ストーリー50、51
ストーリー50:女子3人ガルシア邸へ
登場人物
ラムル、ルイス、バンズ、ポートル、ジャン、ピコ、ピク、フライ、ガルシア、ジック(写真)、ソディナ(写真)
バンズのドックから一旦帰宅したラムル、リビングに入りルイスを見つけると、
ラムル「母上、先日伺ったガルシアさんの所へ友達とまた行ってきて構わないかしら?」
ルイス「あら?ガルシアに用でも出来たの?」
ラムル「うん、古い歴史について。出来ればリターナ戦役より以前の歴史を知りたくて。」
ルイス「そうねぇ。あなたなら快く迎えてくれると思うわ。歴史の話は私では手に負えない。いいわ、私からも伝えておくから出掛けてらっしゃい。……学術部講義、また休むようになりそうだけど大丈夫なの?」
ラムル「学術部は大丈夫よ。これから連絡しておく。母上、ガルシアさんによろしく伝えてくださいね。」
ルイス「ええ。分かったわ。」
リビングを出て行くラムルの後ろ姿の画でfade-out。
画面はフローター内に変わり、
ラムル「バンズのドックに向かう。その前にバンズのドックに繋いで。」
フローターのモニターの画。
バンズの受信、バンズoff「こちらバンズ、ラムル?エンジャーへのお出掛けは決定?」
ラムルoffで「うん。母が連絡しておくって。だから直ぐ向かえるわ。皆んな支度しておいて。」
バンズoff「で、向かわせるのはマーデクト?」
ラムルoff「ううん、着陸出来ない。ドックは有るけど入れないから、私のフローターに皆んな乗って向かうよ。」
バンズoff「了解、そのように。」
フローターが飛び去る画。
変わってバンズのドック内、既にラムルが戻ったところ。
ラムル「ジャンだけ乗せるだけで構わない?ピコとフライは貨物室になっちゃう……それでも良ければ……。」
バンズ「Annを荷物扱いとは解せない……が仕方ないか。」
ポートル「そんな無理して皆んな一緒じゃなくても……。」
ラムル「貨物室で可哀想なのは分かる。せっかくだからこの際一緒に連れてってガルシアさんに紹介するわ。」
ラムルのフローター内貨物室。
バンズ「2人共ごめんね。到着までここで待機ね。」
言って2人を動かないように固定ベルトでくくったバンズの画。
ラムル「先日の履歴……っと。……ガルシアさんに繋がるかしら?」
フローターの外、景色が流れている。
しばらくすると、ガルシア=オフェイルの応答。
ガルシアoff「ガルシアよ、こんにちはラムル。」
ラムル「こんにちはガルシアさん。2人の友達とAnnも一緒だけどよろしくお願いします。」
ガルシアoff「ラムルのフローターのIDセットするわね。ごゆっくり。……じゃ待ってるわ。」
ラムル「エンジャーまではしばらく掛かるわ。」
バンズ「ザクラートの話でも煮詰めるか?」
ポートル「どんな蔵書があるかしら?それにもよるんじゃない?」
ラムル「船を作るための知識を得る為って話してた。蔵書はメカ系だけかなぁ?」
バンズ「いや、金属成分から加工技術まで色々知識は必要なんだよ。金属製造の書物でも有れば、ザクラートも載ってるかも知れないね。ガルシアさんって方にまず聞いてみてもいいし。」
ラムル「それが、ガルシアさんはダイムについても最近知ったそうなの。だから詳しくは聞けないと思うわ。」
フローター、到着、駐機する画まで。
3人と3体のAnn、ガルシアと対面。
ガルシア「ラムル、ようこそ。挨拶は中へ入ってから。さ、どうぞ。皆んな遠慮しないで。」
ガルシア邸リビング。飲み物が用意してあるテーブルに人数分の椅子まで用意出来ていた。
ガルシア「さあさあ、お疲れでしょ?好きなところに座って。……コーヒーと紅茶だけどお好みでどうぞ。」
ラムル「ありがとうございます。友達を紹介するわ。こちらはバンズ=グロビア、凄腕のメカニック。こちらはポートル=ショウズ、私よりメカに詳しいわ。それから、バンズの横のAnnはピコ。ポートルの横にはフライよ。」
ガルシア「バンズ、ポートル。ガルシアよ。よろしくね。あ、それからピコ、フライ、ガルシア=オフェイルよ。初めまして。」
それぞれカップを手にしている画で、
ガルシア「ラムル。ルイスから少し聞いたけど、古い歴史の事で聞きたいってね。」
ラムル「ええ、ガルシアさんの蔵書に古い物は有るかなって。知りたい事があるから。」
ガルシア「古い歴史ねぇ……どんな事?船に関しての本もかなり時代遅れだけど……。」
ラムル「実は……それが……。ザクラートの事なんです。」
ガルシア「なるほど、話してたダイム絡みでザクラートも調べなきゃならなくなった訳ね。」
バンズ「ガルシアさん、小さな板、私も手にしました。多分それはダイム金属で、ザクラートが含まれてそうな物でした。含有量は少なそうですが……。」
普段にないバンズの丁寧な言葉……。
ガルシア「どうやらダイム金属らしいのね。見つかって良かったわ。皆んなも話してると思うけど、ダイム金属は今は手に入らない。対策軍のみ使ってるみたいね。ビブレスでは噂は有るけど見かけないわ。」
ラムル「ザクラートはどうですか?何か知っている事、聞かせてください。」
ガルシア「ダイムと同じ。軍では保管されているはずだけど、もう手に入らないと思う。リターナ戦役後に、リターナの残骸から全て採掘してしまったみたい。ザクラートがどんな物かは知る人は殆どいないと思う。」
バンズ「ザクラートが特殊な性質の物で、金属に化合するとそれがダイム金属に変化する……元の金属に化合する時のザクラートの使用量によって出来上がるダイム金属の質も変わる……という事です。」
ガルシア「バンズは物知りね、凄いわ。……って事は、ザクラートを含んだダイム金属はザクラートの含有量によって重さも変わることになるわね。……軍は
ラムル「ダイム金属で作られるのではなくて、ダイム金属を混ぜてるって事?」
ガルシア「
バンズ「加工工具もそれなりにダイム金属の純度の高い物を使わなきゃ硬くて何も作れないよ。」
ポートル「なんか含有量だの混ぜるだの精製だの含んでるだのややこし過ぎて分かんないよぅ。」
ラムル「確かにね。私もややこしくて分かんない。」
ガルシア「まあ、ザクラートによって金属が変化した物が、ダイム金属って事よ。」
バンズ「ダイムを知る限りでは、
ガルシア「多分バンズの言う通りよ。製造工程は手間が掛かるでしょうね。大まかに鋳造した物を専用工具で加工でもしなきゃ難しいんだわ。軍はどこのどのパーツまで
バンズ「最初はポートルの
ポートル「まーたぁ……。鍛造だの鋳造だの分かんないってばぁ。……帰ったら分かりやすく説明してもらうからっ!もー。」
ラムル「まぁまぁポートル、ここは2人が理解してくれる。そこはお願いします、ガルシアさん。」
ガルシア「基礎と応用よ。難しく考えたら先が見えない。大丈夫よポートル。」
ラムル「ポートルはフライに色々教わりなさい。Annなら優しくわかりやすくしかも丁寧に教えてくれるわ。たくさん会話すればいいのよ。」
ラムルはポートルに微笑む。
ポートル「そっかぁ……私、これからはフライともっと話す!」
バンズ「ポートル、アタイがよく言うでしょ?Annはメイドでもなければ家来でもない。飾りでもなければ道具でもないよ。」
ポートル、半泣きの画。
ガルシア「よし!難しい話ばかりになっちゃったからここらでちょっと息抜きしようか。皆んな、ついてきて。Ann達はここに居ていいわ、直ぐ戻るから。」
そう言って3人を促し、案内する。
ガルシア「ドックがあるからついてきてね。」
バンズは興味津々で、
バンズ「ドックがあったんですか。フローターが外に着陸したからドックは無いのかと思ってました。」
目が輝いているバンズ。
ラムル「バンズのドック位広いわよ。…あら、言わなかった?」
バンズ「聞いてない!聞いてたら真っ先に案内してもらってた。」
前を歩きながら微笑むガルシア。
扉の前、パネルに手をかざし扉を開けるガルシア。
ガルシア「ここがドックよ。奥の船はもうしばらく飛んでないけどね。」
言いながら、ジックとソディナの写真をバンズとポートルに見せる。
ガルシア「若い頃、従えてたAnnの写真。(指差しながら)これが私のAnnソディナ。こっちはラムルのお母さんのAnnジックよ。」
バンズは目を輝かせて
バンズ「賢そうなAnn。可愛い。」
ガルシア「バンズはAnnを慕う子なのね。私、……私達もそうだったわ。……さ、奥の船まで行きましょ。」
画面ディゾルプ。
ストーリー51;ガルシアの大切な想い
登場人物
ガルシア、ラムル、バンズ、ポートル、ミクラットに格納のソディナとジック
ドックの奥へ3人を促しながら、
ガルシア「ミクラットの照明ON。」
やや奥の宇宙船ミクラット。以前ラムルとルイスには照明を点けてまでは見せていない。
ラムル「この明るさでみると、やっぱりカーラントより大きいわ。それにカッコいいー。」
ポートル「出ましたミーハーラムルのカッコいい!」
ラムル「冷やかさないでっ。カッコいいものはカッコいいのっ!」
ガルシア「ハッチを開けて。」
ハッチまで歩いてくる4人。
ガルシア「皆んな入ってきて。」
ガルシアについて歩いて行く3人。
ガルシア「細かい説明は無し。奥まで付き合ってね。」
通路の様な動線はセンサーで照明が点く。通り過ぎると消灯する。左右にスライドドアが幾つか見える。更に奥へ。
突き当たり、スライドではないドアの前。
ガルシア「ここは手動の扉、中へ入ってからその理由を話すわね。」
言いながら重々しく扉が開く。
ガルシア「これはミクラットの推進装置よ。見ての通り、左右の二基……メインシステムと同期しながら航行するの。」
バンズ「あの間に有るボックスは?」
ガルシア、ボックスへ歩きながら、
ガルシア「このボックスは推進システムの中枢。皆んなを連れてきたのはこれを見せたいからよ。……さ、近くに来て。今開けるから。」
ボックスにはロックは無く、
中身を見た3人は絶句した。そして前回訪問の時に話だけは聞いていた、ラムルは涙を浮かべている。
ガルシア「驚いた?これはAnnよ。よく見て。」
幾つものケーブルやハーネスが、ボックスの外に出てあちこちに伸びているのが分かる。
バンズ「これはさっきの写真の!」
ガルシア「そう、ジックよ。ルイス……ラムルのお母さんから譲り受けたもの。ここでは航行を担ってるの。……さ、今度はメインルームに行きましょ。」
メインルーム内にガルシア、そして3人が入ってくる。
ガルシア「皆んな、ここよ。」
モニターテーブルのそれらしいブレーカー状のスイッチを起動させるガルシアの手の画。
モニターテーブルの中央でせり上がる塊。
ケーブルやハーネスは台の様なところに接続している。
さすがにポートルも気付いた。
ポートル「この子もAnn。写真の子。ソディナね。」
ガルシア「そうよポートル。」
ラムルは一連の事情を知っているのか座り込んで声も無く泣いてしまっていた。
ガルシアの台詞に合わせた回想画で、
ガルシアoff「若い頃の私やルイス、……ラムルのお母さん……ルイスって言わせてね。……私やルイスはとてもAnn と仲良かったわ。当時ルイスはいよいよ婚姻で、船もAnn も手放さなければならなくなったの。ルイスが手放したくなかったのは分かってた。でも婚姻後は不要になるからって……。私はまず、ソディナにデータをダウンロードする事にした。
回想画終わり。モニターテーブル上のソディナメインシステム。
4人の後ろからの画。
ガルシアは当時の想いが込み上げて来て涙を堪えきれなかった様だ。
そのままのガルシアが3人に、
ガルシア(涙顔のまま)「……皆んなも、Ann を大切にね。……って言うお話でした。」
涙を拭いながら続けて、「さ、戻りましょ。探し物は明日にして、皆んなとの出会いを祝してバーベキューでもしましょう!皆んな手伝ってねー。」
ドックの扉から出てくる4人、歩いてくるまでの画fade-out。
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