2話 転校初日はやらかしたくない

「では、ここら辺で。送っていただきありがとうございました。僕はこれから校長室に行かないといけませんので。」


敬語きっつ。勉強し直さないと仕事に支障が出ちゃうぞ☆


なんかギャルチックになってしまった。恐ろしい。


「わかったよー。同じ一年だと思うから、以後お見知り置きを。私、2組だから困ったら頼ってね。」


ピシッと敬礼する。美女は様になるなー。何組になるんやろうかね。そんなことを思いながら彼女から離れていく。


そしてイヤホンのミュートを外して、


「那原菫のクラスでの扱いを調べてくれ。さっきから嫌な視線を感じる。特に女子からだ。早急に頼む。」


『了解。終わり次第連絡する。』


頼りになるわ〜。そんなことを考えながら校長室に向かう。てか、学校の位置がわからないっていったのに校長室をわかることを疑問に思ってくれ。


愚痴りながらながら校長室に着く。新築なのでフローリングの床は綺麗でしっかりしている。校長にまずは挨拶だな。


コンコンッ


「入ってきてくれ。」


「失礼します。転校してきた三谷蒼です。」


「よろしく頼むよ。」


そして校長から粗方の説明をしてもらい、体操服を購入して教室に向かう。その途中、


『調べ終わったよ。カーストは高い方だけど根も葉もない噂のせいで女子からの信頼はなく、扱いは最悪。...とても言いづらいんだけど彼女いじめられてるみたい。』


「納得した。その噂ってなんだ?」


『男と寝ただの援交だのそんな類だよ。でも容姿が完璧すぎて、そんな噂もたつだろうよ。』


「そいつらから守ったらいいのか?」


『多分。記載にはあざや怪我が中三の時から増えていて、いじめられているのではないか。ということらしい。』


たしかにこの学校には社長令嬢なんかがいるんだ。揉み消すことくらい容易いだろう。相手が一般人ならね。


「情報ありがとう。随時、情報の更新をお願いしたい。だからイヤホンはつけたままにするからよろしく。」


『了解』





クラスの外側でホームルームを見守る。校長になった気分だ。さて、そろそろかな?


「この前から言っていた、転校生を紹介する。入ってきていいぞ。」


「今日からみなさんのクラスメイトになります。三谷蒼です。よろしくお願いします。」


黒板に名前を書いて振り返る。メガネにある情報と人を照らし合わせる。その最中、保護対象二人を確認する。

那原菫の方は喜びが顔から溢れ出しそうになっており、もう一人の方名前はえっと、


『羽賀木海』


そうそれだ。てかなんでわかるん?


「席は羽賀木の横でいいな。窓際だ。よかったな。」


テメェ煽りやがったな。インキャやと思ったんやろ。ぶっ飛ばすぞー☆


さて茶番は終えて、席に着く。


「えーっと、羽賀木さん。よろしく。」


しっかり挨拶したのにそっぽを向かれる始末である。無愛想。第一印象だな。人間の印象の6割以上は第一印象で決まるんだぞ。


その後は何もなく、昼休みになる。おにぎりを二つ食べ、インキャらしく本を読む。クラスのどこかから嫌な視線とも言いづらい視線を感じる。

それだけだ。そんなことを考えていると、

いきなり本に影がかかる。視線を上げると美女が立っていた。そして、


「お久しぶりです。せんぱ...むグゥ。」


俺は先輩じゃない。どうねんだ...い?まて、こいつ…。


ん?なんか静かすぎない?あと、なんか視線を感じる。見回すとクラス全員の視線を集めていた。


転校初日、やらかす…。後輩のせいで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る