第8話 見えた光明

 「それはこの刀のルーツじゃ。」


 「ルーツですか?」


 おぉ、それはありがたい。

 よく言うが武器ってのは何事もルーツというか始まりが大切だ。

 歴史っていうのは時にありえないほどの力を持つ。

 それを聞いておいて損はないだろう。


 「そうじゃ。この刀はのぉ、先ほども言うたように初代様。つまりこの『陽炎刀術』の開祖様しかこれまでの歴史上使えなんだ。理由はわからん。ただそれからこの刀はおそらくこの刀が認めなかったんじゃろうな。使い手はどんどん死んでいった。それからじゃ、この刀が『荒鬼』と呼ばれるようになったのは。わしも先代から聞いたのじゃがこの刀は使い手を見つければ自ら使えと申すそうじゃ。じゃからじゃよ。わしが盛大に笑ったのは。まさかこんな刀の振り方も知らんであろう若造を選ぶなど想像もしとらんかったわ。」


 そんな歴史が。

 しかし、選ばれたからと言って怖いな。

 使い手も何人も殺してるなんて。曰く付きの刀だよ。

 まあるで村正じゃないか。

 まあああ、それは置いておこう。

 心を、改めて『荒鬼』を握る。

 答えてくれ。『荒鬼』。今から俺がお前の使い手だ。


 そう強く念じた。

 そうすると不思議な現象が起きた。

 刀が急に発光したのだ。

 それはまるで、ギフトをもらった時のような発光だった。

 

 「うわっっ!なんだこの光?師匠、こういう刀なのですか!?」


 「そんなはずはないはずじゃ。どうなっとる?」


 光が収まると、何故か目録帖が出てきていた。

 

 「なんで目録帖が・・・・。はっ!まさか!」


 ある一つの可能性にたどり着く。

 これが立証されれば人生が変わるほどの。

 急いで目録帖をめくる。

 そして、最後のページ。

 の後ろにもう一ページ増えていた。

 それには、『荒鬼』の刀のページが確かにあった。


 「うそ・・・・だろ?こんな、有り得ないギフトなのか?『武器商人』は。」


 呆然とする。

 まさか過ぎるだろう。

 しかし、俺が手に取っただけでは無理だった。

 そうなると、俺が武器の歴史を知ればこのギフトは武器を取り込む?!

 唖然としていると師匠が詰め寄ってきた。


 「どうしたのじゃ。何か驚くようなことでもあったのかのぉ?目録帖・・・・!まさか、ページが?!」


 「はい。このギフトのことがまた分かりました。このギフトは手に取った武器、もしくは目に入った武器の歴史、もしくは名と歴史を知ることによってこの目録帖に刻むことを可能とする。と、推察します。」


 その言葉に師匠も唖然とする。

 このギフトの可能とすることを察したそうだ。

 そうこのギフトを使えば—


 「伝説の武器を大量生産できる?」


 その通りだ。

 まあしかし、当然制限はある。


 「師匠、『荒鬼』の召喚魔力は少し頭のおかしい量です。なるほど。恐らくですが武器の何かしらのレベルに応じて使用魔力量も変わる。よくできてます。一見最強に見えてもやはり綻びはある。」


 「じゃが、お主は魔法が得意なんじゃろ?」


 「はい。」


 「なら伸ばせばよい。お主はまだ若い。魔力量がまだまだ上がる時期じゃ。レベルものぉ。これは、鍛えがえがありそうじゃのぉ。」


 そおう師匠は笑う。

 この顔だと恐らく就寝前に毎日魔力枯渇しろと言いそうだ。

 まあそんな鬼ではないはず—


 「アキレス、今日から寝る前は必ず魔力枯渇状態にせい。ない、外で魔法をぶっ放してもわしが担ぎ込んでやるわい。」


 鬼だった。

 明らかな鬼だった。

 その後、俺と師匠は家にあるすべての武器を目録帖に刻んだ。

 それで分かったことがある。

 

 このギフトは武器の名を知り、手に取ると大抵名が刻まれる。

 そして、まあまあの量の魔力(大体、中級魔法一発くらい)で武器として出現する。

 だが、例外がありそれは主に伝説並みの武器の場合それが今までたどってきた歴史を知らなければ目録帖に刻むことができない。

 そして使う魔力量はまだ推察だが上級魔法に達するほどと思われる。

 この家の中では三本あった。

 俺の武器となった『荒鬼』、そして静かなる刀と言われる『静鬼』、そして師匠の使っているすべてを切り裂くと言われる『裂鬼』の三本。

 この家には刀しかなかったが計18ページ目録帖を増やした。

 希望が、光明が見えた気がした。

 


 しかし世界は、神は無慈悲だ。

 彼が転ぶまであと5年。

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