【書籍化&コミカライズ】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】
第341話 ジゼリィ=アゼリィ本店増築 13 完成した俺の家がフリーパス様
第341話 ジゼリィ=アゼリィ本店増築 13 完成した俺の家がフリーパス様
俺の家。
いい響きだな、もう一回言おう──
──俺の家──
……違うな、もっと想いを込めたいところだ。
なにせ異世界に来て何もないゼロから始め、苦労を重ね手に入れた俺の家なんだ。
「──俺の城、うん、俺のし……」
「お~ここか~社長の部屋は~! うっは~結構広いね~これなら女を何人か連れ込めそうじゃないか~あっはは~」
ついに出来上がった俺の家。
正確には、宿ジゼリィ=アゼリィの増築した二階の客室を一部屋買い取って俺の部屋としたんだけど。
場所は二階の一番奥、川の横の角部屋。
リバーサイドの窓からの見晴らしのいいところで、新たに作った足湯を見下ろせる部屋。
さっきまで新たに出来上がった外の施設、足湯を確認。
さらに宿一階食堂に出来た魅せるステージでイケボ兄さんの料理を堪能。
そして今は増築した宿二階の客室へ来ている。
泊まれる部屋が結構増えて、これならかなりの宿泊客にも対応出来そうだ。
アンリーナに案内され、各部屋を見て回り、そして最後に案内されたのがついに出来上がった俺の部屋。
アンリーナに手渡された部屋の鍵を鍵穴へ。
ゆっくりと鍵を回すと、手に伝わってくるガチャ、という音すら俺には素晴らしい音色に聞こえる。
扉を開け、ゆっくりと出来上がったマイハウスを見渡し、さぁ入るぞ、と意気込んでいたら、後ろから水着魔女ラビコがゲラゲラ笑いながら俺を押しのけ部屋に入っていった。
「おいこら! 俺の部屋なんだぞ、なんで俺より先にラビコが入ってんだよ! 空気読め!」
「はぁ~? 別にいいじゃんそんなの~。なんか社長ってばのっそのそ動いて遅っそいからさ~ラビコさんが先に入ってやったんじゃないか~」
俺が先に部屋に入っていったラビコに不満を言うと、ぷっくり頬を膨らませたラビコが振り返る。
のっそのそ動いていたわけじゃなく、新しい部屋という空気感を楽しんでいたんだよ。
部屋の広さは十二畳ほどの縦長の部屋。かなり広い。
出来上がったばかりでとくに目立った物は置いていない。
置いてあるのはセミダブルぐらいの大きさのベッドに、小さなテーブルとイスぐらいか。
「ヌヌゥ……ベッドが物足りないですわ、師匠。やはり部屋の八割以上は埋まりますが、巨大なベッドを家族七人用に……」
俺のジャージの裾をくいくい引っ張り、宿の増築の指揮を執ってくれたアンリーナが巨大なベッドで埋め尽くされた計画書を見せてくる。
だからそんな部屋のほとんどを埋める巨大なベッドなんていらないし、家族なんて今現在ベスしかいない。
いつか家族とかそういう夢は見ているが、さすがに七人の計画はない。
七人とか多すぎだろ、侍かよ。
「まだ備え付けの家具しかないのですね。これからあなたはどういうお部屋にしていくのでしょうか。ちょっとワクワクしながら見守っていきますね、ふふ」
宿の一人娘ロゼリィも俺の部屋に入り、窓からの景色を見ながら微笑む。
俺の家って言っても、ここは寝るぐらいしかしないしなぁ。
特に追加が必要な家具は思いつかないな……大体が宿の食堂でうだうだしているし。
日本なら真っ先にネット環境とパソコンに携帯端末とかを揃えたいところだが、ここはそんなものは無い異世界だからな。
つーかネットで検索したいのはエロなわけで、その辺は俺の創意工夫でなんとか凌いでいるんだ。
「……マスター。ベッドが新しいです」
バニー娘アプティが真新しいベッドに座り、そのふかふか感を確かめている。
よく知らんが側にいてくれるバニー姿の蒸気モンスター、アプティ。
バニー姿のおかげで、彼女の大きなお胸様の上半分が常に見放題。最初は気付かれないようにそっと見ていたが、最近は気付かれようが構わずじーーっと見ている。アプティも怒らないし。
「本当になーんもないなぁ~今度お酒でも持ち込むか~」
そして常に水着姿の魔女ラビコ。
彼女も大変スタイルがよく、歩くたびにお胸様やお尻様が揺れ、俺の視線が釘付けとなる。
俺がチラっと見るたびにニヤニヤと笑うので、絶対気付かれてはいるが、怒られないのでじっくり見ている。
「川が見えて素敵な景色ですね、ここ。たまに来てこの景色を見せてもらいますね」
どうやら宿の娘ロゼリィは窓からの景色が気に入ったようだ。
彼女はここのオーナーであるローエンさんと奥様であられるジゼリィさんの一人娘で、まぁこれがナイスなボディ。
親であるジゼリィさんがすごいボディをお持ちなのだが、お子さんであるロゼリィにもそれが受け継がれたらしく、童貞の俺が震えるほどのお体をお持ちの彼女。
難点は恥ずかしがり屋さんで、滅多に露出の多い服を着てくれないこと。
しかしその露出少なめの服の上からでも分かるエロいボディ。
たまに暑いところで着てくれる薄着や、以前王都のラビコの研究所でついに見た一糸まとわぬお姿を思い返しては服の上から記憶を照らし合わせ、個人的にエロい想像を楽しんでいる。
まぁロゼリィに俺のエロい視線は絶対気付かれてはいる。怒られないからやめないけど。
「師匠と愛の新婚生活……うう……しかし諦めてはいけません。いつかはこれが夢ではなく現実になるのです! もっと精度の高い計画書を考えなくては……!」
後ろでアンリーナがメモ帳にガリガリと書き込んでいるが、彼女は背が低く、お体の方は並の部類だろうか。
いや、比較対象が凶悪ボディのロゼリィってのは特殊すぎるか。
アンリーナもそこそこなお胸様をお持ちなのだが、ロゼリィと比べるのは間違いだった。生でお胸様を見たことがあるが、十分ヨダレが出るレベル。
「社長~戻っておいで~。な~に考えているか丸分かりだよ~っと。あっはは~」
ラビコが目の前に来たのでハッと我に帰る。
気づくと俺の下半身が大変なことになっているじゃないか。
ラビコが親切にも俺の前に立ち、ズボンの一部が突出している部分を隠していてくれたので良かったが。
危うく変態の烙印を押されるところだった。
女性陣の視線が俺の下半身に向いているので、手遅れ感はビリビリ肌に伝わってはくるが。
「さ、さて……ついに俺の家も出来た。まだ家具は揃えていないが、これで俺も一国一城の主ってわけだ。俺の部屋、俺の家……いいかお前等、勝手に入ってくるんじゃないぞ。ここは俺の家という絶対的なプライベート空間なんだ」
これでついに夜一人でこっそりアレが出来るってもんだ。
鍵はアンリーナに頼んで最新の物にしてはもらったが、アプティには通じなそう。
だが俺だって子供じゃないんだ。一人でなさっている現場をアプティに見られようが、構わず続ける精神を鍛えていかねばこの厳しい異世界では生きていけん。
鍵かけていようが、どうやってか知らんが勝手に入ってくるアプティは諦めた。
すでに何度か見られていたようだし……。
「ざんね~ん社長~、実はアンリーナを買収してここの部屋の合鍵作ってもらったんだ~」
ラビコがニヤニヤと首にかけていたネックレスのアクセサリー部分を、水着の胸元から引っ張り出す。
え……それ鍵じゃん。
え、なんでラビコが俺の部屋の鍵……。
「申し訳ありません師匠。ラビコ様に脅され、仕方なく合鍵を作ってしまいました……。あ、私も合鍵を持っていますが、それはこの宿増築の建設を請け負ったからであって、こちら側が会社として管理する予備の鍵になります」
俺が驚いていると、後ろのアンリーナまでもが合鍵をポケットから出してくる。
「ふふ、私はこの宿の跡継ぎなので、施設内の鍵は全部持てる権利があるのです」
さらにロゼリィまでもがラビコと同じように、ネックレス状に加工した鍵を胸元から出してきた。
「……私はいりません。……いつでも入れますので……」
アプティは興味なさそうにそっぽを向く。
「……………………」
驚きと落胆で声が出ない。
俺の他にラビコ、ロゼリィ、アンリーナが合鍵を持っているって……それもうこの部屋フリーパス状態じゃねーか。
アプティは鍵があろうがなかろうが入ってくるし……。
「俺の……家……俺の……部屋……俺の一人で安心してなされる夢の……部屋……」
「あっはは~残念だったね~社長。前砂浜でも言ったけどさ~もう諦めて皆の前でやっちゃえばいいんだって~私は最後まで見届けてあげるよ~。こんなおっもしろいショーはなかなか見れないし……あっははっ!」
俺が肩を震わせ虚空を見上げていると、ラビコが笑いを堪えつつ俺に抱きついてくる。いや、もう笑ってるか。
アプティだけならまだしも、年頃の女性四人に見つかろうが、堂々と一人演舞が出来るのなら、その不屈で強靭な精神を糧に一人で異世界をピンク色に征服してやるっての。
マイハウスプラン、オールユーザーにキーをシェアされ、意味……無し。
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