第16話 決勝(2) チームまろまゆのプレゼン
会場は暗くなり、メインステージの大スクリーンにちーむまろまゆのプレゼンが映し出される。
チームまろまゆのリーダーがプレゼンを始めた。
「我々は、○○に関する環境活動にかかわるM&Aを提案します」
堂々と、そして理知的なムードで喋り出すチームまろまゆ。
「まず、日本政府の取り組みについて説明します……」
グリーン成長戦略、すなわち『2050年カーボンニュートラル宣言』を持ち出し審査員や視聴者の興味を惹きこんでいく。
プレゼン内容も発表の仕方もさすがと言わざるを得ない、すばらしいものであった。
「……そこで政府が期待している重要分野として○○産業があげられます」
日本の○○業界マップが示される。
「最大手の○○は、すでに様々な取り組みを行っています……」
プレゼンの内容は、2050年に向けての環境対応製品の拡大と技術革新、そのための協業。それだけではなく、工場CO2排出の削減などに及ぶ。
「……まとめとしまして、最大手の○○に対しましては、環境推進をさらに加速するために環境CVCを発足することを提案します」
CVCとはコーポレート・ベンチャー・キャピタルのことである。
具体的に言うと、事業会社が自己資金でベンチャー企業に出資・支援を行うファンドのことだ。
環境専門のCVCを作る提案は、確かに環境推進の加速に大きく貢献するだろう。
審査員からも軒並み好印象のコメントが寄せられ、視聴者も含め高得点の印象でプレゼンを終えた。
「さすがだね、チームまゆまろ」
フユミは真剣に呟いた。
「まあ、SDG'sやESGについては俺たちも一度は考えたし、順当な流れだろうね。
でも、順当すぎて面白みは半減だな。
大丈夫。俺たちは自分たちを信じて自分たちのプレゼンしよう」
こういうときはトシのいつでも前向きで元気なところはありがたい。
「そうね。じゃあ、私たちのプレゼン、行きましょうか」
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