やすらぎのとき

まぶたを閉じた あなたの顔を

もうどれくらい 私はここで

眺め続けていることでしょう


しあわせなのです このひとときが

わたしにとっての 安らぎなのです

耐え難いほどの 悩み 苦しみ

すべてが消えてなくなるほどに


たったひとつの わたしの願い

あなたが眠りに落ちた後

この しあわせに満ちた時間を

どうか 独占させてください


約束します

あなたが目覚める前に わたしは

わたしの世界へ戻ることを

何があっても あなたの前に

姿を現さないことを


叶うことなど永遠に無い

あなたへの淡い 恋心

闇夜に生きる 人外の我

笑いたければ笑うがいい


それでもわたしは これからも

あなたの側で あなたを想い

まぶたを閉じた あなたの顔を

眺め続けていくのでしょう


存在すらも 知られぬままに


それがわたしの定めであるなら

わたしは甘んじて 受け入れましょう

この しあわせで安らかな

時の流れと引き換えに

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る