第16話 街へ買い物へ
「レオ~! 買い物に付き合って」
アイリに声をかけられた。テストも終わりセイラも好きにすれば良いと言った。
母にも返事が遅れたことを詫びる手紙を書いたから、行くことにする。
「良いよ」
いつものようにアイリに腕を組まれた。するといつもの如く
「レオ・ファーノン!」
「はぁ、なんだよ……」
この教師の顔を見ると、後ろにセイラの兄ユベール兄さんの影が見える。重症だ
「成績がまた落ちたぞ! 両親に手紙で警告をしてあるからな!」
「分かってるよ。手紙が届いてた」
落第したらタダでは済まないと……セイラは何をしているのかと、セイラの事も書いてあったが、関係ないのにな……俺の問題だ。
「成績は悪かったが、課題の出来は中々良かった、そこだけはプラスしておいた。課題が遅れたことによる点数はマイナスにしたけどな」
はははっ。と笑い
「成績だけではないんだぞ、生活態度も一年間の評価に関わってくる。遅刻はするな! 素行の方も改めろ! 私は言ったからな、あとはお前の気持ち次第だ」
言いたいことを言った教師はチラッとアイリを見てため息を吐いた。
「かわいそうに……こんな奴とはもう別れちまえば良いのに」
アイリに聞こえないように言った。またセイラの事か
「
******
街へ行くとアイリの行きたいと言う店は繁盛していた。
「期間限定なんだって!」
キョロキョロと店内を見渡すと、珍しいものがたくさんあった。
パッと目についた薔薇をモチーフにした万年筆
「なぁに、プレゼントでもしてくれるの?」
アイリが俺の顔を覗き込んできた
「いや、綺麗だと思っただけ」
「ふーん。プレゼントするなら赤色のバラにしてね」
「赤が良いのか?」
「そりゃそうでしょ。愛してます。ってね花言葉よ」
花言葉……この前セイラに渡したバラは黄色だった
「因みに……黄色いバラは?」
「えっと。確か、愛情の薄らぎ? だったかな」
えっ!! それはやばい! 俺はそんなものをセイラに渡したのか! だから受け取るのに躊躇して……あの時悲しい顔をしていたのか!
「ごめん、帰る。予定を思い出した」
「帰さないわよ! 付き合う約束じゃない」
腕を強引に引き寄せられた。その腕を離そうとしていたら、学園の制服を着ている生徒が何人もいた。この店は学園の生徒にも人気があるんだな……。
アイリに買い物を早く終わらせるように言い付き合っていたら、セイラが友達と居た。
フローラ様とか言う侯爵家の令嬢と仲良さそうに買い物をしていた。
「あれぇ、あの子……セイラちゃん。街で買い物とかするんだね! 意外~。あの子今日も手紙を渡されたらしいわね」
「そうか、大人しそうな顔してるのにモテるんだな……」
「婚約者いないんじゃないの? いたら放っておかないでしょ? 可愛いのにね。それとも婚約者がいるけれどめちゃくちゃ性格が悪いとかで放っておかれてるとか? 何? あの子が気になるの?」
「……いや」
セイラの視線がこちらに向いた。謝りたいことがあるんだけど、俺の隣にアイリがいる。日を改めることにした。
そっと目線を外された事に腹が立ったが、構うなと言ったからセイラはそれを実行する。ただそれだけ。俺が悪い
侯爵家の令嬢がこちらに気がつき、セイラの手を繋ぎ他の場所へと行った。
まるで虫でも見るような目つきだった。
あの令嬢は俺とセイラの関係を知っているのかもしれない
セイラに謝罪の意を込めて髪を飾るリボンを買った。花言葉なんて知らないから余計沼にハマりそうだ……
今度会った時に渡そう。
本当にモテる男はきっと花言葉を熟知してスマートに渡すんだろう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます