第18話 黄色いあの子と俺
思わぬトコロで、あの子を見つけたものの
立ち止まったまま、距離をつめることが出来ない。
(どうしよう、どうすりゃいいんだ)
あいつに連絡すればいいのか?
(すっ飛んで来るに決まってる)
でも、実際には時間がかかる。
それまで、この状態っていうのは
どうなんだ。
ここまでハッキリ見えてるんだ。
人間だよ、どう見たって。
話せばわかってくれるんじゃないのか?
(話せばって、何を・・・)
なんとか
(言葉を・・・絞り出せ)
「え、あ、っと、・・・ひ、久しぶり!」
(む、無理ゲーだ・・・)
「な、なに?なんでココにいるのかな・・・こんな時間に・・・」
(む、無理ゲー過ぎて・・・不審者か)
じっとこっちを見てはいるけれど
向こうからも距離をつめてはこない。
「・・・xxれない」
「えっ?」
(聞こえない)
「・・・かえれない」
(帰れない、って言っているのか?)
「帰れないって、な、なんで?お金がないってコト、かな・・・?」
また見慣れた同じ格好だけど
カバンも何も、持ってなさそうだし
「す、スマホは?持っていないの?」
そう聞かれて、少し首を
ゆっくりと深いため息をついて
その場に座り込んでしまった。
(どうすりゃいいんだよ・・・)
もう、家は目の前なのに
このままじゃ家に入れない。
かといって
家に入れてやるコトなんて
(絶対に)出来ない。
(どっか、泊まれるトコロを探してやるしか・・・)
スマホで探そうとしていたら
「・・・あの」
「ひやぇ!?と!と!・・・な、なに!?」
思わずスマホを落としそうになった。
「・・・ここのおくじょう」
俺の家がある、その建物を指さして
「・・・そこにいる」
(は・・・?)
何言ってんだ、こいつ。
「い、いやいやいやいや!ダメ!絶対ダメだから、それは!」
「・・・みつからないから」
(ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい・・・)
「と、とにかく、あいつに、いや、け、警察に連絡・・・」
一瞬、スマホに目を移した瞬間
ぶわっ!
っと、
急に、巻き上げるような風が吹いて
思わず、目を閉じて、少しよろめいた。
「うわっっ!な、なに!?」
って、
(・・・え・・・?)
あの子が
「・・・いない・・・?」
☆
俺は、どうかしてしまったのか・・・
ギャグマンガか、コントのように
あたふたと、あたりを行ったり来たり
めちゃくちゃに、走り回っていた。
(なんなんだ、なんなんだ、なんなんだ!?
なんなんだよーーーーーーーーーー!!)
もうパニック状態だ。
自分でも、どこに行きたいのか
ちゃんと探しているのかどうかも
わからなくなっていた。
さすがにキツくなってきて
ヘトヘトで、元の場所まで戻ってきた。
「な、何なん・・・だよ、いったい・・・
・・・やっぱ幽霊・・・なの、かよ・・・」
おもわず、その場に大の字になって、ゼイゼイと呼吸していた。
ふわり。
と、
倒れた弾みで、何かが舞い上がって
ゆっくり、胸のあたりに落ちてきた。
(・・・え・・・?)
「・・・コレ、って・・・」
同じモノかどうかはわからないけれど
手にしたそれは
鮮やかな1枚の青い羽根だった。
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