ストーリー41~45

ストーリー41:辛い後始末


登場人物

グラン



 反逆軍の車両(トラックの様な貨物車両)に、6人の死体を放り込むグランの画。


 運転席に入るグラン、


 グラン独り言off「6人からの連絡が途絶えて時間が経ち過ぎるな。いずれまたここに来ることも考えられる……。長く使った別荘だったがもう引き払うしかなさそうだ。」


 車両は山間の崖スレスレに止まり、一旦バックする画


 もう一度ゆっくり走り始めた。


 アクセルペダルに物を挟む手元の画。


 ドアからグランが出て来る。そのまま車両はゆっくり進んでいる。


 グラン独り言「反逆軍とはいえ同じ人間……。地球人同士、争いは避けたいものだ……。」

 進む車両後部の画。


 画面手前に歩いてくるグラン、カメラ横過ぎるまで。

崖の下に落ちる車両の爆発の画。


 未舗装の道を歩いているグランをfarrow-pan。


 グラン独り言「今朝帰ってしまった2人……。この姿を見たら冷血だと思うだろうな……。」


 立ち止まり空を見上げるグランの画で、

 更に独り言off「また地球にやって来るだろうか。……俺を訪ねてくれと言ってはみたものの、既に別荘は反逆軍に知れてしまった場所。もうあそこは危険過ぎ……。あの原っぱ……あそこに再びやって来るのだろうか。……また再会したいと思うが……。もし再会しても俺の右目以外に彼女らは発見出来ないだろうが、俺自身が反逆軍に発見されるのは避けたい。……もしもの再会のその時までに何か方法を考えておこう……。」



ストーリー42:母の勘と父の真理


登場人物

ラムル、ジャン、ルイス



 自室のデスクで考えているラムル……ジャンもちゃんと側にいる。


 ラムル独り言「父上はどの程度で水の惑星ほしが平和に発展してると判断するかしら。水の惑星ほしの1番の気掛かりって、スカーレットさんじゃない!それとも子供の事⁉︎寿命によってはもう子供すらいないかも知れないのに……。直接水の惑星ほし自体の画像だけでは納得しないかもしれないわね。……やっぱり父上にはスカーレットさんの情報が1番だと思う。何とか手掛かりだけでも掴まなきゃ……。それには上陸かぁ。……あぁ気が重いなぁ。」


 側のジャンは何食わぬ顔(風)。


 ラムル独り言「すぐにでもカウルを託して欲しいけど、水の惑星ほしの事も報告したい……。母上の言う通り、カウルのあるじの変更の話はしばらく待った方がいいわね。」


 壁にあるモニターが立ち上がり、ルイスが映る。


 ルイスモニター越し、

ルイス「ラムル?入っていいかしら?」

ラムル「あっ、母上。いいわ、どうぞ。」


スライドドア(もちろん自動)から入ってくるルイス、飲み物を手にしている。


 ルイス「随分出てこないから寝てるのかと思ったわ。さ、どうぞ。」


 デスクにトレーを置くと、ラムルの横に椅子を持ってきて座る。


 ラムル「ありがとう母上。」


 デスクには何も置かれておらず、ルイスも何かしら感じ取った。

 

 ルイス「何を考えてたのかしら?その顔は考え事がある時のラムルよ。私には誤魔化せないわ。どうやら長いこと考えてたわね、どうしたの?」

ラムル「う、うん。父上が、水の惑星ほしの情報を知って安心出来る1番の気掛かりはなんだろうって……。気掛かりが有るから今まで地下に残ってるカウルやシステムデータが消せなかった。私にカウルを従わせてもらう最善で最短の方法を考えてた……。」


 ラムルはカップを手にする。


 ルイス「それはスカーレットさんをもって他に無いわ。と言うかその子供、強いてはその末裔。G15の総司令官の様な人物になって、もう既に水の惑星ほしを支配しているとも限らないでしょ?ブロントの今の立場では遠くから見ている他ない。ブロント自身、不甲斐ふがいないのよ。どうする事も出来ない立場、過去の重責がのしかかって、地下の何も手が付けられないんだわ。」

ラムル「父上の今の立場、何となく分かってる。だからこそ水の惑星ほしの情報を伝えて、安心してもらった上で、改めてカウルの話をと考えてたの。」

ルイス「スカーレットさんを知るのは無理だと思うの。何も残って無いんだもの。残っているとすれば地下のシステムの中の上陸データだけだと思うわ。当時は管制室に使っていて、船の上陸データがシステム内に有れば座標位は……その程度。でもシステムはブロントでなきゃ立ち上がらないからこれも無理ね。」

ラムル「父上、ずっと引きずってきてると私思うの。……私、カウルが欲しくてじゃなく、まず父上の為に……。調べなきゃ……。」


 ラムルは自分に言い聞かせている様に話していた。


 ルイス「ラムル、私も真剣に考えてみるわ。ラムルに手助けしたいものね。でも約束よ。無理しちゃダメ、他所の星の事なんだから身の危険も考えて行動しなきゃ、分かった?」

ラムル「うん、約束する。ありがとう母上。」

ルイス「さ、そろそろブロントが帰る時間。食事の支度、手伝ってラムル。」

ラムル「はい母上。」


 2人とジャンがラムルの部屋を出る画。ディゾルプ



ストーリー43:軍の会議と立場


登場人物

グラン、連邦軍幹部数名(台詞はA、Bのみ)



 地球連邦軍の主な幹部が招集され、会議の最中


 グラン「先日、休暇で別荘に居るところを反逆軍6名に襲われた。運良く全て蹴散らし車両ごと崖下に葬った。奴らの要人暗殺計画は相変わらずの様だが君達も狙われないとは言い切れん。軍の人間として、自分の身は自分で守れ。常に反逆軍の目に留まっている事を忘れるな。自宅でも長く滞在する事を避け、安全な場所を確保しておく事。」

幹部A「総督。反逆軍は、どの程度の火器を使って襲ってきたのでしょうか?」

グラン「古い鉄砲玉だ。怯える程ではない。」

幹部B「大勢を相手にでは、私には総督の様に振る舞えません。」

グラン「じゃあ一生シェルターに入ってるとでも?」


 幹部達ざわざわ、


 グラン「一般人を守る為の軍。その軍人は自分の身は二の次。そう指導してきたはず。大丈夫、奴らの火器ではそう易々とはやられない。その為の装備を更に強化する様、開発局に伝えよう。」


 シートから立ち上がるグラン続けて、

グラン「君達の安全に努めよう。…他に何か有るか?…無いようなら今日はこれで解散。」


 画面ゆっくり暗く、そしてディゾルプ。


 軍内部、グラン専用室。


 椅子に座り窓の外を眺めている。


 グラン独り言「また何処か静かに過ごせる場所を探そう……。シェルターに隠れるのはゴメンだよ。……シェルター……そうだ、シェルターを置こう!」


 ゆっくり立ち上がるグラン。


 グラン独り言「あのフィールド近くの辺りの地下にするか。シェルターすっぽり埋めてもらうとしよう。」


 Fade-out。



ストーリー44:マーデクト帰還


登場人物

バンズ、ポートル、ピコ、フライ、ラムル、ジャン



 惑星ノアーナ大気圏へゆっくり突入する宇宙船マーデクト、まだステルスを表現しつつ降下する。


 しばらく降下、



 フライ「ステルス解除。通常航行。」

ポートル「ようやく到着ね。」

バンズ「ラムル、首を長くして待ってるだろうね。」

ポートル「凄い剣幕で襲ってきそう(苦笑)。バンズのドックに着く前にラムルのフローター呼んでみる?」

バンズ「学術部の講義終わる頃だし、知らせてみよう。」

ポートル「もう待ってたりして〜〜〜(少し怯える)。」

バンズ「ピコ、ラムルのフローター呼んで。」

ピコ「了解バン。」


 ピコを介してのバンズ、

バンズ「ラムル?聞いてたらドックに来て。」


 画面はラムルのフローター内、着信。バンズの声。

バンズoff「ラムル?聞いてたらドックに来て。」


 更に画面転換、ラムルの腕のモニター。


 フローターに着信のメッセージ表示。


 講義中のラムル、チラッと腕を見るが再び講義を続けている。(画のみで見せて可)


 マーデクトメインルームに画面が移る。


 ポートル小声で「やっぱ応答無し?ラムル、カンカンなんじゃ⁉︎」

バンズ「連絡出来なかったのは仕方ないじゃん。ラムルに謝るしかないっ。お土産見たら許してくれるって。」


 マーデクトはバンズのドックへ到着。


 ドック内メインルームに入って来る2人と2人。いや2体。


 バンズ「ピクー留守番ご苦労様―。」


 ピクにスリスリするバンズに、

ピク「バン達が出発した翌日、ラムル様がいらしたのですが、留守だと伝えたところ、お帰りになりました。他は何事も無く過ごしてました。」

ポートル「ほら、ほらほら。ラムル、来てるじゃん……。」

バンズ「まあまあ落ち着いてポートル。お土産の荷解きしなきゃ、手伝って。」


 学術部、講義が終わってフローターの方へ歩いて来る。


 腕のモニターの着信確認。


 ラムル独り言「ったく!何日出掛けてんのよあの2人っ。」


 フローターで待っていたジャンに向かい、

ラムル「ジャン、バンズのドックに繋いで。」

ジャン「了解ラムル様。」


 ラムル独り言「今日はドックの前に探し物!あっちは後回し。」


 やがてバンズが応答してきた。

バンズoff「お疲れ様ラムル。ごめんね留守しててー。エンジャーに行ってるようだから又にしようか考えて、結果ポートルと出掛けてきたよ。心配した?」

ラムル「心配?してないしてない。カーラントで飛べないストレスよっ。フン」

ポートルoff「そう怒らないでよぅ。ごめんラムルぅ。」

ラムル「今日は本を探しに行くから戻ったら寄るわ。」


 ラムルはブチっと一方的に通信切断。


 画面即転換、

 バンズ「ら、らっ、……。切られた。相当おかんむりの姫様だね。」

ポートル「言った通りじゃん、もー。」

バンズ「いいじゃん、少しはお土産の準備に時間掛けられる。」


 ピクのテーブルを囲み、作戦会議中。


 バンズ「ピコとフライはデータを共有、ちゃんと同期してね。それから水の惑星ほしの着陸データから帰りの都市の画像、直ぐにモニター出来るようにスタンバイ。」

ピコ「了解バン。」フライ「了解です。」


 ポートル「物騒な出来事はどう説明する?バンズ?」

バンズ「私達のスーツからのデータは後で。まずは黙って見てもらおうよ。大事な部分だしさ。」

ポートル「そうね。大事なって言うか貴重な経験の部分よ。」

バンズ「腕のモニターが無かったらアタイ達殺されてたかもだし、貴重な経験ってのは正解。」

ポートル「全くその通り。もー帰りに思い起こして震えちゃったよ私。」

バンズ「大丈夫、ラムルだって許してくれるって。」


 Fade-out。



ストーリー45:ルイスの考え


登場人物

ルイス



 カーレイ邸リビング。ラムルは学術部の講義で出掛けている。


 ルイス独り言off「ブロントがカウル起こして昔の画像を取り出してくれても、そのあとブロントは何をするだろう……。システムデータはおろか、カウルまで消去してしまうだろうか……。」


 直ぐ考え事にふけってしまうのは、ルイスもラムルもさすが親子といったところだ。


 ルイスoff「カウルのデータが消えてしまったらカウルとブロントの思い出さえ消す事になる……。ブロントが消去すると言ったら、それだけは止めなきゃ。カウルの中のブロントまでクリアされるもの。ブロントには可哀想過ぎるわ。……私の行動は決まった!あとはまず画像の話をブロントにしてからね。」


 カップを手にキッチンに歩いて行くルイスの後ろ姿。

 ディゾルプ。

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