合成する事でダイム金属に変化します。超軽量の超硬金属。加工する為には、加工するダイム金属のザクラート含有量を上回る加工工具が必要です。」

ラムル「そこまでは私達も分かってきたの。他のデータは？」

カウル「有りません。尚、この板はザクラート含有率0.001%、通常の含有率です。それ以外はデータ照合出来ません。」

ルイス「ダイムの事はカウルでも詳しく分からないのね……。」

ラムル「含有率0.001%で通常配合ね。これが分かっただけでも少し進歩だわ。あとは精製方法が分かれば。……カウル、今度はその板はあなたに預けておくから、お願いね。」

カウル「かしこまりました、ラムル様。」

　ジャンにバンズから着信が入った。

　ジャン「ラムル様、バンズ様から着信です。」

ラムル「繋いでジャン。」

バンズoff「ラムル？今どこ？」

ラムル「母上とリビングよ。どうしたの？」

バンズoff「確認したい事があるんだ。ポートルも居るよ。カウルを連れて来てくれない？」

ラムル「カウルを？いいけど…カウルに何か確認？」

バンズoff「まあそんなとこ。じゃ、待ってるよー。」

　ラムルはルイスに向き直ると、

　ラムル「母上、バンズのところに行ってくるわ。」

ルイス「食事は？その頃には戻ってくるの？」

ラムル「ジャンをリビングで待機させとくわ。連絡するから。」

ルイス「はいはい、いってらっしゃい。」

　ディゾルプ。