ストーリー60~63

ストーリー60:調べ物まとまる


登場人物

ガルシア、ラムル、バンズ、ポートル



 今日も朝から調べ物に余念がない4人だった。


 昨日までに、ザクラートについて分かってきた事で張り切って始めていた。しかし今日は……もう昼も過ぎ、4人共見つかる手がかりはなかった。


 ラムル「なかなか手がかりになるものって無いものね……。」

バンズ「昨日で限界……。」

ポートル「まだ頭の中でまとまってない……。」

ガルシア「必要な情報って見つからないものね…。もうこの辺にして、今後の課題にしておく?皆んな?」


「はぁい…。」3人は声を揃えて弱い返事。


 ガルシア「この情報はここの4人だけのものとして、今後また集まりましょう。さ、そろそろ日も落ちてきたしバーベキューで締めるとしましょうね。皆んな本を片付けて準備しましょ。明日は3人のタイミングでシューロンへ帰ればいいわ。」


 テーブルに積まれた本をそれぞれが抱えて片付けている画。

ディゾルプ。


 画面は既にバーベキューが始まっている。


 ガルシア「ねえバンズ?今度私の宇宙船ふねを飛ばすときはメンテナンスしに来てね。」

バンズ「もちろん喜んで!」

ガルシア「夕べ皆んなのフローターと船のIDを聞けたし、何か有ったら、その時は私への連絡も待ってるわ。」

ラムル「私は母へお土産話が出来たし良かったわ。この間以上に感激すると思うわ、ガルシアさん。」

ガルシア「ジックの事?そうね、ケーブルまみれのジックの画像は見るに絶えないかも知れないから、話だけルイスに伝えてね。あら?ポートル?今晩はフライは側に居なくていいの?」

ポートル「今晩は皆んなのAnnはリビングで資料まとめしてるわ。それぞれで何か提案をくれるかも知れないもの。」

バンズ「近いうちにフライのメモリーを増やしておくよ、ポートル。アタイのピクみたいなAnnを作ってみたら?」

ポートル「そうね。それも考えとくー。」

ガルシア「ピクって子もいたの?バンズ。」

ラムル「ええ、お留守番。ピクは給仕接待してくれるの。飲み物の好みを知っててくれて、気が利くのよ。」

ガルシア「あら、いい子なんじゃない。今度私もピクに会いに行こうかしら。」

バンズ「ええ。アタイのドックで良ければ今度来てください。」


 その後も話は盛り上がって解散した。


 翌朝、駐機中だったラムルのフローター前。


 貨物室にピコとフライを乗せたバンズが、

バンズ「出来たよー。」

ラムル「ガルシアさん、長くなっちゃってごめんなさい。また来る事を楽しみにしてます。」

ポートル「色々ありがとうございました。連絡是非待ってます。」

ガルシア「皆んな元気で。ラムル、ルイスによろしくね。」


 フローターが上昇し飛び去る画でfade-out。



ストーリー61:3人3様の思いとフライの過去


登場人物

ラムル、バンズ、ポートル、ジャン、ピク、ピコ、フライ



 数日ぶりにバンズのドックに到着した。


 フローターからメインルームに向かう一行の画。


 画面は変わり、シートに座る3人に飲み物を用意したピク、


 ピク「皆さん、飲み物でも飲みながらリラックスしてください。」


 言うとピクは脚を伸ばしテーブルになり待機モード。


 3人の側にはそれぞれAnnが待機モードでいる。


 バンズ「思うところまで情報は集まらなかったけど、アタイは情報収集は続けとくからさ。」

ラムル「近い書物がどんなカテゴリーかが分かったから、また図書館に行くのも考えとくわ。」

ポートル「私、今回よく分かったんだー。もっとフライと過ごさなきゃって……。」


 ラムルとバンズはポートルを見てうなづいている。


 ポートル続けて、「フライはさ、実は父から受けたAnnなの…。父が他界する少し前にあるじを変えてもらった。父の形見になっちゃったフライだから、いつも部屋で相手してた。父が側に居てくれてる気がしてね。……でも、今回分かったの。もっと一緒に行動しなきゃって。ラムルやバンズみたいに、側に連れていなきゃって。ガルシアさんもそうだった、ラムルのお母さんもそうだった。私もそうしたいって感じたわ。」


 ジャンやピコ、テーブルのピク、ガルシア邸で見たミクラットのAnnのそれぞれをワイプin-outさせながらのポートルの台詞。


 ポートルは更に続けて、

ポートル「しばらくマーデクトやフローターでフライと一緒にノアーナのあちこち出掛けてくる!」

バンズ「うんうん、それがいい。……そうだ、出掛ける前までにフライのメモリーを拡張しておくよ。」

ポートル「バンズ、ありがとう。」


 ラムルはフライを見て、

ラムル「ねぇフライ?ポートルを頼むわね。頼りないけど。」

ポートル「ラムル!頼りないは余計よ!」


 すっかり元の女子会風に戻ったメインルームであった。


 ラムルは落ち着いた表情で、

ラムル「……水の惑星ほしのデータ。あのままの画像で父に見せるのってどう思う?もちろん、サーモの画像なんかは抜きだけど。」

バンズ「うーん……平和そうには見える。荒れた土地だったわけでもなし。……さすがにグラン=ジョリーって人の事は話せないし。」

ポートル「助けてくれた、ある意味恩人みたいになっちゃってるけど、それは私達だけの秘密にしていた方が良さそうよ。」

ラムル「じゃあ、行き帰りの画像だけ。着陸したのは少し調べたのみ。……って事にするわ。まさかそのグラン=ジョリーって人の絡みまでは話せないもんね。」


 カップを手に話している3人。


 ラムル心の声off「……グラン=ジョリー、軍の人じゃ父上が聞いたら大変な事になりそう……。グラン=ジョリー……。……グラン。」


 ラムル声に出ているかいないかの独り言、

ラムル「……グラン=ジョリー……。どこかで聞いた名前……。」


 画面ディゾルプ。



ストーリー62:湧き上がる疑問


登場人物

ラムル、バンズ、ポートル、ジャン、ピク、ピコ、フライ



 画面ディゾルプからストーリー16の回想。


 画にブロントのoffで。

ブロントoff「私はステルスを掛けた状態で暫く水の惑星ほしに滞在した。……ところが、ある日、私のミスで、自分にステルスを掛けずに船を出て行動していた。そこで私を発見した者がいたのだ。名はスカーレット=ジョリー、女性科学者だった。」


 更にリピートのブロントoff「……そこで私を発見した者がいたのだ。名はスカーレット=ジョリー、女性科学者だった。」


 更にリピート、ブロントoff「名はスカーレット=ジョリー……スカーレット=ジョリー…。」ハッとしたラムルの表情。


 ポートル「どしたの?ラムル?」

バンズ「名案が見つかったとか?」

ラムル「ううん、違う。……父が実行した2度目のRJの話を思い出してたの。」

ポートル「それは聞いたわよ。ちゃんと作戦会議したのに、カーラントが飛べなくなっちゃったじゃない。」

ラムル「それとは違うの。カーレイ家の汚点をさらす事になるのは嫌なんだけど……2人に話せなかった事があるのよ……。」

バンズ「それは確かに言ってたね。また今度って。……ったくラムルはどこまでよそよそしいんだよ。アタイ達があれこれ口外する訳じゃないじゃん。さ、続き続き。」

 促すバンズにうなづいて応じた。


 ラムル「上陸した時の事。父はその時だけステルスを掛け忘れたまま歩き回ったらしいの。」


 バンズ、ポートルはビックリして顔を見合わせた。


 ラムル「その時水の惑星人に出くわしたの。その詳細はいいとして、その人、女性科学者だったらしい。名前は……。……名前は……。」


 少しためらうラムル。


 バンズ、ポートル「名前は?」


 ラムル「スカーレット……ジョリー。」


 バンズ、ポートル同じく声を揃えて「スカーレット……ジョリー⁉︎」


 一瞬沈黙のその場。


 バンズ「ジョリーさん、じゃん。偶然かもだけど。」

ポートル「言語解析から、私達ノアーナ人と同じく、姓名を持っているようなの。私達に名乗ったその人は、グラン=ジョリー。」

ラムル「ノアーナ人と同じ姓名があるのね。それじゃあジョリーって……。ファミリーネーム?……。他にそのグランって人と何か話してこなかったの?家族の事とか?」

バンズ「そこまで話すわけないじゃん。誰かに紹介された友達じゃあるまいし……。」

ラムル「そうよね……。でも……偶然同じ姓だとしても気になるなぁ。」


 また3人に少し沈黙が……。


 ラムル「やっぱり父にはもう少し後に報告するわ。水の惑星ほしの着陸データは残したんだっけ?」

ポートル「うん。マーデクトにもAnn達にもメモリーしてる。」

ラムル「そっか。じゃあ、ジャン。フライとピコに同期、水の惑星ほしのデータをもらってくれる?。」


 3体のAnn、シートの3人から少し離れて同期中の画。


 ラムル「水の惑星ほしの時間経過はどう?ノアーナとの違いは?」

バンズ「気にはしなかったけど、水の惑星ほしはノアーナ星のよりも3倍位早く時間経過するよ。」

ラムル「父はそのスカーレットという人はもう他界してるだろうと話してた。グランって人が同じ血筋の人物だとしたら?」

バンズ「多分2、3代後の人って感じ?」

ポートル「ねーラムル。もしかして、まさかまた行っちゃう?」

ラムル「そのグランって人はステルスを無効にして目視出来るって言ったわね。」

ポートル「うん彼の義眼を通してね。でもスーツのステルスだけだと思う。マーデクトは見えなかったようよ。気が付かなかったって言ってた。」

ラムル「向こうに行っても、船から出たら、その人に見つからないようにしなきゃ。……あちこち行動出来ないかぁ……。」

バンズ「でもアイツは悪そうな人ではなかった。信じて対面するか、だね。今のスーツではこれ以上のステルス強化が出来ないし。」

ポートル「着陸座標を上空からマーデクトで監視するとか……。いずれにしても面倒ね。」


 画面fade-out。



ストーリー63:次なる作戦会議


登場人物

ラムル、ジャン、ルイス



 Fade-inから、ジャンの側に寄るラムルの画。


 ラムル「ジャン、母上に繋いで。リビングでも母の部屋でもいいわ、お願い。」

ジャン「了解、ラムル様。」


 通信呼び出し中らしき画。


 ポートル小声「様……。フライはそれでいいかなぁ……(ブツブツ)。」

バンズ小声「でしょ?だからアタイはバンってメモリーを改変させたんだよ。アタイはそれのが向いてると思ってね。」


 更に呼び出し中のジャンの画。


 ポートル小声「私、ポートル様でもいいわ。こっちの接し方だもの。愛着が有れば分かってくれるでしょ?」

バンズ小声「それはポートル次第。お好きに。」


 ようやくルイスからの受信音がジャンを通して聞こえる。


 ルイスoff「あらぁ、ジャン。もう戻って来たの?」

ジャン「先程、バンズ様のドックに戻りました。」

ラムル「母上、ラムルです。さっき戻ったの。それで、調べ物のまとめをバンズとポートルに手伝ってもらってるんだけど、もう少しここに居るから心配しないで母上。あ、父上にもそう伝えてください。」

ルイスoff「分かったわ。後でガルシアにお礼の連絡するから、詳しく聞いておくわね。」

ラムル「ええ、母上には私からのお土産話もあるわ、帰ったらゆっくり話すから。」


 ルイスの返事で通信が切れる。


 ラムル「皆んな、ダイム金属やザクラートの話は一旦保留にして、次の作戦会議にしましょ。」

ポートル「そ、そんなにケロッと言われても……。」

バンズ「相変わらずウチらの姫様は思い立ったら即実行派だからねぇ……。アタイは早速フライのメモリーを拡張するからー。」


 バンズはフライを連れて奥の工房に歩いて行く。


 ラムル「ねぇポートル。着陸までを詳しく話して。」


 ポートルは、水の惑星の大気圏突入から着陸までをラムルに話し始めた。ジャンにデータ移行してあるので、所々で話に合わせてジャンにデータ投影してもらいながら進めていた。


 ラムル「行っても外に出て行動するのは危険かなぁ……。」

ポートル「あの時は反逆軍とかって物騒な連中の件が有って危険だったかも……。でも周りはすごく緑が多くて穏やかな所だったわよ。昔のノアーナにはいたらしい変な生き物もいたし、荒れた星のイメージでは無かったわ。」

ラムル「あの人型のメカは凄かったけど、その辺どお?」

ポートル「それは分からないわ。行った時には何も無かった。で、グランって人は6人相手にあっという間に物騒なヤツらを片付けたって感じで。その腕前は確かなもののように感じた。彼は武器を持ってたけど、私達には向けなかった。突き飛ばされたけど、それは流れ弾に当たってしまわないようにしたんだと理解出来るし……。」

ラムル「色々詳しく聞けそうな感じの人ね。」

ポートル「ええ、そう思うわ。バンズも信じられるだろうって。でも、彼が同じ場所にいつ現れるかも分からない。別荘と言ってた建物はあるでしょうけど、当の本人に会える確証は無いと思う。」


 2人天井を見上げる画。


 ラムル「バンズが戻ったら、じっくり作戦練りましょポートル。」

ポートル「マジ行くならもちろん!マーデクトで出掛けたけど問題無かったし、も一回マーデクトで行ってみよ!」

ラムル「私、母にお土産話してくる。すぐ戻るから。」


 画面fade-out。

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