ストーリー90,91
ストーリー90:私達のRJ
登場人物
ルイス、ガルシア、ラムル、バンズ、ポートル
画面fade-inから。
フォトフレームのシャルルとグランの写真の画。
ラムル「グランが父上に渡してくれって、頂いてきた物です。一旦は返そうとしたの。でも彼は、”君の父いや俺の祖父に渡してくれ“、と言っていたわ。母上はどう思う?」
ルイス「私はブロントからスカーレットさんの事を初めて話された時、何の嫉妬心も抱かなかった。RJを実行してきたからこそのブロントの経験。私に割り入る余地はないもの。……さて、これを見てブロントは何を感じるかしらね。」
ポートル「グランは涙ながらに話してくれてました。だからラムルにこれを持たせてくれたんだと思います。きっと長官もラムルの行動を理解してくれると思います。」
バンズ「ラムルがここまでしなかったら、長官はまだ遠目にしか水の
ラムル「私達的のRJも済ませたの。」
ルイス「あなた達、的?」
ラムル「私達のノアーナ星の場所、そして同じ銀河の中の水の
ポートル「ラムル、それ大事かも。ノアーナみたいにB4571なんて呼ばない。ちゃんと名前があるんだもの。」
ラムル「そうね。……それから、バンズが持ってた金属の欠片を幾つか渡したわ。」
バンズ「あぁ、あの金属クズは、確か……ジャンをカスタマイズして出たゴミ。ノアーナでは普通に使ってる金属だけど、地球じゃ作るの大変かもねぇ。でもアイツ、時間掛けても必ず作り出すって言ってたっけな。」
ラムル「それで……帰る時、私達と通信したいって言ってきたんだけど……。」
バンズ「それは無理だと断っておいた。アタイ達では大き過ぎる課題だから。」
ルイス「色々話は出来たのね。いいRJになったようね。」
ラムル「RJのつもりはなかったんだけど、私達的のってことに3人で決定したわ。地球って名はここだけの話にしてください。」
ガルシア「おてんば娘達のRJ計画とその実行。ルイスは死にそうな顔してここにやって来たわ。もしかしたらあなた達、戻ってこられなかったかもしれないのに……。でも良かった。……それにしてもルイス、ブロントには色々有ったんだね。いやカーレイ家が……なのかしら。……ねぇルイス?ラムルと一緒にブロントに話したらどお?ブロントの様子を伺いながら、ラムルに口添えしてはどうかしら?」
ルイス「そうね。そうするわ。」
ガルシア「さぁて皆さん、日も暮れてきたし、そろそろバーベキュー始めましょ!」
ルイスを交えてのバーベキュー。また違った話題で盛り上がったようであった。
ディゾルプ。
ストーリー91:ブロントへの報告
登場人物
ラムル、バンズ、ポートル、ルイス
ガルシア邸から戻るマーデクトの画。ルイスとラムルはフローターで帰宅の途。
ポートル「ガルシアさんが星の研究をしてるなんてねー。だから地球の話にも動じなかったのかしら。」
バンズ「それなりに知識が有るからだろ。それを表に出さないなんて素敵な人だよ。」
ポートル「ラムル、帰ったら私達の分まで長官に叱られるんだろなぁ……。」
バンズ「ルイスさんがあんなにラムル想いなんだ。大丈夫。」
ポートル「ラムルの鉄槌も怖いけど、長官の鉄槌……。」
バンズ「アタイ達の行動、長官のRJと対して変わらん!何か有ったら管理部に乗り込んでやるっ。」
ポートル「過激だよバンズ(汗)。」
一方でフローターで帰宅途中のラムルとルイス、そしてジャン。
ラムル「母上。映像はそのまま父上に見てもらっても大丈夫かなぁ……。あの映像と、一連の話、グランからのフォトフレーム……。父上の重荷は無くなるかしら……。」
ルイス「特殊能力が確認出来て、悪い方へ使われていないのが分かればブロントはそれで十分満足だと思うわよ。あなた達の無茶をどれだけ叱るかは分からない。その時は私も口添えするから心配しないでラムル。」
ディゾルプでディゾルプで画面転換。
カーレイ邸、リビングに入ってくるラムルとルイス。
ソファーに座りながら、
ラムル「母上。まだ父上は戻ってないけど……、私……。」
フォトフレームを入れたバッグを抱えて小さく震えている。
ルイス「安心なさい。あなたは何も悪い事をした訳ではないわ。隠さず話す事、それだけでブロントは理解してくれる。……さ、お茶でも飲みましょうか。」
しばらくするとブロントが戻り、リビングに入ってきた。
気付くとルイスが、
ルイス「ブロント?戻ったの?」
キッチンから出て来たルイス。ソファーのラムルに気付くブロント。トレーを置いて、並んで座るルイス。
ルイス「おかえりなさい。ブロントもいかが?」
ブロント「ああ、もらおう。」
ラムル「父上、おかえりなさい。」
ルイス「さ、ラムル。」
カップを手渡したルイスはラムルに目配せした。話し始めようの合図。
ラムル「父上、お疲れのところなのですが、お話が。」
ブロント「古い歴史を調べているそうだね、ラムル。その事なら、私の知っている人物を探しているよ。」
ラムル「そうではないの父上。」
水の
ラムル「父上、これを見てください。……ジャン、編集データの映像を見せて。」
ジャン「かしこまりました、ラムル様。」
ブロントはジャンの知らない一面を見て一瞬驚き。
壁に映像が映る。一連の映像が終わると、
ブロント「上陸したのか?」
ラムル「1度目は友人2人で、2度目は私も一緒に。」
ブロント「に、2度も行ったのか⁉︎」
ラムル「はい。映像は1度目のものです。何の異常も無く戻りました。……ですが、その時水の
ブロントは頭を抱えた。ラムルは続けて、
ラムル「その時、名前を聞いたそうです。今回私が行ってきた理由がそれです。……その人はグラン=ジョリーと言います。」
ブロントは真顔になりラムルを見た。
ラムル「気が付いたでしょうか父上。ファミリーネーム、ジョリー。……それを確認する為に向かいました。」
ブロント「本当なのかラムル。」
ラムル「父上が1番気になっている事、確かめに。色々話を聞かせてくれたの。でも、グランにとっては辛い出来事。涙ながらに話してくれました。私も父上がスカーレットさんと会っていた事を話したわ。」
ブロントは動揺していたのか、ついジャンに向かって、
ブロント「着陸地点のデータを!」
少し間があり、
ブロント「あぁ、すまん。つい……。ラムル、ルイス。話の途中だが地下へ降りよう。」
3人とジャンは地下の元管制室に向かった。
先を降りていくブロントに向かって、
ラムル「父上、ジャンは階段は苦手なの。待ってください。」
ブロントは階段を戻ってきてジャンを抱えて降りてきた
ブロント「気が利かんですまんな、ジャン。」
ラムルとルイスは顔を見合わせた。
ジャンを抱えたまま、
ブロント「おい、ルイス。君が開けてくれねば入れん。」
ルイス「はい、ただいま。」
重い扉が開いて入ってくる3人の画。
ブロントはジャンを降ろした。
ラムル「ありがとう父上。」ジャンをつつくラムル。
ジャン「ありがとうございます、ブロント様。」
ブロント「照明ON。……カウル。カウル起きろ。私だ。」
目覚めるカウル、ブロントに寄る。
ブロント「カウル、急ですまん。水の
カウルが投影したデータをジャンが解析中。
ルイスはラムルをそっと抱いている。
ジャン「ラムル様、解析終了しました。着陸地点が一致。」
ブロント「間違いない。降り立った位置まで同じとは……。」
ラムル「それは偶然なの。でももしかしたらスカーレットさんが引き合わせてくれたのかも知れないわ。」
ブロントはシートにもたれかかった。
ブロント「平和そうな人々、沢山の木々。あの時もそうだったよ。何故ラムルはこれを?」
ラムル「父上が長い間危惧されてた。カーラントの事を許してもらって、それからカウルを託してもらうには……。父上の心配を消してあげなきゃならない。そう思ったから。」
ブロント「2人共、立ってないで座ったらどうだ。……で、ルイスは知っていたのか?」
ルイス「ええ、つい最近聞いていますわ。」
ラムル「父上、それから……。」
バッグに手を付けるもためらうラムル。
ルイス「ラムル、それを。」ルイスが促してくれた。
ラムルはバッグからフォトフレームを取り出す。
ラムル「向こうではスカーレットさんの写真も見せてもらった。これは父上に。グランはこれを手渡す時言ったわ。”君の父いや俺の祖父に渡してくれ“……と。」
ブロントがフォトフレームを受け取る。
ルイス「スカーレットさんの娘さん、シャルルさんですって。横の子供がグランさんだそうよ。」
写真の2人は別荘の前で写したものだった。
ブロント「……あの時の白い建物そのまま……。」
ルイス「グランさんの母親、シャルルさんはもう亡くなっているって……。あなたが危惧する特殊能力者よ。その事をシャルルさんは死ぬ間際まで隠していたそうなの。ある時、空襲の火の中でグランさんを……特殊能力だったシールドでグランさんを守り抜いて亡くなったそうよ……。」
ブロント「そうだったのか……。それは心労絶えなかったろう……。シャルルか……。シャルル=ジョリー。……グラン、その人物はやはり特殊能力者だったろう。」
ラムル「ええ。彼は怪我で右目が義眼なの。その目では暗視が出来て、スーツのステルスが無効化されたわ。友人2人はそれで助けられた。それからもう一つ。動体視力が優れているのかも知れないとも話していたと。本人はまだ自覚が出来ていない様だったけど、それが特殊能力なんだろうとも話してたわ。」
ブロント「そうだったか。それでグランはその力を平和的に使おうとしていたか?」
ラムル「ええ、多分。侵略者の攻撃に役立っていた様よ。」
ブロント「侵略者⁉︎狙われているのか⁉︎」
ラムル「度々有るらしいの。でも、星の人達は守れてるみたい。人型メカを操縦するから。それに、反逆軍って物騒な集団もあるみたい。それで別荘が狙われた。私が行った時には更地になっていた。着陸場所近くにシェルターを作っていたわ。」
ブロント「人々を守る立場になっていたのだな?人型メカ……。」
ラムル「ええ。能力も手伝ってね。今は軍の総督だそうよ。」
ブロント「そうか。……」安心したのか目をつむるブロント。
少しの間の後、
ブロント「ペンダントは?紋章のペンダントは見せられなかったか?」
ラムル「ううん。それは見なかった。」
ブロント「私がスカーレットに託した物。彼女は別れ際、彼女の意思と一緒に代々受け継がせると言っていた…。」
ラムルはグランがフォトフレームを見ながらしきりに胸に手を当てていた事を思い出した。(リピ画を入れても可)
ラムル「グランは、話してる間中、胸に手を当てていたわ。きっとペンダントはちゃんとグランは身につけていると思う。」
ブロントはしばらく無言だった。
ブロント「回路基盤は見たか?」
ラムル「いいえ。……」
ブロント「いや、グランとやらが持っているなら未来の希望も有るだろう……。」
ブロント「しかしラムル、その無茶ぶりは一体誰に似たんだ?頼むから私の心配事を増やさないでおくれ。」
言うと立ち上がり、
ブロント「カウル、よく聞きなさい。本日を持って、私はお前の
カウル「ブロント様、データの更新をして構いませんね?」
ブロント「構わん。ただ……ただ、私のデータは残してくれよ。」
カウル「かしこまりました、ブロント様。……但し、データ更新後のブロント様の指示には応答出来ない場合が有ります。……データ更新開始……。」
ラムルとルイスも立ち上がり、ブロントに寄り添う。
ラムル「父上……。ありがとう。」
ブロント「お前がそこまでカウルを従えたいとは知らなかったぞ。ルイスに任せてあったものを……。それにジャンはあんなに賢いのか。それも隠していたな?」
ルイス「あら、ブロント。ラムルはあなたの事を考えてここまでしたのよ。ジャンの事を今更気付くなんて、もっとラムルを見てあげてくださらなきゃ。ラムルの話が済んだら、私はその後でカウルを託すつもりだったのよ。」
晴れてカウルはブロントからラムルへと
ラムル「あ、父上。あと……。」
ブロント「ま、まだ隠している事があるのか⁉︎」
ラムル「いいえ、水の
ブロント「そうか、地球。……スカーレットも言っていたような……今まで忘れていたとは……。向こうの人は星に名前を付ける様だな……。今日はいい土産を貰った、ありがとうラムル。」
ディゾルプ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます