第163話 お酒の国ケルシィ様


「今はケルシィのどこかにいると以前手紙が来ていたなぁ」




 イケメンボイス兄さんが思い出すように言う。


 ケルシィ、知らない地名だ。ここはラビコに聞くか。





「さ~て今晩は何のお酒いこうかな~およ、みなさんお揃いで~」



 ラビコが夕飯を食べに泊まっている部屋から食堂に降りてきた。


 相変わらずの水着にロングコートスタイル。ラビコが食堂に来るだけで世紀末覇者軍団が歓声を上げる。


「ラビコ姉さーん! 待ってました!」



 そして俺の部屋からアプティもバニー姿で降りてきた。


 洗濯物の取入れが終わったのか、いつも悪いなぁ。


「うぉぉおお! アプティちゃーん! 」


 もはや見世物か何かなのだろうか。





 覇者達に軽く手を振り、ラビコが俺の右側に座る。


 アプティは無表情で俺の向かいに座り、アップルティをバイトメイドのセレサにボソボソと注文する。




「ちょうどいいラビコ。ケルシィって地名を知っているかな」


「ケルシィ? 東にある国だよ~ローエンが大好きな国だね~。お酒の国と言われているぐらい、国を挙げてお酒の生産を行っている国さ~」


 お酒の国。この宿のオーナーのローエンさんが好きな……か。ローエンさんお酒を愛しているからなぁ。


 この宿だって最初はただの酒場だったらしいし。



「昔~ローエンが一人で仕入れに出かけて行って、何ヶ月も戻らなくてジゼリィがキレてたなぁ~あっはは~。私の家にまでジゼリィが来て~すっごいグチを聞かされたよ~」


 ラビコが思い出し笑いをする。


 それを聞いたロゼリィも思い出したようで、食べていたパンプキンスープの手を止める。


「そういえば昔、お父さんが長い間出かけていたことがありました。そういうことだったのですか」


 ふむ、ロゼリィはラビコのこと最初知らなかったが、ラビコは宿にはたまに来てお酒を飲む程度で、基本家にいたからか。そういやラビコってここのソルートン出身だっけ。







「ああ、あったよ手紙。えーと、マルタートで料理人をやっているようだよ」


 イケボ兄さんが手紙を探して持って来てくれた。




 他国か……よし、旅行計画を立ててみようかな。










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