第三話 幼馴染とオッドアイ
キーンコーンカーンコーンと6時限目の授業終了を合図する鐘がなる。
それと同時に授業担当の先生は教科書を閉じ、今日はここまでと言って終了のあいさつをし、教室から出て行った。
クラスのみんなはそそくさと帰る準備をし、次々と教室を出て行ってしまった。
俺もそれに倣い教科書類をカバンに詰め込んでいると
「早くしなさいよ。もうみんな帰ってるわよ」
と由愛が文句を投げかけてきた。
「へいへい、ちょっと待ってくれ」
俺は教科書を入れ重くなったカバンを背負い立ち上がる。
「それじゃ帰るか」
俺は教室のドアを開けると、銀髪の少女もとい七色恋珀が大量のプリントを抱え立っていた。
「えっと、どうしたんだ?」
このままスルーして帰るのも何処か気まずいので、一応話しかけておく。
「社会科の先生にプリント提出しに来たの。そっちは今帰るところ?」
「あぁ、そんなところだ。先生なら職員室に行ったと思うぞ。てかそのプリント全部提出するのか?」
俺は七色が抱えてるプリントに視線をやる。
「うんうん、数学とかほかの教科のも混ざってるよ。まだ終わって無いからこれからやるけど」
「そうなのか。てか、これからやるってこの量のプリントをか?」
「まぁね。私って不登校じゃん? だから提出用のプリント結構溜まっちゃうんだよね。でも提出しないと最低限の単位すら貰えないから、たまに学校来てはプリントやってるんだ。家だと集中できないし」
「七色って不登校なのか。あっ、いや馬鹿にしてるとかそういうんじゃないんだ」
「別に気にしてないけど。ってか碧斗君って私が不登校な事知らなかった方が驚きだよ。いや、私の名前聞いても何も反応しなかったって事は、普通に私の存在自体知らなかっただけか」
少し驚いた顔をした後、納得の言った顔でぶつぶつと独り言を言いだした。
「そんなに驚かれるか? 由愛は知ってたか?」
「逆に聞くけど何で知らなかったのよ。七色恋珀。銀髪が地毛ってのでかなり有名な気がするけど。もちろん悪い意味でだけどね」
「そんな噂が立ってたのか。まったく知らなかった。てか銀髪が地毛って染めたんじゃないのかよ」
「あーあれね。あれは嘘だよ」
七色は俺を何処か小馬鹿にするかのようにクスっと笑った。
「なんだ、そう言う事だったのか」
オッドアイでただでさえカラコンをしてないと目立つのに銀髪にしたら余計目立つのではないかと思っていたが、まさか地毛だったとは。
本当に日本人なのか不思議だが、今はそんな事どうでも良い。
今俺らが意識を向けないといけないのは七色が持ってきた大量のプリントだ。
「これって提出期限とかあるのか?」
「一応今学期中に出せって言われてるけど、終わらないと思う」
「もし、提出出来なかったら?」
「どうなんだろ。特に何も言われなかったけど、普通に考えたら進級出来ないと思う」
「それ普通にやばいじゃん」
俺はクラスの誰のかも分からない机を三つ横並びにくっ付け、椅子に座る。
それを見た七色は疑問符を浮かべている。
「とりあえず七色はプリント提出してきな」
「え? あ、うん。分かった」
七色は疑問符を浮かべたまま職員室へと課題を提出しに行った。
「で、あんた彼女の課題手伝う気?」
「まぁな。由愛は帰ってても良いぞ」
「今日あんたと帰るって約束してるの忘れた? 私だって少しくらいなら残れるわよ」
「そっか、流石俺の幼馴染だ」
「うっさい」
由愛はふくれっ面で七色が置いて行った大量の課題を科目ごとに分けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます