第15話 南雲家訪問
放課後、俺、涼そして千秋さんは涼の車に乗って、南雲家に向かっていた。
涼の車はお察しの通り、北条さんの車と同じリムジン型で席は後ろに前側に後ろ向きのが二つ、後ろ側に前向きが二つの計四つの席が付いていた。
北条家とは逆の方向を車で走ること20分、高級住宅街に入ってきて、これまた大きな敷地の中に入っていった。建物の前に泊まると車のドアが自動で空き「降りて」と涼に言われて、車から降りた
北条家は昔の西洋の貴族が住んでいそうな感じだが、南雲家は見るからに白を基調とした高級そうな近代型だった。
「ほら早く入って」
北条家とはまた違った感じを物珍しそうに見回していた俺を、扉を開けて待っていた涼が急かす。
中に入って靴を脱ぎ「ついてきて」と言って歩き出した涼と千秋さんの後をついていく。
二階に上がり「入って」と言われた部屋に入る。
「ここは俺の部屋。親父が帰ってくるまでここで遊ぼう。あ、飲み物とお菓子撮ってくるよ」
そう言って涼は出て行った。そして俺と千秋さんの二人きりになったところで千秋さんが口を開いた。
「どうしたの?」
「え?」
「いや、なんか不思議そうな顔してたから」
顔に出てたか。俺気持ちが顔に出やすいのかな。
そして俺はこの家に着いてからずっと疑問に思っていた事を千秋さんに聞いてみた。
「いや別に大したことはないよ。ただメイドさんとかいないのかなって。北条さんの家にはたくさんいたから少し不思議に思って」
そう、車を降りる時も家の中に入った時もメイドさんはおらず、飲み物も涼が自分で取りに言っていたから四大財閥のおぼっちゃまなのにずいぶん庶民的だなと思った。
「ああ、それは親父がいない方が良いっていたからだよ」
そう俺の疑問に答えたのは三人分の飲み物とお菓子が乗ったお盆を持って入ってきた涼だった。
「おお、早いな」
「うん?ああ、それは
「え、凛ちゃんいるの?呼んできてよ」
「なんか用事があるから出かけるって。すぐ帰ってくるらしいよ」
興奮しながら言った千秋さんを落ち着かせながら涼いった。
「話を戻すんだけど、さっき北条さんの家にはメイドさんがいるって言ってたよね。もしかして修って北条さんの家に一緒に住んでる」
涼の言葉に千秋さんは、ハッと気づいてこっちを興味津々な目で見てきた。
まずい、どうしようかな。言わない方がいいよな。
「い、いや、そんなわけないじゃん……ハハハッ、何度か父と行っただけだよ……ハハッ」
まずい。俺ははぐらかすのは得意じゃないんだよ。絶対怪しまれたよね。
「本当にー?」
「ほ、ほんとほんと」
「ほんとかなー?」
「ほんとだよ」
案の定怪しまれて、千秋さんが言葉だけではなく、体ごと詰め寄ってきた。
「ほら千秋落ち着いて、まぁこのことは追認するとして今は遊ぼう」
「そうだね♪何する?」
北条さんごめん。俺のせいでめんどくさい事になったかも……
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