第216話 レディファーストだよね
「お父様、急にどうされたのですか?」
セレナはサブローさんの手を握った。しかし、サブローさんはその手を払いのけた。
「やすえ! キュウリのぬか漬けが何だって!?」
サブローさんは耳に手を当ててさらに顔を近づけてきた。
やすえって誰だよ!? というか何の話をしているんだよ! 『きゅう』しか合ってないよ!!
「お、お父様が......壊れたぁ!! うわぁああん!」
セレナちゃんは目に涙を浮かべて走り去っていった。
「父は......もしかして......痴呆になったのか?」
一方、冷静に現実を分析する兄のロイド。
この差は一体何なんだろうか? 本当に兄妹なのか疑いたくなる兄妹だよ。そして僕はどうしようか......選択肢1、セレナちゃんを探しに行く。選択肢2、ロイドとその父と戯れる。うん......これは迷う必要はないな! 選択肢1に決まりだね!
「セレナちゃん! 待って!」
僕はセレナちゃんの後を追って走るのだった。
セレナちゃんは50メートルくらい先に倒れていた。僕は急いで駆け寄った。
「セレナちゃん! 大丈夫!?」
「アイネお姉様......ぜぇ......ぜぇ......息が苦しいですわ。私......死ぬんですわ......」
......顔や肌の色に問題なし。呼吸音も変な音がするわけではない。つまり......
「ただの息切れじゃないかな?」
お姫様だけあって外にはあんまりだしてもらえないから運動不足になんだろう。
「アイネお姉様......最後に一言だけ......お兄様とお幸せに......ガクッ」
え!? もしかして本当に危険な状態なの!? セレナちゃんは気を失ってしまっ......
「セレナ様、悪ふざけが過ぎますよ? アイネ様がお困りじゃないですか」
さっきセレナちゃんと一緒に居たメイドが声をかけてきた。
「ああん! もう! どうしてばらすんですの!? セレナ最後の言葉でお兄様とアイネお姉様結婚しちゃいます大作戦だったのに!!」
セレナちゃん、すぐバレる嘘はやめようね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます