第22話 ダメダメな俺

「よぉー。久しぶりー!」


「・・・」


「ん?なになに!?その超・おもーーい雰囲気」


「いいや、なんでもない。ちょっと疲れてるだけ」


「ふーん、お疲れちゃんねぇ・・・」


(な、なんだよ、その見透かしたような目は)


「・・・なぁ、おまえさ」


「ん?なになに?」


「もしまた、青い羽根があったら、何てお願いすんの・・・?」


「え?『幸運の青い羽根』のコト?んーー、そうだなぁ・・・」


(べ、別に参考にしたいとかじゃないから、な・・・)


「あ!それ聞いて思い出した!この前、生配信の番組に出てさ」


(なんで話をそらすんだよ)


「その時に、この前のそらちゃんとの不思議体験を話したんだよ。


 その場では、へー、不思議ですねー、くらいで終わったんだけど・・・」


「・・・けど、なんだよ・・・またまた、ヘンな話になるのかよ・・・」


(だから、そういうをとるの、やめてくれよ)


「生配信の時間中には読めなかったんだけど、ヘンなメールがきててさ。


 その人、夜勤明けで、早朝の帰宅途中に公園を通っていたら・・・」


(・・・いたら・・・?)


「・・・青い翼の生えたを見たって・・・」


「・・・マジ・・・?」


「マジ!『本気と書いて読み方はマジ!』」


(うざっ・・・)


「なんだよ、青い翼の?って。疲れて見間違いとかじゃないの?」


「いや!断言・・・したい!それが『幸運の幽霊そらちゃん』だったと!」


「・・・さすがに、いつものドヤ顔の自信にも、無理があるみたいだな」


「だってさー、俺が見たワケじゃないし。青い羽根の話に乗っかってきただけの


 作り話かもしれないしさー。動画とかでも、明らかにフェイクとかって多いじゃん?


 CGとかで簡単にそれっぽく作れる世の中だから、映像見せられても信じないだろうなー」


「でも、おまえの言う『幸福の幽霊あの子?』だったとは思いたいんだ」


「そうなんだよねー。青い翼のが、そらちゃん!とは言えないかもしれないけれど


 そのヒト、慌てて動画を撮ろうとスマホを出していたら、キラキラーって、シューって、


 消えちゃったんだって!ほら、前に俺が言ってた、青い羽根が手の中から消えたのと


 同じ感じで!」


「キラキラー、シューって、全然わかんないんだけど・・・」


「きっと出会ったあの時も、そうやって消えたのかもしれない!って思ったらさ、


 納得いくんだよ。だからそらちゃん幸福の幽霊は確かにいるんだよ!って思いたい、


 信じていたいんだよ!」


(納得の仕方がちょっと強引だけど、信じたいっていうキモチは、いつも純粋ピュアなんだよな)


「あ!ごめんごめん、何だっけ?青い羽根にお願いするとかなんとかだったよな?」


「あー・・・、もういいよいいよ。ちょっと聞いてみたかっただけだから」


「俺なら絶対!『そらちゃんにもう1度会わせて!』の、一択だな!」


(・・・すっげぇドヤ顔・・・)


「はいはい、わかったわかった。んじゃ、引き続き捜索しとくわー。じゃあなー」


「おう!頼んだぞー!慣れないコトして疲れすぎんなよー。ははは。」


(・・・んだよ、知った風に言ってんなよ)



「・・・まぁ、図星だけど・・・」



        ☆


ヒトに興味のない俺が


というよりも


ヒトに(極力)関わりたくないと思っている俺が


目的はどうであれ


会話をしようとするなんて



にもほどがあったんだよな・・・」



おかげで



せっかく出会えた


いなくなっ消えちゃったし。



でも



なんでか



あいつには、話せなかったな。



「みっともないトコ、見せたくなかったのかな・・・」



・・・



何をいまさら。



じゃあ、なんでだ?



独り占めしたかったのか?



「・・・ちがう、ちがうって。そんなんじゃない」



を叶えたいハズなのに


そのすらもわからない


決められない


ダメダメな俺を


あいつの前で


さらしたくなかっただけだ。

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