記録を探して
今日のお客さんはちょっといつもと違う。
なんでも探したいものがあるらしい。
私は今管理室に来ています。
「これ?」
女の子は首を横に振る。
黄色の結晶では無いらしい。
「じゃあこれ?」
また首を振る。
青色の決勝ではないらしい。
「·····これは?」
赤色の結晶を見せた。
「·····」
また違う。
「·····これは?!」
「·····す、すみません」
私はその場で座り込んだ。
かれこれ二、三時間ここでお客さんの記録を探している。
なぜこんなことになったか·····すこじ時間を戻そう。
「記録を探して欲しい?」
「はい!どうしても探したい記録があって·····あのこの人の·····」
お客さんは私に写真を見せた。
おばあさんとお客さんの写っている写真二人とも幸せそうに笑っている。
頑張って思い出そうとするが見たことの無いお客さんだ。
「とりあえず探してみましょうか·····ではどうぞこちらへ」
私はお客さんを管理室に案内した。
「ここは?」
「ここは管理室です、皆さんの回収した記録をここに置いています」
「·····綺麗ですね」
お客さんは魅入られたのか結晶を凝視している。
「皆さんの歩いてきた記録ですからね·····お客さんのお祖母様がいつ来られたか覚えていますか?」
「えっと·····確か10年くらい前だったような·····」
「10年くらい前·····ここですね」
10年前に回収した記録を保管してある棚に着いた。
先代の人は「年代で分けんでもいい!ここはお客に記録と出会って欲しいからあるんじゃい!商売じゃない!」と言われたが、私は探す時に手間が掛かるので無理やり直したのだ。
そして·····商売にしてしまった。
私はお客さんに結晶を見せた。
「これちょっと覗いてください」
「·····おばあちゃんじゃない」
「そうですか·····まぁまだ一個目ですし頑張りましょう!」
そう元気よく言ったが、この沢山の記録の中でどう探そうか悩む。
「休憩しましょうか」
「すみませんご迷惑を」
「いえいえ私の仕事ですので」
結晶の状態を確認しながら私は言った。
「ここの結晶じゃないって事は売られてるかも·····あ、すみませんまだ決まったことじゃないですから!」
私は無意識に口に出してたらしくお客さんは肩を落とす。
「·····そうですよねもう結構前のことですし」
「そんな事無いですよ!·····あ!そうだ!あそこならあるかも!」
この部屋のもっと奥の場所なら·····特別記録区ならあるかもしれない。
あそこには訳ありな記録が沢山ある。
そこに保管するかしないかの判断は私たちがする事になっている。
「······あった!」
私は年代別に保管されてる箱を出した。
箱を開けると、瓶の中に綺麗に入っている結晶と紙があった。
瓶の中に入っている黄色とピンクの混じった結晶をま じまじ見るとお客さんが見せてくれた写真と似た人が見えた。
「·····多分この人かも」
「本当ですか!」
私はお客さんに見せた。
「·····この人です!」
「見つかってよかったです」
お客さんは何かを思い出したのか表情が曇った。
「·····お金いるんですよね、すごく高いって聞いてて·····」
「お代は結構です」
私がそう言うとお客さんは目を見開いた。
「いいんですか?!」
「はい特別記録は預かってるだけですので、契約書を見る限り·····貴方のお祖母様は先代の方と保管するという契約内容になってますね」
私は瓶に入っていた契約書を確認しながら言った。
それを聞いて大事そうに瓶を抱きしめる。
「ありがとうございました!」
深々と一礼してからお店を出ていった。
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