第102話 ジゼリィ=アゼリィ収穫祭 魔法の水着トラブルで俺もその水着デビュー様


「さぁ……さぁ! メロメロ……メロメロー!」




 ロゼリィが上半身の服を脱ぎ、あらわになった際どい水着で俺に迫る。



「ラ、ラビコ! 魔法がかかっているとか言っているが、どうなんだ!? ロゼリィの様子がいつもと違うぞ!」


 アプティにロゼリィを抑えてもらい、少し動きが止まった隙にラビコに聞く。



「え~、ん~お酒……いや。少し魔法的なものはかかっているけど~魅了のような高レベルのものではないな~。単に自身の欲のタガが外れて、少し興奮状態になるような暗示的なものかな~。こりゃー騙されて買った物っぽいね~あっはは~」


「笑い事か! 冷静なロゼリィじゃないってことかよ。そんな状態で欲のまま行動させて、あとで後悔なんてさせてたまるか! どうすればいい! 教えてくれラビコ!」


 俺はアプティと挟み込むように抱き、暴走ロゼリィの動きを抑える。



「あっはは~さすが社長、格好いいセリフだな~。それ、単に欲求不満が積もり積もった状態だから~欲求を叶えてあげればいいのさ」


 海賊兄妹は何が起こったか分からない状態で驚きの顔。


 ラビコは何か察したようで、ニヤニヤしている。


 ロゼリィの欲求を叶える? どうすりゃいいんだ。



「うん、それでいいのさ~。アプティ~離れて~社長だけで抱いてあげな~」


 アプティが離れて、俺だけがロゼリィを抑えている状態。


 ロゼリィは全く抵抗しなくなり、大人しくなった。


 眼を閉じ、スースーと寝息を立て始めた。



「ま~今回は許してあげるよ~。社長~しばらくそうやって抱いててあげな~。ロゼリィってなんでも中に抱え込んじゃう性格なんだよね~、言いたいことも、したいことも、想いも、欲も。そしてたまにこうやって爆弾が出来上がって~変な行動起こしちゃうってわけさ~」


 抱え込む、か。


 俺はもっとロゼリィのことを理解してあげるべきだな。



 色々知らないうちにロゼリィに負担をかけてしまっていたようだ。









 その後、目が覚めたロゼリィは俺に抱かれた状況に驚くが、ラビコの説明で理解してくれた。



「ご、ごめんなさい! 私何を……ああ恥ずかしい……!」


「大丈夫さ~全て社長が守ってくれたよ~」


 俺から離れたロゼリィがみんなに謝る。













「しかし……あれはいいものだった……」



 翌朝、俺は普段見れなかったロゼリィの素晴らしいものを思い出しながらベッドから起き上が……。


 上がれない。



「なんかスースーする……」


 俺裸だぞ、おかしいな。


 自慢のオレンジジャージを着ていない。


 あと手足が縛られベッドに結び付けられている。



「おはようございます……マスター。服は寝ている間に脱がしました……洗濯をしています」



 アプティ……せ、洗濯……はいいが、なんで寝てる間に勝手に裸にしてんだよ! 


 見られたのかよ! いや、裸じゃないな、なにか着ている……?


「昨日の……水着、マスターに着せてみました……なにやら欲が暴走するもの? なのでちょうどいいかと……」


 何か小さい布が……と思ったらこれ、昨日ロゼリィが着ていたやつじゃないか! 


 俺の胸に綺麗に付けるな! ……もしや下……。



「上はつけれたのですが……下はさすがに無理でした……なんと言うか、ご立派です」


 うわぁあああああ! 下、全然隠れてないじゃないか! 


 俺の俺を避けるように無理矢理はかされている。


 これ単なるモロだし君じゃんか!



「つかなんで縛ってんだよ! ほどいてくれ!」


「マスター……暴走しました? ……まだですか? 私がマスターの暴走を受け止めますので、安心して暴走をお願いします……」


 アプティがバニー姿で俺のお腹の上に跨ってきた。


 うわわ……! 別に魔法的になにか変な気分にはなってないと思うが、あれ、アプティってすごい俺好み……。


「やべぇ! これか……これマジで来るじゃねーか! アプティ、これ脱がせ! 早く!」


「だめです……暴走……してから……」


 アプティが俺の上に跨ったままずれ、顔にアプティの柔らかい太ももが当たる。


 わわわっ! だ、誰か助け……ってここで助け呼んだらこの状況どう説明すんだよ。でもこのままじゃアカン。




「アプティさん、バラの石鹸ありましたよー。これならいい香りがついて……」


「……ありがとうございます。もうすぐマスターが暴走しますのでお待ち下さい……」


 ロゼリィが石鹸を持って俺の部屋に現れた。鍵はかかってないのか……終わった……。



「き、きゃああああああああ! はふン……」


 宿中に響く悲鳴をあげ、ロゼリィが俺の部屋のソファーに倒れこみ、気を失った。


 俺は被害者、俺は被害者、俺は被害者……大丈夫俺は被害者……。




「ど、どうしたんですか! は……いやぁあああああ!」

「はぅ……! どういう状況なのです!? 女性物の水着……下……はぅ、すごい迫力なのです」

「お……おお、隊長。なんとも激しいプレイだ、いや私もそういうのは好みだから問題はないな」

「これは……朝から激しい……拘束羞恥とか、クロスオーバー」

「うーん、隊長の手の出すことの早さとチャレンジ精神には脱帽、棒」


 バイト五人組登場。全てを見られた……がよく見てくれ! 俺はベッドに縛られている、分かるな? 



 俺は縛られて動けない! ここが裁判で重要なポイントだぞ!







 その後、大爆笑しながら現れたラビコがアップルティを与えることでアプティを抑え、俺を解放してくれた。


 俺の俺をニヤニヤしながらじっくり見られたが、もうしょうがない。助けてくれたラビコに感謝。



 一応俺への誤解は解け、水着はラビコによって処分された。







 それ以降、バイト五人組、ロゼリィ、ラビコが俺と会うと、俺の下のほうに視線が行ってから俺の顔を見るという日がしばらく続いた。







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