冬支度
「寒いね。」
「うん、寒いね。」
見つめ合って微笑み合って。
それだけで温かくなれた僕たち。
冷えた手を吐息で温め、ポッケの中で温もりを分かち合って。
それだけで僕ら、幸せだった。
あの頃。
今ここに、君はいない。
寒いよ とても
僕の左隣が。
温かかった君の笑顔が 恋しくて堪らない。
冷えた手の先は 吐息では温め切れなくて。
ポッケの中で、君の手を、探し求めてしまうんだ。
君は今、どうしているかな。
きっと柔らかな笑顔で 今頃誰かを温めているんだね。
僕ではない、誰かを。
僕もまた 見つけられるかな。
そろそろ 忘れなければいけないね。
君のくれた温かさ。
心が凍えてしまう前に 僕も見つけなければいけないね。
僕を温めてくれる人を。
冷たい冬を、終える為に。
心の、冬支度を
始めなければ いけないね。
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