第19話 手紙

「そういえば、お二人は何でここに来たんですか?」

 

「それは、ティアから私の家に遺言のような手紙が届いたからその内容を伝えるため。ついでにアダロがこの町に来ていた事を聞いていてな、久しぶりに行くかと思ってな。」

 

「遺言!?」

 

「そうだ。ティアから私へのお願いとして、残された者達へ伝言を預かったんだよ。だからメリスちゃんとリアンちゃん両方に伝えたかったんだがな…」

 


お母さんからの遺言なら私たち二人に話さないと意味がないもんね。

でもリアンは今刑務所で発作を抑えてる…

説明するのは一からリアンの事を伝えなきゃいけないし、そんなのなんて説明すればいいのかわからない。

そもそも伝えたところで私たちには何もできないから、いつ戻ってくるのかもわからない。でもそれまで二人にいてもらうわけにもいかない。

どうしたらいいんだろう。



「随分と険しい顔をしているが大丈夫かい?」


「え、そんな険しい顔をしていました?…でも、大丈夫です。」


「そうかい?じゃあ、今日はもう夜になってきたから私らはそろそろ宿に行くとするよ。」


「もし何かあるならいつでも聴くから、抱え込みすぎるなよ?」



気をつかってくれたのか、親方さんたちは宿に帰っていった。

リアンのこと、お母さんからの遺言のこと、私の気持ちのこと考えることがいっぱいあるから1つづつ整理しないと。



まず、お母さんの遺言のこと。

これに関してはちゃんとリアンと一緒に聞かないといけないと思う。

内容は知らないけど今後のことが書いてあると思うし、一人では聞けないし二人で考えた方がいいと思う。


次にリアンのことは、二人には話せない。

私に知られただけでもかなり取り乱していたのに、さらに二人に知られるとなると病状が悪化するかもしれない。

だから、私一人で会いに行って事情を説明して、聞くか聞かないかはリアン本人に決めてもらう。


最後に私の気持ちについては、まだ整理は出来ていないけど親方さんが少しずつでいいって言ってくれたからかちゃんと向き合おうと思う。



少しずつ前に進めるようになるといいな。

そう思ったら紫いろのドレスみたいな花が咲いた。




‐つづく‐




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【あとがき】


読んでいただきありがとうございます!

少しでもいいなと思っていただけたら応援やコメント、★つけていただけると励みになります。


最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る