27話 身分証と逆ナン?
掲示板から一部始終を見た。オーガのリーダーくんは勇者ちゃん達に負けたみたいだ。深化が心臓から全体になったのはなんでだろう。
そもそも深化の具体的な効果がわからんから、考察の仕様はないか。
それより気になったのが騎士さんが天気が悪いと不調になることだ。元々そういう人なのか、何らかのスキルの影響か。騎士さんは主戦力の一人として数えられてるっぽいから、本気で相手取る時は、悪天候の時にしよう。
今回の戦いで勇者ちゃんに深化の印象を植え付けるのには上手くいった。なんか色々調べて見当違いの予測を立ててたら面白いなー。
そんなことを考えてる俺は今、帝国の帝都の入門チェックの列に並んでる。あと少しだ。
道中で魔物を倒したり、すれ違った人を殺したりしたけど、レベルもスキルレベルも上がらなかった。残念。
俺の番なう。
「何をしに本国に?」
「観光です。各国を旅して回っているのです」
「……なるほど。身分を示す物は?」
「異界人で冒険者でもないので無いです」
「異界人か。初めて見たな。他の異界人は居ないのか?」
「異界人は最初に王国の小さな町に降りてくるので。自分は冒険より旅がメインなので他の人より早く着きました」
「そうか。身分証が無いのは困るな。手続きをさせよう。少し待っててくれ、あとこっからは担当が別のやつになる」
「わかりました」
え? 作ってくれるの? 優しいな。
「お待たせしました。異界人専用の身分証でございます。再発行となると10000G掛かりますのでご注意下さい」
鉄板に刻み込まれてる。ちゃんとクロで登録した。黒幕ムーブ中に落とさないようにストレージにぶち込んどこ。必要な時以外はすぐしまうようにしなければ。
帝国に入った。王都より煌びやかな雰囲気。王国との国境付近につくったのはどうかと思うけど。安全面で心配になる。
そろそろ昼だから宿取ってログアウトしなきゃ。姉さんの手抜き昼ごはんは嫌だ。
リスポーン地点の更新は済んでるから、宿探しじゃい!
りんご宿って書いてある可愛らしい店を見つけた。ここにしよう。
「すみません、ここの宿代っていくらですか?」
「はい、1泊で2000Gです」
安いのか? 普通がどれくらいか分からん。まぁ、まったりしてるし、ここでいいかな。所持金は…………スゥーーー
ZERO!
やっべ、完全に忘れてた。稼がなきゃ!
「少し手持ちが心配になるので稼いでからまた来るかもしれません」
「いつでもどうぞ」
とりあえず街をうろちょろ。
「でもどうしたもんかね」
「ふむ、そこのお主、少し話がある。着いて来い」
どうしよう。今更冒険者になるのもなー。
「お主、白髪のお主じゃよ」
なんかうるさい人がいるな。人混みの上に大きい声を出すとみんな聞こえなくなるだろ。自己中かよ。
「お主じゃと言っておろう!」
は? 掴まれたんだが。俺なんか悪いことした? いや、悪いことはしまくったかもしれんが、なんかバレた?
「えーと、なにか御用でしょうか」
「そうじゃ。着いて来い」
命令口調だから失格、ついでに面倒事の予感もするからダメ。青髪ミディアムのつり目美人さんだけどダメなもんはダメ。
……
「知らない人に着いて行くなと教えられたのですみません」
「いいから黙って着いて来い!」
「いや〜! 襲われる!! 助けて〜!!」
「まったく……お主、極悪人じゃろ」
「いやー、誤解してしまったみたいですね。とてもいい人みたいだー。話ぐらいいくらでも聞きますよ!」
なんかバレてるっぽい。逆ナンだったらよかったのに。
「ごめんっちゃい(はぁと)」で許してもらえるかな?
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